欧州

2026.08.01 07:00

ロシア軍がドネツク戦線で大規模な機械化攻撃 続く新戦術模索と透ける苦境

ウクライナ南部ドネツク州ドブロピッリャ方面で2026年7月22日、ロシア軍の戦車がドローン(無人機)攻撃を受ける様子。ウクライナ国境警備庁のドローン部隊「フェニックス」が公開した動画から

あるいは、この攻撃は陽動を目的としていた可能性もある。多数の装甲車両を突進させれば、当然ながらウクライナ側の偵察アセットやドローン、火砲、予備戦力の注意を引きつけることになる。ウクライナ側が装甲車両の撃破に注力している間に、オートバイで移動する小規模な歩兵チームは目標の浸透地点へ到達しやすくなっていたのかもしれない。公開されている映像では、オートバイ班は装甲車両とは独立して行動しており、たんに機械化攻撃に随伴していたのではなく、大規模攻撃にまぎれて関連する別の目的を追求していた可能性を示唆している。

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ロシア軍の戦術や装備の進化も示唆

今回の攻撃そのものも注目に値するが、公開されたドローン映像はロシア軍の最新の戦術や装備の面でも示唆に富む。

最も顕著な変化のひとつは攻撃時の隊形である。以前の突撃ではしばしば装甲車両が狭い間隔で縦隊を組んでいたが、今回は各車両が広く分散していた。このように間隔を確保した隊形により、ウクライナ側に部隊全体を一度に発見され、まとめて攻撃される可能性が下がる。また、撃破された味方の車両によって進路がふさがれてしまい、部隊全体の前進が停止するといった危険も抑えられる。一方で、今回の攻撃に参加した各車両は、通信や行動の連携を維持できる程度の距離は保っていた。

もうひとつの注目すべき変化は、車両全体を覆うような大掛かりな対ドローン追加装甲が見られなかったことである。過去2年、ロシア軍の装甲車両はドローンに対する生存性を高めるべく、さまざまな改修が施されてきた。最近の例としては、ヤマアラシ(ハリネズミ)風の装甲が挙げられる。これはほぐした鋼鉄製ワイヤーケーブルを車両の周囲に巡らせて、その突起物により、飛来してくるFPVドローンを絡め取ったり、姿勢を崩したり進路を妨げたり、あるいは車両本体に到達する前の段階で起爆させたりしようとするものである。

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だが今回の攻撃に参加した戦車の多くは、車長用ハッチの上に薄い鋼板の小さなキャノピーが設置されているだけだった。これは、重爆撃ドローンが投下する弾薬に対して、弾頭と装甲の間に間隔(スタンドオフ)を確保することで威力を減衰させる防護目的としたものとみられる。

ロシア側がより重厚な装甲の装着を避けた理由は、そうした改修に伴う機動力の低下を嫌ったためと考えられる。大型の追加装甲を施した車両は速度や機動性が損なわれるだけでなく、ロシア軍の乗員からは、重量がかさんだ結果、比較的短距離を走行しただけでトランスミッション(変速機)が故障したという報告も上がっている。

この攻撃にはオートバイや民生用トラックに乗った兵士も加わっていた。オートバイ兵のなかには乗車したままドローンを振り切ろうとする者もいたが、大半は、以前にロシア軍の訓練の様子を紹介した動画で示されていたような戦術に従ったようである。つまり、兵士たちは素早くバイクを降り、周囲の植生の中へ散開し、茂みを隠掩蔽(隠れたり身を守ったりすること)に利用した。

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翻訳・編集=江戸伸禎

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