それでも、仲裁判断は南シナ海の交渉ルールを定め続けている
中国が裁定を完全に遵守していないにもかかわらず、この決定は南シナ海におけるゲームのルールを定めた。現在では、この地域における外交や交渉の条件を決定づけるものとなっている。裁定から10年の節目に、米国、フィリピン、そして他の12カ国がこの裁定への支持を再確認し、中国の違法な行為を非難した。少なくとも27カ国が裁定の尊重を求めており、さらに17カ国がこれに対しておおむね肯定的な声明を発表している。公にこの裁定を拒否しているのは、わずか8カ国にとどまる。南シナ海の他の領有権主張国は、自らの行動を正当化するためにこの裁定を利用しており、そのたびに中国から激しい非難を浴びている。マレーシアとインドネシアは、国連への書簡の中でこの裁定に言及している。ベトナムとインドネシア、そしてインドネシアとマレーシアが、UNCLOSに従って長年にわたる海域境界紛争を解決した際、中国はこれらの国々と争っている自らの主張を押し通すために船を派遣した。
新たな島は造られず、フィリピンは透明性戦略で攻めている
10年が経った今も、中国はこの裁定を恐れ続けている。中国は、裁定が下されて以降、スプラトリー(南沙)諸島において新たな人工島を建設していない。その理由は1度も明かされていない。中国メディアによるこの裁定への非難は今も続いている。2023年、フィリピン沿岸警備隊は、南シナ海における中国の違法で強圧的、攻撃的、かつ欺瞞的な行為を暴露するための「積極的透明性戦略」を開始した。フィリピンは、中国が仲裁裁定に違反している様子を捉えた動画を公開し始め、SNS上で中国の行為の違法性を告発した。フィリピン当局者は、この透明性戦略がフィリピンへの国際的な支持を集め、軍事同盟を強化することにつながったと評価している。この戦略はまた、中国の怒りを買い、中国側はフィリピン政府に対し、この戦略を主導する沿岸警備隊の報道官を抑え込むよう要求している。
フィリピンと中国の間の仲裁判断は、世界中の国家の行動を変化させた。この裁定は、世界の人々の目において、南シナ海における中国の主張を「係争中」のものから「違法」なものへと変えたのである。この決定は今や、国家間における共通の法的対話の基礎となっており、各国はこれを支持するか、あるいはこれに抗議するかの選択を迫られている。国家がこの裁定を引用したり依拠したりするたびに、その効果と重要性は増幅し、中国がこれを無視することは困難になっていく。そして、中国がこの決定を非難するたびに、その正当性において代償を支払うことになる。中国が最終的にこの裁定に従うか否かが、太平洋での戦争が始まるかどうかを左右するかもしれない。その一方で、フィリピンは、強い意志を持った国家が法という戦場でいかに戦い、勝利を収めることができるかを世界に示し続けている。


