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2026.07.31 08:47

AI時代の勝者は「正しい問題」を問い続ける人だ

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シェリル・ストラウス・アインホーンは10年近くにわたり、企業が答えたがらない問いを投げかけることでキャリアを築いてきた。バロンズ誌の調査報道記者として、彼女の取材は株式取引を停止させ、企業を閉鎖に追い込み、あるCEOを刑務所送りにするきっかけにもなった。証拠を問い詰めるその本能は、その後も彼女から離れなかった。それは、コーネル大学の非常勤教授として現在教えている意思決定フレームワークの土台となり、最新著書『The Human Edge: Smarter Decisions in the Age of AI(ヒューマン・エッジ:AI時代のより賢い意思決定)』のテーマにもなった。

アインホーンはこの数年間、人々が実際にどのようにAIを使っているのか──自称ではなく実態を──研究してきた。彼女の結論はこうだ。ツールは私たちの思考習慣よりもはるかに速く変化した。人間の判断と機械の支援の関係を誤ったとき、何が危険にさらされるのか。私は彼女に話を聞いた。

アインホーンは自身のフレームワークの起点を、報道現場に求める。「ジャーナリズムから学んだのは、最初の説明が事の全貌であることはほぼないということです」と彼女は語る。「調査報道記者として、私は前提を疑い、欠けている視点を探し、証拠を検証し、結論に至る前は不確実性に耐えることを覚えました。ビジネス教育では効率的に意思決定するためのフレームワークが重視されがちですが、ジャーナリズムは、そもそも正しい問題を解こうとしているかを何より重視するよう鍛えてくれました」。この習慣は「答えが溢れているが、判断は依然として人間に固有の責任であるAI時代において、いっそう価値がある」と彼女は主張する。

その責任こそ、多くの人が手放してしまっているものだと、彼女は気づいた。2022年のChatGPT(チャットGPT)登場以降、人々の使い方を研究し始めたとき、彼女はもっと多くの「問い」が生まれると期待していた。ところが「私が見たのは、多くの人がAIに、自分とともに考えるのではなく、自分の代わりに考えることを求めていた姿でした。メールの草稿作成や文書要約に使うだけでなく、意思決定を下し、問題を定義し、意見までも形成させるためにAIに頼るようになっていたのです」。この違いが重要なのは、「AIの最大の価値は、人間の判断を置き換えることではなく、それを拡張し、揺さぶることにある」からだ。

リスクの一端は、自信に満ちた語り口を正しさと取り違えることにあると、アインホーンは指摘する。「人々が犯す最大の間違いの1つは、流暢さと正確さを混同することです。AIは説得力ある応答を生成するよう設計されていますが、それが真実であることを保証するわけではありません。だから私は、AIのすべての回答を『決定』ではなく『草稿』として扱うよう勧めています」。彼女のチェックリストはこうだ。「この情報はどこから来たのか。どんな証拠がそれを裏付けているのか。何が欠けている可能性があるのか。そして、反対する立場の人なら何と言うだろうか」。

AIが時間をかけて私たちから学習する過程には、より微妙な危険もある。「危険なのは、AIが誤情報を与えることではありません。ますます見慣れた情報を与えるようになることです」と彼女は語る。「AIは私たちの過去の行動から学びます。だから時間とともに、新しい可能性に触れさせるのではなく、既存の好み・信念・習慣を強化してしまう可能性がある。私たちの好みを予測するのが上手くなればなるほど、心地よい、しかし狭まっていく世界観の中に留まりやすくなるのです」。彼女の助言は率直だ。「よい意思決定には、自分が見ていないものを能動的に探す姿勢が必要です。リスクはAIが私たちの選択を形作ることだけではなく、私たちが考慮する選択肢そのものを静かに制限してしまうことなのです」。

AIが役立つ場面と、逆に主導権を奪ってしまう場面を説明するため、アインホーンは2つの人物像を提示する。すべての進路選択を機械に委ねる「ランボルギーニのドライバー」と、明確に区切られた作業にのみAIを投入する「外科医」だ。「ランボルギーニ・ドライバー・モードは、自分がどこに辿り着きたいのかまだ定まっていないときに起こります」と彼女は言う。「AIは価値ある、高速で高性能な『思考のパートナー』になり得ますが、行き先そのものが決まっていない段階では、意思決定者になってはいけません」。外科医モードは異なる。「すでにどんな意思決定をしようとしているかが分かっており、AIを使って必要な情報を素早く効率的に取り出し、自分の判断に戻る使い方です」。最もありがちな失敗は「ランボルギーニ・ドライバー型の問題を、外科医型の問題として扱うこと」だと彼女は言う。「何が重要か、成功とはどんな姿か、誰の利害が絡んでいるかを明確にする前に、自由回答型の意思決定をAIに丸投げしてしまうのです」。処方箋は「まず自分に問いかけること。『自分は何の問題を解こうとしているのか?』」だ。

人々はしばしば、テクノロジーの問題だと思い込んでいるが、実は思考の問題を抱えているとアインホーンは言い、例を挙げる。「あるマネジャーはチームのパフォーマンスをどう上げるかAIに尋ねるが、本当の問題は期待値が明確に伝えられていないことにある。ある起業家はどの戦略を追うべきかAIに聞くが、より深い問いは、そもそもどんな事業を築きたいのかにある」。彼女のルールはこうだ。「AIツールを持ち込むのは、自分自身の人間としての思考と判断を先に働かせた後にすること。そうしなければ、AIは他人がしてきたことを基にした答えを返すだけで、それはあなたの問題や目的とは無関係かもしれません」。

厳密さは、賭け金の大きさに比例させるべきだと彼女は語る。「実践的なルールは、可能性を生み出す用途ではAIを信頼し、しかし重要な意思決定に影響する情報は必ず検証することです。出典を求めなさい。可能なら一次資料に当たりなさい。重要な事実は相互参照しなさい。とくにAIが非常に具体的に聞こえる情報を出したときは注意すること。自信と正確さは同じではないのですから」。彼女の言葉を借りれば「AIは予測エンジンであって、真実エンジンではない」。

アインホーンは、AIが私たちの聞きたいことを言おうとする傾向についても率直だ。「AIは肯定的な情報を提示しがちです。それは往々にして、ユーザーが暗黙のうちに求めているものだからです」。彼女の対抗策は、反対尋問的なプロンプトのセットだ。「『この決定に反対する最も強力な論拠は何か』『私に完全に反対する人なら何と言うか』『どんな証拠があれば私は考えを変えるか』」。目的は「自分が正しいと証明することではなく、現実が代わりに教えてくれる前に、自分に何が見えていないかを発見すること」だ。

アインホーンは、能力の萎縮も懸念している。「筋肉は使わなければ衰えるように、特定の認知能力も、絶えず外部委託していると劣化する可能性があります」と彼女は語る。「私が最も懸念しているのは、この喪失は気づきにくいということです。AIは瞬間的には私たちを生産的に感じさせてくれるからです。仕事は依然として片付く。しかし時間が経つにつれ、私たちは自分の判断を働かせなくなり、自分の判断への自信を失っていくかもしれません」。

短いエレベーターの中で誰かに何を伝えるかと問われて、アインホーンは即答した。「AIを使うのは、自分の思考を改善するためであって、置き換えるためではありません。AIが最も得意なこと──情報の収集、選択肢の生成、資料の要約、前提への挑戦──はAIに任せなさい。ただし、判断を要する瞬間を外部委託してはいけません。AIは何が起こりそうかを教えてくれます。しかし、何が重要かを教えることはできません。あなたの目標を選び、あなたの価値観を秤にかけ、どのリスクを取る価値があるかを決めることはできない。AI時代に最も恩恵を受けるのは、あらゆる意思決定にAIを使う人ではありません。いつAIに頼り、いつ自分で考えるかを分かっている人たちです。そして忘れないでください。最初の答えは、決定ではなく草稿です」。

これは、チャットボットが即座に自信たっぷりに答えを返してくるたびに、噛みしめる価値のある区別だ。速さは本物である。そしてそれを叡智と取り違える誘惑もまた本物だ。AI時代の勝者は、それを最も速く導入した者ではなく、アインホーンのように、自分がそもそも正しい問題を解いているのかを問い続ける者かもしれない。

forbes.com 原文

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