経営・戦略

2026.07.31 09:01

棚の「空白」がブランドを殺す──流通こそ最強の成長戦略だ

Adobe Stock

Adobe Stock

私が出会う多くのブランドは、流通を運賃請求書のように扱っている。マージンを交渉し、配送料をわずかでも削ろうとし、そのすべてをコストとして処理する。その本能は理解できるし、私が彼らの立場であってもおそらく同じことをしただろう。しかし、キャリアの大半を独立系小売店への商品導入に捧げてきた今、私は異なる見方をするようになった。流通とは、需要を生み出した後に発生するものではない。多くの場合、流通こそがそもそも需要を生み出すものなのだ。

商品をどう動かすかについて下すあらゆる選択は、小売業者にシグナルを送る。どれくらいの頻度で出荷するのか。棚が空になる前に再注文分が届くのか。ケースが正しい入数で届くのか。店舗オーナーは、どのブランドが認識しているよりも早くそうしたシグナルを読み取り、あなたと取引するかどうかの判断は、しばしばその瞬間に下される。

顧客に見つけてもらうには、商品が棚に並んでいる必要がある

かつて私は、自社の問題は「認知度」にあると確信していたスナック菓子ブランドと仕事をしたことがある。優れた商品と適正な価格設定だったにもかかわらず、一部の店舗グループでの売上は一向に伸びなかった。実際に調査してみたところ、本当の問題が判明した。フルフィルメント(商品の供給)の不規則さだ。その商品は、4週間のうち2週間ほどしか棚に並んでいなかった。リピーターになり得た顧客は、いつも商品があるべき場所が空欄になっているのを目にし、やがて探すのをやめてしまったのだ。そこで私たちは、棚が常に満たされるよう出荷のペースを整えた。すると、2カ月もしないうちに追加注文が増え始めた。需要は最初からそこにあったのだ。流通が、それを静かに潰していたにすぎない。

ブランドがマーケティングにすべてを注ぎ込み、棚を後回しにするときに見落としているのは、この点だ。顧客を店に呼び込むために大金を投じることはできる。だが、顧客が店に到着したとき、約束された商品がそこに並んでいなければ、その支出は顧客を失望させるためのものになってしまう。私は、欠品だらけの大規模展開よりも、常に在庫がある小規模な展開の方が望ましいと考えている。顧客の記憶に残るのは、棚の空白である。

流通がコントロールするもう一つの要素に、人々はしばしば驚かされる。それは「ペース」だ。商品が売れ始めた瞬間に、市場へ一気に普及させたくなる衝動に駆られるのは無理もない。しかし、それが裏目に出るのを私は何度も見てきた。適切なサービスを提供できる以上の店舗に商品を押し込むと、結果としてすべての場所でカバー力が希薄になってしまう。慎重に動き、1店舗ずつ実績を作っていけば、価格とマージンを維持しながら、需要が自ずと育っていく。自制心は自信として受け取られ、バイヤーはその自信に気づくものだ。

ディストリビューターはスケールアップへの入り口

適切な流通パートナー(ディストリビューター)を選ぶことも同様に重要だ。すべてのディストリビューターがすべての商品に適しているわけではない。優秀なパートナーであれば、自社の担当地域にその商品が適していない場合に、正直にそう伝えてくれる。担当する店舗やバイヤーを熟知し、その地域で特定のカテゴリーがどのように動くかを把握している独立系のディストリビューターは、どれほど大規模なネットワークよりもはるかに価値がある。規模の拡大そのものを追い求めるあまり、自社商品が本来どこにあるべきかを教えてくれる貴重なインサイト(洞察)を見失ってしまうブランドを、私は何度も見てきた。

そのインサイトは双方向に流れるものであり、それこそが私が最も重視する部分だ。ディストリビューターは、店頭での躊躇する声を聞き、その1週間後には称賛の声を聞く。ブランド側に聞く耳があれば、このフィードバックは、費用を支払って得る大半の市場調査よりも価値がある。流通の関係性を双方向のチャネルとして扱うことで、単に商品を運ぶことだけを望むブランドよりも、格段に早いペースで改善を重ねることができる。

これらはすべて、一挙に解決できるような大仕事ではない。決してそうではない。小売店からの信頼を獲得するまで、長期間にわたり一貫して、適切に下され続けた100の小さな意思決定の積み重ねなのだ。このビジネスにおける評判は複利のように蓄積していく。店舗オーナー同士は話し合い、ディストリビューター同士も会話を交わす。取引がしやすく、棚を欠品させないことで知られるブランドには、対応の難しいブランドには決して届かないようなチャンスが舞い込んでくる。

だから、ブランドからどこを削るべきか尋ねられたとき、私が最後に挙げるのが流通である。流通をコストとして扱えば、商品は漂流する。戦略として扱えば、明確な目的を持って動き出す。そして、その目的こそが、最終的に棚に現れるものなのだ。

forbes.com 原文

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事