米大統領選で「大麻解禁」議論 ヒラリーも規制緩和に言及

民主党の大統領候補バーニー・サンダース氏 (Albert H. Teich / shutterstock)

11月4日、民主党の大統領候補バーニー・サンダースは、アメリカ政府の大麻規制を無効化する考えを明らかにした。その3日後にはヒラリー・クリントン候補も現状のマリファナ規制をわずかに緩める考えを述べた。

サンダースの大胆な姿勢に比べ、ヒラリーの態度はかなり保守的だ。彼女はたとえ国民の大半が大麻解禁を望んでいるとしても、それを承認するつもりがない。サンダースが指名を獲得する可能性はかなり低いが、彼の発言でヒラリーもこの問題に言及せざるを得なくなった。大麻の合法化は特に民主党支持者らに支持されている。大麻の法的位置づけを変え、医学的研究を推進するというヒラリーの案は、有権者に取り入る狙いもあるようだ。

しかし、サンダースにもまだチャンスはある。最新の世論調査で彼は民主党支持者の3分の1の支持を得ている。大麻の合法化を主張した候補者は過去にもいたが、彼らの発言はほとんど影響力を持たなかった。当時の世論はまだ大麻の合法化に傾いていなかった。

マイク・グラベル(民主党/アラスカ州選出)は、2008年の大統領選で「大麻はアルコールのように扱われるべきだ」と主張し、その前年には「酒屋で大麻の売買が認められてもいいではないか」と発言していた。しかし、グラベルの予備選挙での支持率はたった0.14%。彼は2008年にリバタリアン党へ移籍し、その翌年には大麻食品企業のカンナビス・サティバ社(Cannabis Sativa Inc.)の役員となった。その後、サティバ社はアメリカ店頭市場 ( OTC Market ) で株式公開を行い、11月中にはナスダックへの移行上場を予定している。

サティバ社CEOのゲーリー・ジョンソンも2011年に、共和党の大統領候補として大麻の合法化を主張した人物だ。同年6月の『ローリングストーン』のインタビューでは「アルコールより大麻ははるかに安全だ」と主張した。記事中でジョンソンは「共和党の見えざる候補者」と称されたが、その後は大して注目されなかった。彼は討論会からはほとんど除外され、2011年12月には、出馬取り消しを表明した。

今回の大統領選に共和党から立候補したランド・ポールの父親のロン・ポールも、かつて大胆なドラッグ合法化を唱えたことで知られる人物だ。ロン・ポールは1988年にリバタリアン党から大統領選に出馬。大麻に限らず法で禁じられている全ての薬物の合法化を主張した。

「成人の間で行われる薬物の売買は法で規制されるべきではない。なぜなら、市場の原理を見ればわかるように、政府の介入は決まって逆効果となるからだ」と、彼はリバタリアンの月刊誌に寄稿した。2011年に出版した著書『Liberty Defined』では「アメリカ人は麻薬規制の愚かさにいずれ気づくことになる」との持論を展開した。
「ドラッグ関連の犯罪件数は、禁酒法時代の犯罪数をはるかに上回る。1933年に禁酒法が廃止に至った時と同様に、いずれアメリカはふと我に返り、個人の行動を改善させるための規制は無意味だったと気づくだろう」

この件に関しては、息子のランド・ポールも同じ意見を持つように見える。ランド・ポールは薬物規制法により不当に苦しんでいる人々がいることを非難し、連邦政府が州レベルの大麻合法化を妨げるべきではないと話してきた。

今回の大統領選において、これまでランド・ポールは「最も大麻に寛容な大統領候補者」だった。しかし、この肩書は今では民主党のバーニー・サンダースのものとなった。サンダースは10月13日にラスベガスで行われた討論会で「もしネバダ州に住んでいたら、2016年の住民投票で大麻の合法化に賛成票を投じる」と発言した。

翻訳編集=上田裕資

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