生成AIを導入する企業は増えたものの、個人の試行や一部業務の効率化にとどまり、組織全体の働き方や事業の前提まで変えている企業は多くない。GMOインターネットグループが2026年に始めた「GMO AI Day」は、その壁を越えるための取り組みだ。毎月第4木曜日、全従業員が業務時間内にAI活用へ集中的に取り組む。同社取締役グループ副社長執行役員・COOの西山裕之氏と、企業の付加価値創造のためのAI活用を支援するカクシン代表取締役CEOの田尻望氏に、AIの活用を一部の効率化で終わらせず、会社の競争力へ変える条件を聞いた。
──GMOインターネットグループでは、毎月第4木曜日を「GMO AI Day」と定めています。すでに社内で生成AIの利用が広がるなか、あえて全員がAIを使う日を設けたのはなぜでしょうか。
西山裕之(以下、西山):狙いはシンプルです。その日だけは全員が、自分の業務のどこかでAIを使う。ノー残業デーがあれば「今日は早く帰ろう」と意識するのと同じように、普段はあまり使っていない人にも、仕事のなかでAIを試してもらうためです。
特定のツールや用途を一律に指定するのではなく、1日の終わりに「今日は何に使ったか」を振り返る。翌月には別の使い方を試す。そうした実践を積み重ね、AIを一部の人だけが使う特別な道具ではなく、日常業務の前提にしていこうとしています。
AI活用率98.7%でも、GMOが「全員で使う日」を設ける理由
──2026年6月時点で、GMOのグループ全体の生成AI業務活用率は98.7%を達成。さらに、生成AIによる業務削減時間も1人当たり月約65.1時間まで伸びたと発表されています。それでも、社員によって活用の深さには差が残っているのでしょうか。
西山:利用率が高いことと、全員がAIを仕事の道具として十分に使えていることは別です。頻繁に使う人がいる一方で、以前に一度試しただけの人や、用途が限られている人もいます。AIは短期間で性能が大きく変わるため、半年前に触った印象で「自分の仕事には使えない」と判断していると、現在できることを見誤ります。
会社が費用を支援し、使う日を設けるのは、社員に「業務で使ってよい」と明確に伝えるためでもあります。個人の関心や自費利用に任せれば、使える人と使えない人の差が開いていくからです。全員が試せる環境と機会を用意して初めて、個人の工夫を組織全体の変化につなげられます。
実際、AIの活用が広がったことで、開発や業務改善、経営の意思決定など、以前より格段に速く進むようになったという実感があります。



