PR業界に身を置いた過去20年間、私はプレスリリースが間もなく消滅するという予測を数え切れないほど耳にしてきた。今日、テクノロジーのエバンジェリストたちは再び、このフォーマットを廃止し、ブログ記事に置き換えるべきだと主張している。それは説得力があるように聞こえるが、大半の企業にとって、このアドバイスを受け入れることは自ら進んで情報を孤立させることに等しい。結局のところ、ジャーナリストの74%は今でもPRチームからのプレスリリースの受け取りを望んでいるのだ。
私はこのアドバイスを危険な罠だと考えている。オウンドメディアを優先してプレスリリースを放棄することは、すでにブランドが認知されている1%の企業にのみ許された特権だ。残りの99%にとって、それは「ディスカバリー・ギャップ(発見のギャップ)」、すなわち自社のコンテンツが真空の中で存在し、誰の目にも留まらない状態へと陥る近道にほかならない。
オウンドメディア単一戦略の隠れたリスク
自社ブランドの規模ゆえに、発信する一語一句が業界メディアに取り上げられるのであれば、プレスリリースをやめるべきだと主張するのは容易である。イーロン・マスクのような著名人がXに投稿すれば、それはただちに主要メディアの見出しになる。彼らには配信が不要だ。なぜなら、彼ら自身がほとんどニュース媒体のように機能しているからである。
しかし残念ながら、大半の企業にとって現実は異なる。例えば、タリンに拠点を置くスタートアップがブログ記事を公開しても、それを見るのは従業員と一握りの忠実な顧客だけだろう。自社の情報バブルを超えて視認性を獲得するには、オーディエンスが初めて自社ブランドに触れるための外部の「発見チャネル」が必要だ。それがなければ、誰にも見つけてもらえないコンテンツ作成に投資していることになる。
私の考えでは、オウンドメディア単一戦略の最大のリスクは、オウンドメディアが既存のオーディエンスの維持には優れているものの、新しいオーディエンスの獲得には弱いという点にある。ソーシャルプラットフォームでのオーガニックリーチが低下し続けるなか、外部の配信ツールを拒絶することは、自ら成長を制限することを意味する。
プレスリリースが今なお果たす3つの重要なビジネス目標
2026年になっても、プレスリリースは作成が容易で、企業が注目を集めるのに今なお有効な数少ないツールの1つであり続けている。特にメディア側がそれを期待しているからだ。ただし、効果を発揮するためには、正しく活用されなければならない。
プレスリリースは、以下のビジネス目標を達成するのに最も適している。
1. AEOやLLMによる検索においてブランドの視認性を高める
プレスリリースは、現在、ますます重要度を増している課題、すなわち「AI主導の検索における視認性の獲得」を解決する。調査によると、生成型の検索システムは、ブランド自身が保有するコンテンツよりも、独立したメディアや信頼できるサードパーティの情報源を引用する傾向が高い。そのような環境下において、プレスリリースは、企業に関する構造化され検証可能な情報を提供するための、最も拡張性の高い方法の1つであり続けている。
2. 規制当局、投資家、ジャーナリストに情報を開示する
上場企業にとって、プレスリリースは今なお不可欠な報告手段だ。決算発表、役員人事、戦略的取引などの公式記録を作成することで、情報の「唯一の真実(シングルソース・オブ・トゥルース)」を確立し、不整合や憶測のリスクを軽減する。
3. 実績を証明し、B2Bコミュニケーションにおける信頼を構築する
調達手続き、パートナーシップ交渉、投資家との協議において、権威ある媒体での報道は、企業の業績を外部から裏付ける証明となる。企業のブログ記事とは異なり、そうした報道コンテンツは密かに編集されたり削除されたりすることがないため、より信頼できる情報源となる。
要するに、プレスリリースは依然として、オーディエンス、市場、そして現代のAIシステムとの間で企業が信頼を築くための助けとなっているのだ。
プレスリリースの効果を最大化する方法
プレスリリースの効果は、第三者がどれだけ使いやすいかに左右される。したがって、私はビジネスリーダーに次のことを勧めたい。
1. ジャーナリストとAIシステムの両方に向けて書く
現在、プレスリリースはジャーナリストとAIシステムの両方に読まれており、それは異なる2つの読者層に対応しなければならないことを意味する。ジャーナリストは事実、文脈、そして潜在的なニュースの切り口を必要とする。一方でAIシステムは、明確な構造、具体的なデータ、そして曖昧さのない表現を必要とする。情報の解釈や引用が容易であればあるほど、両方の読者に利用される可能性が高まる。
2. 権威ある媒体への掲載を優先する
AIシステムが権威ある情報源を優先するため、一斉配信の効果は薄れつつある。その結果、掲載される「量」よりも「質」が重要となる。ロイターやフォーチュンといった信頼できるメディアに1件掲載される方が、権威の低いウェブサイトに数十件転載されるよりも価値が高い。メディアの信頼性が高ければ高いほど、そのコンテンツがジャーナリスト、投資家、そしてAI検索システムの目に留まる可能性は高くなる。
3. プレスリリースを今後の報道の土台として扱う
プレスリリースはもはや最終成果物ではない。ジャーナリスト、アナリスト、AIシステムがそれぞれの解釈を生み出すための素材として機能するからだ。優れたプレスリリースは、それぞれの読者に活用できる素材を提供する。金融メディアは数値に注目し、テクノロジー媒体は製品の詳細に焦点を当て、地方メディアは地域との関連性を模索するだろう。プレスリリースに企業の専門用語(ジャゴン)ではなく、具体的な情報が含まれていれば、すべての関係者にとって有用なアセットとなる。
4. マルチメディアを追加してリーチを広げる
強力なビジュアルは、メディアのパフォーマンス評価における重要な指標であるPV数の増加を助ける。高品質な画像や動画の提供が、掲載の決定打になることもある。当社の社内調査によると、ジャーナリストの72%が提供された画像を使用し、33%が報道に動画を組み込んでいる。編集部の人手不足が深刻化する現在、すぐに使えるマルチメディア素材は時間を節約し、ストーリーの魅力を大幅に高める。
5. 最初の公開後も配信を継続する
1つのメディアでプレスリリースを公開したからといって、成果が保証されるわけではない。オーガニックおよびペイド(有料)の両チャネルを通じて、関連する他のチャネルでも配信を継続すべきだ。獲得(アーンド)による報道が難しい場合でも、権威ある媒体への有料掲載(ペイド)はブランドの視認性を高めてくれる。人間とは異なり、AIシステムは情報源が十分に信頼できると判断すれば、アーンドメディアかペイドメディアかを区別しないからだ。
プレスリリースの適切な活用
プレスリリースが今なお重要であるのは、新規オーディエンスへのリーチ、AIシステムへの構造化され検証可能な情報の提供、そして公式な企業史の記録といった、ブログ記事では達成できない目標の達成を可能にするからだ。
プレスリリースを廃止する必要はないが、企業は価値の低い発表をただ垂れ流す場所としてプレスリリースを扱うのをやめるべきだ。「人々の関心」が最も価値のあるリソースである世界において、実績のある配信チャネルを放棄することは、自社を「見えない存在」のままにしておくリスクを伴う。



