長年にわたり、筆者はウェブサイトのSEOパフォーマンスを評価するうえで、キーワード順位、インプレッション、クリック率、オーガニックトラフィックといったいくつかの主要な指標を自信をもって用いてきた。これらの数値が着実に伸びていれば、ほぼ必ず売上の伸びを予測することができた。
しかし最近、変化が起きているのに気付いた。指標が上下しても、実際のビジネス成果には結びつかなくなったのだ。SEO会社の経営者として、クライアントへの報告や分析でこれらに頼り続けるわけにはいかなくなった。
その理由はAIにある。具体的には、GoogleのAI Overviewsだ。AI Overviewsは現在、検索の20%以上で表示されており、特定の業界や市場ではさらに高い数値が見られる。これによって検索結果ページの見た目や利用のされ方、クリックされる対象が変わった。筆者もそれに応じてSEOパフォーマンスの分析方法を変えた。
以下では、かつてクライアントへの報告や戦略立案において信頼していたが、もはやオーガニック可視性の実態を十分に反映しなくなった指標を紹介する。それらがなぜ以前ほど信頼できなくなったのか、そして代わりに何をモニタリングしているのかを説明する。
1. 検索順位
多くの人は今もSEOとは上位表示を目指すものだと考えているため、この指標を最も影響を受けたものとして挙げる。AI Overviews(AIO)が検索結果に表示されると、ユーザーが最初に目にするのはAIによる要約ボックスであり、その高さは平均で1200ピクセルにも及ぶ。つまり、おなじみの青いリンクの一覧は、ほとんどのデバイスでファーストビューの下に押し下げられる。
いまでは、1位を獲得したページでさえ、クリックされるどころか、まったく見られない可能性がある。AIOが表示される場合、最上位のリンクのクリック数は58%減少する。
筆者が100を超えるSEOプロジェクトを分析したところ、商業的・取引的・案内的なクエリでは影響が比較的小さいことが分かった。こうした検索でAI Overviewsが表示される割合は10%未満にとどまる場合が多い。
オーガニック順位は、AIOにおける可視性(引用や言及)の可能性とも相関しない。Ahrefsの調査によれば、AIOが引用するURLの約3分の2は11位以下にランクインしていた。
2. インプレッションとクリック率
Google Search Consoleは、ウェブサイトがオーガニック検索結果とAI Overviewsに表示された回数を、全体のインプレッションデータの一部としてカウントする。しかし、AIOが表示される検索の92%はクリックされることなく終わり、AI要約ボックス経由での訪問はわずか1%にすぎない。
ユーザーは、AIによる要約で疑問への回答が十分だと感じることが多く、AIOが情報源へのリンクを表示していても他のサイトを訪れる必要を感じない。これによりインプレッションは事実上役に立たなくなり、クリック率の計算式の一部でもあるため、この指標の重要度も下がってしまう。
筆者は、AIOの導入後、インプレッションが増え続ける一方でクリック数が50%減少するケースを目にしてきた。その結果CTRは低下し、事業者やマーケターの間に大きな不安が広がった。以前であれば、こうした傾向は検索結果でのページの表示のされ方に問題がある兆候だと捉えていた。だがAIOの登場により、この組み合わせはもはやウェブサイトのパフォーマンス上の問題や改善を示すものではなくなった。
3. オーガニックトラフィック総数
多くの業界人にとって、SEOはトラフィック測定なしには考えられない存在であり、筆者も同意する。しかし、この指標への向き合い方は変えた。ほとんどのサイトでオーガニックトラフィックの総数は減少している。マッキンゼーは、AI検索によってトラフィックの最大50%が失われる可能性があると予測している。
総数だけでは、何が減少し何がまだ持ちこたえているのかが見えない。筆者が関わったサイトでは、AIO導入以降、ブログセクションのクリックが最大87%失われた一方、インタラクティブな機能やツール(計算ツールなど)を備えたページは伸び続け、訪問者は平均で最大500%増加した。そのほか、問い合わせ、CTA、製品、サービス、ローカルなどの各ページでもトラフィックの増加が見られた。
筆者は今も総トラフィックを診断用の指標として使っている。しかしより実用的な洞察や有用なレポートを得るためには、インテント(意図)別にセグメント化し、コンバージョンと合わせて見ている。このアプローチによって、全体の減少が商業目的のトラフィックにも影響を及ぼしているのか、それとも単にAIOがファネル上部の検索者を奪っている結果にすぎないのかを見極めることができる。
結論
AI Overviewsの影響を踏まえて筆者がSEOモニタリングをどう調整したか、要点をまとめる。
・購買行動の調査や検討段階に関連するキーワードではなく、指名検索や購買意図の高いトランザクショナルなクエリからの順位とトラフィックをモニタリングする。
・オーガニックトラフィック全体をセグメント化し、商業的関心のある質の高い訪問に注目する。
・全般的なインプレッションやクリックではなく、オーガニック検索からのリードとコンバージョンを追跡する。
これらの指標は、2026年においてブランドの可視性を分析し、収益を生み出す戦略を立てるうえで、旧来の多くのSEO指標よりも重要になっている。問題を診断する際には従来のSEO指標も引き続き使っているが、主要な変化は明らかだ。指名検索とAIでの可視性が、実際のビジネス成果にとってより大きな意味を持つようになったのである。



