米国のプロスポーツでは、投資ファンドがチームの少数株主として入る形が定着した。2019年に米大リーグ(MLB)が解禁し、2024年にはNFLも続いた。議決権を持たず運営にも関与しない代わりに、資産価値の上昇を取る。
その手法をワールドカップに持ち込む構想が、米国時間7月28日に公になった。FIFAは、大会の商業権と運営を束ねる新会社FIFAフォワード・エンタープライズ(FFE)を設け、株式の約20%を外部へ売ると発表した。企業価値は200億ドル(約3.18兆円)、調達額は最大42億ドル(約6678億円)とされる。主導投資家に想定されているのは、トランプ米大統領の娘婿ジャレッド・クシュナーの弟ジョシュが今春立ち上げた、投資会社スライブ・エターナルだ。助言役はJPモルガンが務め、F1を買収して価値を押し上げたリバティメディアの元最高経営責任者(CEO)も関与する。
7月30日、この構想に欧州と北中米カリブ海のサッカー界がそろって拒否を突きつけた。
41の加盟協会が拒否で一致、米国サッカー連盟も名を連ねる
北中米、中米、カリブ海地域のサッカーを統括する北中米カリブ海サッカー連盟(CONCACAF)は、FIFAが提案したワールドカップ事業の株式売り出し計画を拒否すると発表した。この数時間前には欧州サッカー連盟(UEFA)も同計画の完全撤回を求めてワールドカップのボイコットという劇的な措置を承認しており、物議を醸すこの構想は存続の危機に瀕している。
米国時間7月30日に発表された声明の中で、CONCACAFは、今週前半に発表された上記の計画について「深い懸念」を抱いていると表明した。「人為的に設定された短すぎる期限」を批判するとともに、「史上最も大きな利益を上げたFIFAワールドカップ」が終わったばかりの今、なぜ資金調達にプライベート・エクイティ・ファンドが必要なのかと疑問を呈した。
声明によると、CONCACAFに加盟する全41協会がこの株式売却計画を拒否している。その中には米国サッカー連盟も含まれる。同連盟は発表を受け、Xに「米国サッカー連盟はCONCACAFと加盟各協会とともにある」と投稿している。
CONCACAFの声明では、欧州サッカーを統括するUEFAが警告したような「ボイコット」への言及はなかった。
欧州55協会は提案の全面撤回まで大会に参加しないと発表
これに先立つ30日、UEFAは「この提案が存続する限り」、連盟に加盟する全55協会のいかなる代表チームもFIFAが主催する大会に参加しないと発表した。これには男女のワールドカップ、およびクラブワールドカップが含まれる。
UEFAは、「この提案が全面的に放棄」され、国際統括団体であるFIFAが二度と民間による所有を追求しないという「拘束力のある保証」が与えられない限り、ボイコットは継続されると明言した。
FIFAが支配権を握る新会社の株式2割を外部に売却し、開発資金を積み増す計画
FIFAが管理する新会社の株式約20%を売却するというこの計画は、FIFAのジャンニ・インファンティーノ会長が主導している。同会長は、ドナルド・トランプ大統領との親密さが指摘され、かねてから批判を浴びてきた。
FIFAによると、この計画についてはJPモルガンから助言を受けており、ジョシュア・クシュナーのスライブ・キャピタルが設立したファンドがリードインベスターを務めるという(ジョシュア・クシュナーの兄であるジャレッド・クシュナーは、トランプの娘イヴァンカの夫だ)。



