イランのミサイル攻撃は、空爆下においても効果を高めている
米軍の空爆がイランの正規軍や革命防衛隊の目標を激しく攻撃している最中でも、イラン軍は効果的に反撃する能力を高めている。
ニューヨーク・タイムズ紙によると、米国の情報機関はイランの弾道ミサイルの在庫の約70%が依然として無傷であると考えている。これは主に、強固な運用拠点と、米軍の攻撃後に損傷した機材を迅速に掘り出すイランの能力によるものだ。一方、他のメディアの報道によれば、イランの弾道ミサイルは最近精度が向上しているという。中国やロシアの人工衛星を利用しているとみられる高度な誘導能力を示すほか、下降時に軌道を調整できる弾頭を使用することで、妨害や破壊を困難にしている。
イランはまた、ロシアのウクライナでの戦いから学んだ攻撃戦術を効果的に取り入れているようだ。より小規模なミサイルの一斉射撃とドローンを使い、接近するミサイルから米国の防空システムの注意をそらしている。イランのミサイル精度向上は深刻化しつつある問題であり、紛争の展開に応じて注意深く見守るべき課題である。
イランの攻撃を受けて、米軍は中東の基地配置を再考
イランによる最近のミサイルやドローンによる攻撃がもたらした結果の1つとして、米軍は中東全域における部隊の配置を深刻に再考している。報道によると、中東にある最大20カ所の米軍施設に加え、格納庫や脆弱な滑走路上に配置されていた貴重な軍事装備が、イランのミサイルやドローンによる攻撃で深刻な被害を受けたという。クウェートやヨルダンでの攻撃では、複数の米軍兵士も死亡している。
筆者の見方では、米国は最終的に、人員と軍用装備をイラン兵器の射程外へ移すか、これらの資産を洋上へ再配置することを決める可能性が高い。また、既存の場所に残る資産を再建・強化し、これらの拠点での防空能力を増強するための集中的な取り組みも行われるだろう。
これらすべてには多額の資金が必要になる。
湾岸諸国は防空装備の調達を急ぎ、ウクライナにも接近
石油輸送ルートの再考に加え、いくつかの湾岸諸国も、イランによる破壊的なミサイルやドローン攻撃を受けて、自国の安全保障体制を見直している。ここ数カ月、湾岸諸国は迎撃ミサイルや無人航空機(UAV)、拠点防衛システム、精密ミサイルの購入を加速させている。これらの取引の多くは米国の防衛企業とのものだ。また、湾岸諸国が対ドローン兵器やその専門知識を獲得するために、ウクライナとの協力に関心を強めていることも注目に値する。この傾向は今後数カ月でさらに強まることが予想される。
「凍結された戦争」という第4のシナリオが最も現実味を帯びる
一般的な見方では、この紛争が最終的にどのような結末を迎えるかについて、3つのシナリオが想定されている。
シナリオ1:米国の軍事介入拡大により、イランに、特に海峡の管理権と核開発計画において意味のある譲歩を最終的に強いる
シナリオ2:米国が紛争から撤退し、欧州連合(EU)などの他のアクターに解決を委ねる
シナリオ3:泥沼の「終わりのない紛争」(アフガニスタンやイラクを想起されたい)となり、米国とイランがほぼ一定の緊張状態で敵対行為を続け、双方に多大な戦費と人命の損失を強いる
筆者は、これら3つよりも可能性が高いと思われる、もう1つのシナリオを想定している。それは、紛争が「終わりのない」状態というよりも「凍結」された状態になることだ。ホルムズ海峡に関しては何らかの合意(非常にもろいものである可能性が高いが)に達するものの、その他の米国の紛争目的については意味のある進展がほとんど見られない。この結末は、継続的な戦闘ではなく、くすぶり続ける緊張と散発的な戦闘が特徴となるだろう。人的・財政的なコストはより限定的なものになる。米国は地域から段階的に軍を引き揚げようとし、イラン政権は、紛争を生き延びたこと、そして紛争開始前よりも地域的な影響力を強めたことに満足する。
これらの選択肢のどれも米国の政策立案者にとって魅力的なものではないが、現時点でこれ以上に現実的な結末を見出すのは困難だ。
今後の動向を注視し、この紛争の展開について状況に応じて執筆していく予定だ。


