資産運用

2026.07.31 16:24

AI時代の投資家へ──気候変動から学ぶ3段階の行動計画

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1990年代後半、投資家、保険会社、銀行のリサーチアナリストからなる小規模なグループが、気候変動が経済、資本市場、ポートフォリオリスクに何を意味し得るのかを問い始めた。彼らの懸念は環境的なものでも政治的なものでもなく、金融上のものだった。どのセクターや地域がエクスポージャーに直面するのか。負債はどこに蓄積するのか。投資家はそれに対して何をすべきなのか。

筆者はその初期の取り組みに参加していた。Innovest、後にSwiss Reで、初のCDP報告書「Climate Change and the Global Equity Markets」の作成に携わり、後にInvestor Network on Climate Riskの形成に影響を与えた「Value At Risk」分析をCeresと共同執筆し、国連と連携して初の「CEO Briefing on Climate Risk」を作成した。また、法務、会計、金融、投資、保険、政策の各領域を横断して、まったく新しい分野の構築を支援した。

その取り組みは、分断を招く政治や社会運動によって停滞する以前、投資コミュニティが気候リスクの経済性を理解し、市場、社会、人間の繁栄に資する方向へ進むために必要なインセンティブ、ガードレール、制度の基盤を築く助けとなった。

筆者がこの枠組みを選んだのは、極めて意図的である。というのも、これは16人のノーベル賞受賞者と有力な学者、エコノミスト、AI企業幹部が署名した、先週の「Statement on AI’s Transformation of the Economy」の文言とほぼ同じだからだ。

気候変動をめぐっては、時間軸は数十年だった。AIに関しては、行動するための猶予はおそらく1年か2年である。

現在地はどこか

Just Capitalによる最近の世論調査では、今後5年間でAIが社会にとって差し引きプラスになると予想する機関投資家とアナリストの割合は、2026年春の94%から今夏には76%に低下した。社会不安定化のリスクについて尋ねると、投資家は米国の一般市民以上に懸念を強めている。過半数(56%)は、企業がAI関連支出全体の5%超をAIの安全性に充てるべきだと考えている。また57%は、AIが環境に悪影響を及ぼす可能性が高いと回答しており、これは2025年秋にこの層を対象とした調査を開始して以来、最も高い数値である。

AIは経済、社会、市場の境界を横断する。導入の規模、速度、非対称性は、アセットオーナーやファンドマネジャーがまだ問いを立て始めたばかりで、まして答えには至っていない問題を提起している。広範な雇用喪失は消費者需要、信用の質、社会的結束に何を意味し得るのか。どの産業が構造的破壊に直面し、その時間軸はどうなるのか。生産性向上の果実を得るのは誰か。株主か、労働者か、それとも少数の既存プラットフォーム企業か。AIによる金融上の連鎖的波及、誤情報、インフラ障害のシステミックリスクは何か。

これらは抽象的な懸念ではない。受託者責任、ポートフォリオリスク、投資戦略に関わる重要な問いである。そして現時点で、ほとんどの機関投資家にはそれに答えるための枠組みがない。

3部構成の行動計画

過去の経験に基づけば、投資家の行動計画には3つの中核的要素があると筆者は考える。

1. 学び、集まり、枠組みを定める

気候変動に関して投資コミュニティが最初に行った最も重要なことは、ただ学び始めることだった。年金基金、政府系ファンド、資産運用会社を横断する協調的な探究は、学習曲線を圧縮するうえで特に重要だった。チューリヒ郊外にあるSwiss Reのリュシュリコン・センターで筆者らが開催したようなイベントで、人々が同じ部屋に集まることは、個々の調査研究と同じくらい重要であり、共有された知的基盤の構築に役立った。すべてのステークホルダーを横断して、リスクと機会を正確かつ頻繁に枠組み化することは、それらに合理的に対応するための前提条件である。既存の投資家ネットワークや業界団体は、ここで重要な役割を果たし得る。

2. データを集め、分析を始める

課題の全体像がより明確になるにつれ、データ収集を本格化できる。気候変動では、例えば銀行のリサーチチームが、セクター別、企業別に潜在的影響の定量分析を行い、投資家がリスクをモデル化し、パフォーマンスを測定し、資本配分を設計できるようにした。投資家がAIについて同じ自信をもって行動できるようになるには、重要な全領域にわたる客観的なデータの発見、分析、モデリングの同様の波が必要である。これは、実際にどのデータが関連するのかといった、まだ問われていない問題を浮かび上がらせるだけではない。気候変動の場合と同様に、新たな解決策、新たなアイデア、斬新な起業機会が生まれる余地もつくり出す。

3. 行動への道筋をつくる

行動につなげる方法のないデータは、単なるノイズである。気候変動において、投資家は最終的に、意思決定を支えるために必要なプロセス、より確信をもってリスクを引き受ける方法、ポートフォリオをより適切に位置づける商品や戦略、そして解決策のための新たな市場を構築する方法を学んだ。AIにも同じ規律が求められる。長期的なパフォーマンスを強化する形で移行を管理する企業を評価し、そうしない企業にはリスクを織り込むべきである。何が望ましい姿なのかを判断するための、より調和の取れた枠組みがいったん開発されれば、それは急速に広がり、効果的なエンゲージメントを支える助けとなるだろう。

AI向けに修正し、加速させれば、これら3つの基本要素は、投資コミュニティが今後待ち受ける課題に先んじる助けになると筆者は考えている。混乱が到来するまで待ってはならない。

forbes.com 原文

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