WOMEN

2026.07.31 10:04

女性の交渉力が男性を凌ぐ、長期的成功を左右する関係構築スキル

Adobe Stock

Adobe Stock

男性の方が女性よりも交渉スキルが高いという考え方は、カリフォルニア大学バークレー校ハース・ビジネススクールとコーネル大学労使関係学校(ILRスクール)による新たな研究によって大きな打撃を受けた。この研究によると、交渉において女性と男性は日常的に同等の経済的成果を上げている。それと同時に、女性の交渉者は男性に比べて、交渉相手から「より信頼できる」「コミュニケーション能力が高い」「将来また交渉したい相手だ」と評価されていることが明らかになった。

米国科学アカデミー紀要(PNAS)の2026年6月号に研究結果を発表した研究者らによると、これらは単に交渉がうまくいったという「気分的な満足感」にとどまらない。交渉中に人間関係を構築する女性の優れた能力は、将来の交渉機会の増加を通じて、長期的な経済価値へとつながる可能性がある。

信頼関係の構築につながる交渉スキルで女性が秀でていることが新研究で判明

最初の研究において、研究者らは、交渉演習と交渉後のアンケートを完了した全日制MBA学生231人による2000件以上の観察データを分析した。全体として、女性と男性は交渉において同等の経済的成果を上げていた。しかし、主観的な価値評価に関しては、女性が男性を上回っていた。

交渉の参加者は、信頼構築、公平性、相手のニーズの充足、パイの拡大、傾聴、コミュニケーションにおいて、女性の交渉相手を男性よりも大幅に高く評価した。交渉の分析において見過ごされがちなこれらの主観的な指標は、将来的な経済的利益を生み出す可能性がある。参加者は、男性を相手にするよりも女性を相手にした場合の方が結果に対する満足度が高く、再び交渉したいと考える傾向が強いと回答した。

この研究結果は、組織が誰を交渉担当者に据えるべきかを決定するにあたり、3つの重要な示唆を与えている。

第1に、この研究は、男性の方が女性よりも優秀なディールメーカー(交渉人)であるという一般的な通説を覆している。

「1970年代から1980年代の初期の研究では、性別を交渉結果を予測する固定的な要素として捉え、女性は交渉において不利であるとされてきたが、時代とともに状況は変化している。私たちのデータは、女性が男性と同等の経済的成果を上げていることを示している」と、コーネル大学ILRスクールの研究員であり、共同執筆者でもあるシャーロット・タウンゼントは、2026年6月のインタビューで語っている。

第2に、この研究は、交渉において通常、経済的利益と良好な信頼関係の構築を天秤にかけなければならないという考え方に疑問を投げかけている。女性は、その両方を同時に達成している。研究者らは、「重要なのは、女性が男性と同等の経済的成果を上げている点であり、好感度の高さがパフォーマンスの低下を招いていないことを示唆している」と結論づけている。

「50年もの間、交渉学の研究者らは『誰が交渉に勝つか』に注目するあまり、『誰が関係性を味方につけるか』を見落としていた。女性にとって、これらは対立する目標ではないことが分かったのだ」と、カリフォルニア大学バークレー校ハース・ビジネススクール教授で、共同執筆者のローラ・クレイは、2026年6月のプレスリリースで述べている。

第3に、この研究は、主観的評価における女性の優れたパフォーマンスがもたらす潜在的な経済価値を強調している。交渉相手は、男性に比べて女性と将来交渉することを著しく好むと回答した。この結果は、女性の交渉者が持つ関係構築スキルが「女性により多くの交渉機会をもたらし、それが複利効果のように経済的利益へとつながる可能性がある」と研究者らは指摘する。

「交渉における社会的影響や、相手にどのような印象を与えるかという重要性については、十分に議論されてこなかった」とタウンゼントは語る。「経済的な成果は物語の半分にすぎない。もう半分は、相手があなたとまた一緒に働きたいと思うかどうかだ。そこに女性の大きな強みがあるようだ」

性別が伏せられていても女性の交渉スキルが高く評価される理由

第2の研究において、研究者らは主観的な価値評価で女性の交渉者が優れたパフォーマンスを発揮する要因を探ろうとした。交渉相手が男性よりも女性との交渉を好むのは、「女性は男性よりも温和である」というような典型的なジェンダー・バイアスによるものなのか、それとも女性の実質的な交渉スキルによるものなのだろうか。

この疑問を検証するため、研究者らは無作為にペアを組んだ846人の参加者による1030回のオンライン交渉セッションを分析した。参加者には、成果に応じたボーナスによって利益を最大化するインセンティブが与えられた。交渉はオンラインチャットで行われ、参加者は対戦相手の性別を知らされなかった。セッション終了後、参加者は相手に対する好感度を評価した。

全体として、女性と男性は交渉において同等の経済的成果を上げていた。そして、ここでも女性の交渉者は、対戦相手から男性よりも大幅に高い好感度を得ていた。今回のケースでは、性別が伏せられていたにもかかわらず、主観的価値評価において女性の優位性が現れた。アンケートによると、参加者はオンラインの相手の性別を、偶然の確率を超えて正確に見抜くことはできなかった。

この結果は、女性の交渉者が人間関係を築く上での強みは、ジェンダーのステレオタイプではなく、彼女たちの交渉戦略そのものに基づいていることを示唆している。

「私たちは、人々が実際にどのような人物と交渉テーブルを囲みたいのかを理解したかった」とタウンゼントは言う。「この効果が本物であると確信できたのは、相手の性別を知らない状況でも結果が表れたことだ。つまり、この差は認識ではなく、実際の行動によってもたらされているということだ」

女性の交渉スキルがビジネスの資産となる理由

交渉の成功は、目先の経済的利益だけで測られがちだ。しかし、ビジネススクールの教室の外では、交渉結果が長期的な関係構築に大きく左右され、重大な結果をもたらすことが少なくない。交渉における主観的な価値評価の重要性を認めることで、新たな研究は、女性が交渉の場にもたらすこれまで見過ごされてきた強みを組織に示している。

ペンシルベニア大学ウォートン校およびジョージ・メイソン大学コステロ・ビジネススクールによる先行研究によると、組織の長期的な経済的利益にとって、人間関係の構築が最も重要となる特定の交渉タイプが存在する。

一例として、1回限りの製品購入とは異なり、交渉合意後に相手側による大きな履行が必要となる取引が挙げられる。このような状況では、取引の真の経済的価値は、交渉後の相手のモチベーションや行動に左右される。そのため、交渉中に相手との強固な関係を構築することが、交渉後のパフォーマンスを最大化するために不可欠となる。

また、交渉担当者の評判が重要な意味を持つ場合、組織はその関係構築スキルを重視すべきだ。これは、将来的な取引のチャンスがかかっている場面で特によく見られる。

「個人資産の運用において、複利の力は長期的に非常に強力だが、これは交渉でも同様だ。もし相手があなたとの交渉プロセスを好意的に捉え、将来また交渉したいと思うのであれば、それは高い金利を得ているようなものだ」と、カリフォルニア大学バークレー校ハース・ビジネススクール教授で、2026年の研究の共同執筆者であるソレーヌ・ドルクールは述べている。「さらなる交渉の機会を生み出し、長期的な利益につながる可能性が高い」

何度も交渉を重ねる機会は、1回きりの強引な取引よりも多くの収益をもたらすことが少なくない。したがって、組織が交渉担当者のスキルを評価する際、リーダーは目先の経済的成果だけでなく、女性が特に秀でている長期的な関係構築にも目を向けるべきである。

「重要な交渉のテーブルに誰を座らせるべきか検討する際、この研究はあなたが最も強力な資産の一つを見落としている可能性を示唆している」とタウンゼントは言う。「女性は従来の指標において効果的に交渉を行っているだけでなく、相手に『また将来一緒に交渉したい』と思わせるほどの信頼関係をも築いているのだ」

forbes.com 原文

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事