組織は通常、シンプルな志からスタートする。基本的なニーズを解決するためのビジョンと、社会に貢献したいという願いだ。やがて組織は成長し、拡大し、利益を上げ始める。そこから悪循環が始まる。野心、事業規模、顧客基盤が拡大するにつれて、組織の構造、役割、プロセス、ポリシー、そして官僚制度も肥大化していく。かつては問題解決のために下されていた意思決定が、いつの間にか周囲にアピールするためのものに変わり始める。関心の対象は顧客から社内のステークホルダーへと移り、迅速にサービスを提供する能力は、社内のすり合わせ(アライメント)に時間を費やすことへとシフトしていく。そして、共に物事を成し遂げる喜びは、対立の火種へと変貌を遂げるのだ。
複雑さと俊敏性
世界中のほぼすべての市場を網羅してきた私のグローバルな経験において、「複雑さ」と「俊敏性」は日々目の当たりにし、実感する2つのテーマである。すべての大手多国籍企業(MNC)は、創業者のマインドセット、俊敏性、そしてハングリー精神を持って運営しようと努力しており、多くの企業がスタートアップの文化を築きたいと望んでいる。
では、何がそれを阻んでいるのだろうか。あるべき姿をこれほどよく理解していながら、なぜリーダーは行動を起こすことを躊躇してしまうのか。複雑さは、取締役会、プレゼンテーション、意思決定、人間関係を通じて、そして最終的には、顧客にサービスを提供する能力や、そもそも企業が存在する理由そのものを蝕みながら、ゆっくりと忍び寄ってくる。
問いかけるべき12の質問
もしあなたが、思うような成果が出ない理由を理解しようと苦戦しているリーダーであるなら、思考のヒントとして以下の質問を自分に投げかけてみてほしい。
1. あなたの野心は、意図、行動、あるいはガバナンスのレベルにおいて、パーパス(存在意義)とずれてはいないか。
2. 組織が一夜にして複雑になることはめったにない。官僚制度が妨げになっているのはどこか。
3. 思考を言語化するプロセスが、複雑さを生み出しているのではないか。
4. すでに手放すべきであるにもかかわらず、あなたが守ろうとしているものは何か。
5. 顧客について考えることよりも、社内の調整に頭を悩ませる方が疲れるようになっていないか。
6. 相手の言葉に深く耳を傾けているか、それともただ反論するタイミングを待っているだけか。
7. ガバナンスが、時間と労力を消費し、疲弊を招くツールになっていないか。
8. 例外措置が原則に優先することで、エンゲージメントを高め、組織文化を発展させるためのポリシーが形骸化していないか。
9. 重ねられた「変革」や「シンプル化」のプロセスのせいで、システムが息詰まっていないか。
10. 特定の取り組みにおいて、責任者を1人だけ挙げるのが困難ではないか。
11. インサイト(洞察)よりも、ダッシュボードの数の方が多くなっていないか。
12. 「より多くのもの」に注意を払っているか。決裁、レビュー、プレゼンテーション、正当化、議論、政治的駆け引きの増加。これらは有形のものか、それとも無形のものか。
複雑さをコントロールする方法
もしあなたが、複雑さを味方に引き入れ、過去に解決できなかった問題を解決できるように成果の方向性を変えたいと心から願うリーダーなら、次のような問いを常に自分に投げかけ続けることを提案する。
1. 自分が解決しようと志した、顧客やクライアントの課題を本当に解決できているか。
2. 新たな展望や側面が現れるなかで、その課題自体を継続的に理解できているか。
3. 新たなインサイトから得られた、これまでに下したことのないリーダーシップの決断(選択)を行っているか。
4. 自分を不安にさせるようなことも含め、新しいことを学ぶ姿勢を持っているか。
複雑さは成長の避けられない結果ではない。それは、リーダーが行ってきた決断(選択)の積み重ねによって生じる結末なのだ。



