経営・戦略

2026.08.04 13:30

黒澤映画が映す社外取の本質

監査等委員会設置会社の監査等委員の社外取ともなると、さらにこの2倍以上の負担になる。執行部に「私は常勤なんですか」と愚痴をこぼしたほどだ。暇で高禄の社外取、という仕事などない。

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しかも、昨今は社外取の善管注意義務への監視が一段と強くなっており、株主からの要求も高度化しているので、気楽に引き受けたらとんでもないことになる。各社外取とも、私の知る限りでは、内部統制の構築とその効果的な運用に関して、神経質なほど意を用いている。各社それぞれに、どのようなガバナンスが最適で企業価値の向上に資するかを必死に考え、取り組んでいるものである。

こんな社外取が派手に表に出る場面はさほど多くはない。日常の業務が円滑、公正・妥当に執行されていれば、社外取たちは粛々と監視し、淡々と意思表示をしておけばよい。しかし、いったん緩急あれば彼らの出番である。M&Aや新事業の開始、巨額の設備投資等の前向き案件と経営上の隠れた瑕疵や不祥事などの後ろ向き事案に接したときだ。

つまり、あるべき社外取の役回りを一言で表せば「良識を備えた用心棒」なのではないか。そこで、株主や会社が社外取を起用する際の警句がある。これも桑畑三十郎の言である。

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「用心棒にも色々ある。雇った方で用心しなけりゃならねえ用心棒もあるんだ」。

やはり黒澤映画は深い。


川村雄介◎一般社団法人 グローカル政策研究所 代表理事、公益財団法人 日本証券経済研究所 研究顧問。1953年、神奈川県生まれ。1977年東京大学法学部卒、大和證券入社。1981年ワシントン大学法律学修士取得。長崎大学経済学部教授、大和総研副理事長を経て、現職。

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