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2026.07.30 07:52

ラジオもポッドキャストもオーディオブックも——AIが音声メディアを塗り替える

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人工知能(AI)はすでに、私たちの社会、文化、経済、日常生活に浸透している。医療保険の請求が支払われるかどうかをAIが決める。AIは、何百万人もの人々の職場での事務作業を支援している。カスタマーサービス上の問題で電話をかけると、AIが応答する。何百万人もの学生が、学習の負担を軽くするため、あるいは不正をするためにAIを使おうとしている。

AIが音声業界に入り込むのは避けられなかった。本稿では、AIがすでに音声業界、すなわちオーディオブック、ラジオ、ポッドキャストにどのような影響を及ぼしているのかを検証する。また、消費者が音声業界におけるAIをどのように評価しているのかも考察する。

まずはオーディオブックから見ていこう。先週、AIオーディオブック企業のSpokenが、Edison Research at SSRSが実施した興味深い「独立系」調査を発表した。その結果、Spokenのマルチキャスト朗読が、従来の人間による朗読を、エンゲージメント、好感度、体感品質のいずれにおいても上回っていることが示された。この調査は、現在のオーディオブック市場で最も一般的なカテゴリーである、キャラクター主導のフィクションに焦点を当てたもので、出版業界におけるAI活用にとって重要な節目となる。

この調査では、米国のフィクション系オーディオブックリスナー1000人以上を、内容を伏せた2つのグループに無作為に割り当て、新作SFスリラーのサンプルを、プロによる一人語りの人間ナレーション版か、編集なしのワンクリック生成によるSpoken Multi-Cast™朗読版のいずれかで体験してもらった。業界関係者が、没入感のあるストーリーテリングへの急増する需要に応えるためAI朗読を探るなか、この調査は、話すキャラクターごとに異なる声を統合するAI技術に消費者がどう反応するかを大規模に示す初の試みである。この形式は歴史的に、フルキャストの人間制作に限られてきた。

「これまでは、AI朗読という概念に対する消費者の意見しか測定していなかった」と、Edison Researchのバイスプレジデント、ミーガン・ラゾビックは述べた。「今回初めて、実際のオーディオブックの抜粋に対するリアルタイムの反応を測定できた。AI朗読と人間の朗読の受容度に違いはあるのか。リスナーの聴取意向や購入意向はどうか。AI版と人間版を聞き分けられるのか。私たちが得たのは、朗読がどのように制作されたかにかかわらず品質が重要であり、リスナーは体験を向上させるものに対して開かれている、という明確なシグナルだった」

SpokenのCEOであるフィル・マーシャルは、このデータはSpoken創業以来の自身の信念を裏づけるものだと付け加えた。「私自身、音声だけで読書する読者として、物語に没入できることが最も重要だ。結局のところ、読者が求めるものが業界の意思決定を左右する。高品質なマルチキャスト朗読こそ読者が求めるものであり、低コストのワンクリック・ソリューションこそ著者や出版社が求めるものだ。複数キャラクターの場面を重ね合わせるSpoken独自の特許出願中のアプローチにより、読者が対価を払う没入型オーディオブック体験という約束を実現できる」

ポッドキャスト・コンサルタントのジョージ・ウィットは、この調査に懐疑的な目を向ける。「もちろん、この調査はAIオーディオブック企業が実施したものではないとはいえ、調査資金を提供した企業のビジネスモデルを正当化している点で、いささか疑わしい。1960年代にタバコ会社が、喫煙は健康に危険ではないと人々に信じさせるために、この手法を使わなかっただろうか」

  • 調査によると、調査開始時点でAIオーディオブックを聴く可能性が高いと答えたリスナーは31%にとどまったが、抜粋を聴いた後には65%と2倍以上が、Spoken Multi-Cast™を使って朗読されたオーディオブックを聴く可能性が高いと答えた。
  • 違いを聞き分けられない。Spoken版を聴いた人の61%がそれを人間だと思い、人間版を聴いた人の65%がそれを人間だと思った。
  • 調査はまた、品質と没入感はコストや著名人よりも重要だと結論づけた。AI朗読オーディオブックを聴く可能性を高める最大の要因は、品質の向上、没入感の向上、複数のキャラクターボイスの使用であり、著名人の声を聴くことではなかった。

これらの結果は、オーディオブック業界にとって重要な時期にもたらされた。Grand View Researchによると、世界のオーディオブック市場は長年にわたり2桁成長を遂げており、2030年までに350億ドル(約5兆7300億円)を超えると予測されている。

調査方法は次の通りである。米国のフィクション・オーディオブックリスナー1000人超に、人間による朗読またはSpoken Multi-Cast™のAI朗読によるオーディオブックの抜粋を無作為に割り当て、その後、一連の追跡質問を行った。データは、Edison Research at SSRSとSiriusXM MediaによるThe Infinite Dial 2026で確立されたオーディオブック消費者の人口統計に一致するよう重み付けされた。各処置群も、年齢、性別、民族性、SF/ファンタジーのオーディオブックへの関心が互いに一致するよう重み付けされた。

「ナレーターは言葉を読むだけではない。言葉の下にある感情を察知し、表現する。AIにはこの仕事は決してできない。人間であることの何十年もの経験を必要とするからだ」と、オーディオブックのナレーター、エイプリル・ドーティはThe Guardianで反論している。

アダム・バーナーはThe Literary Hubで次のように指摘する。「本が声に出して朗読されるとき、二重の芸術形式が成立する。本はナレーターによって解釈され、ナレーターはリスナーにとってレンズの役割を果たす。イプセンの『人形の家』に多くの上演があり、それぞれが演じる俳優や劇場に固有のものであるのと同じように、本の朗読は一つひとつが唯一無二のパフォーマンスである」

あなたの好きなラジオDJは人間か

人工知能は地上波ラジオにも浸透している。ラジオ局では、AIがDJを務めたり、無人時間帯の司会をしたり、放送業務を自動化したりするために積極的に使われている。Live365によると、RadioGPTのようなツールは、合成音声、台本作成、選曲を組み合わせ、地域で話題になっているトピックに基づく、AI司会のまったく新しい番組を作成する。ラジオ局はAIを使って、深夜帯、週末、あるいは本来なら事前録音、ボイストラック、司会者なしの音楽が流れる時間帯を埋め、人員を配置せずにリアルタイムの地域情報を提供できるようにしている。

しかし、より不穏なのは音声クローニング機能である。企業は人間の司会者の声を複製し、本人がその場にいないときにAIの分身を作れる。たとえば、ポートランドのLive 95.5は2023年、「AI Ashley」を華々しくデビューさせた。これは人間の司会者のクローン音声である。アシュリーが旅行中や就寝中でもその声をオンエアし続けられるのは素晴らしいことだが、一方で、彼女の代役を務めたいと考える新進の人間の司会者が、潜在的な仕事を失ったことを意味する

大企業からでさえ反発は起きている。たとえば、全米で数百局を運営するiHeartMediaは「Guaranteed Human」プログラムを導入し、リスナーの嗜好に応えて本物の人間的つながりを確保するため、人間の司会者にオンエアで自らが人間であることを明示するよう求めている。

今後、AIがラジオ局にさらに入り込む機会は増える。Futuri MediaのRadio GPTは、複数の技術を組み合わせてラジオ番組を「司会」するAIツールである。基本的には、前述の合成音声、DJ、AIの台本作成機能を組み合わせ、局内でまったく新しいラジオ番組を作り出す。

Radio GPTはGPT-4技術を使い、地域市場で話題になっている内容に基づいて台本やデジタルコンテンツを作成する。さらに、局のウェブサイトやソーシャルメディア向けのコンテンツもリアルタイムで制作できる。

各局は、単独、2人、3人司会の番組向けにさまざまな合成AI音声を選ぶことができるほか、既存のパーソナリティの声でAIを訓練することもできる。番組編成は個別の時間帯で利用でき、RadioGPTが局全体を動かすことも可能である。

あなたのポッドキャスト司会者は人間か、合成音声か

Podnews は最近、「ポッドキャストはAIスロップであふれているのか」と問いかけた。Podcast Indexによれば、新番組については、通常の人間が制作したポッドキャストは今や少数派になっているようだ。Podcast IndexのNew Feeds Reportで確認できるように、執筆時点では過去24時間の新番組のうち「正当に見える」ものは44.6%にとどまり、45.7%はAIによって制作された可能性がある。

The Independentは、Podcast Indexの業界データによれば、ストリーミングプラットフォームにアップロードされる新規ポッドキャストの3分の1以上(35〜39%)が現在、人工知能によって生成されていると報じている。実際、最近のピーク日には、AI生成番組の数が、新たに投稿された人間制作のポッドキャストを上回った日さえある。

Podcast IndexのNew Feeds Reportはまた、Inception Point AIが火曜日に325本の新番組を公開したことを示している。その日の新番組全体のほぼ5本に1本に相当する。Spreakerがホストし、Podtracが監視しているが、Podcast Indexがそれらを断続的にインデックスから削除しているように見えるため、Inception Point AIの番組が何本制作されたのかは不明だ。筆者らの集計では、なお8000本超が残っている。


FORBES | バーナード・マー
AIポッドキャスト司会者は放送の魂そのものを破壊するのか

AI生成ポッドキャストは、多数の無料オンラインツールを使ってわずか数分で作成できる。それぞれの番組では、作成者が指定したトピックについて、人工的な司会者の合成音声が語り合う。

Inception Point AIのように、AIポッドキャスト専業の企業さえ存在し、毎週何千本ものポッドキャストを量産している。同社のウェブサイトには、英国人庭師のナイジェル・シスルダウン、ファイナンシャルアドバイザーのペニー・パワー、セレブゴシップを扱うVVスティールなど、さまざまな「AIパーソナリティ」が掲載されている。

2025年1月のForbes の記事で、PRXの最高執行責任者ジェイソン・サルダーニャは、AI司会者の利用について「最低レベルのエンゲージメントを得るために市場をコンテンツであふれさせる」ことは長期戦略ではないと警告し、批判した。彼は、ポッドキャストの真の力は「司会者とオーディエンスの関係」にあり、最も成功している番組は「オーディエンスと1対1の関係」を持っていると強調した。

ちょうど今週、 Semaforは、The Washington Postの基準担当トップ編集者が木曜日、新たなAI生成パーソナライズド・ポッドキャストにおける「苛立たしい」誤りを非難したと報じた。同機能の開始は、同紙の記者たちに不安をもって受け止められている。

今週初め、The Postは同紙のモバイルアプリ利用者向けに、パーソナライズされたAI生成ポッドキャストを展開すると発表した。リリースで同紙は、利用者が好みのトピックやAI司会者を選ぶことができ、「自分のブリーフィングを形づくり、トピックを選び、長さを設定し、司会者を選び、近くAsk The Post AI技術を使って質問することさえできる」と述べた。

しかし、その製品が公開されてから48時間もたたないうちに、The Post内部の人々は、4人の情報源がパーソナライズド・ポッドキャストにおける複数の誤りと表現した問題を指摘した。誤りは、比較的軽微な発音ミスから、引用の誤帰属や捏造、論評の挿入といった記事内容への重大な変更まで幅広い。たとえば、情報源の発言を、ある問題に対する同紙の立場として解釈するようなケースである。

ラジオと同様に、ポッドキャストの制作者や配信者もAIにガードレールを設けている。

ポッドキャストホスティング企業RSS.comは、すべてのポッドキャスター向けにAI開示機能を追加した。現時点では互換性を確保するためpodcast:txtタグを使用しており、いつ使うべきかについてのガイドラインを発行している。同社は、ポッドキャストにAI開示タグを追加した初の企業だとしている。このタグは同社の番組Podcasting Innovationで導入されている。

Apple Podcastsは、「ポッドキャストの音声の重要な部分を生成するためにAIを使用するクリエイターは、各エピソードおよび/または番組の音声とメタデータで、このことを目立つ形で開示しなければならない」と求めている

TrueFansとPodnews Weekly Reviewのサム・セティは、AIは適切に使えば価値あるツールになり得ると見ている。サムはこう説明する。「AIによって、ポッドキャストの内容をはるかに深いレベルで分析できるようになっている。番組が何についてのものかだけでなく、その中で何が起きているのかを分析できる。テーマ、トピック、意図のシグナルを特定し、関連ブランドに結びつけられる。コンテクスチュアルターゲティングは次の段階に進んでいる。広いカテゴリーやジャンルから、特定のエピソードへ、そしてますます、意図が形成され、表現される会話内の瞬間へと向かっている」

サムは付け加える。「しかし、ここでAIが価値を創出しているわけではない。価値を明らかにしているのだ」

サムは、AIが「私たちはもはや、自分たちが見ているものが本物なのか、AIプログラムによって作られたものなのか確信できない」世界を生み出すとも警告する。「悪意ある者の手に渡れば、AIはあらゆる不正な目的に使われ得る」

Sounds Profitableのトム・ウェブスターはこう述べた。「Podcast Landscape 2025では、ポッドキャストを一度でも利用したことがある18歳以上の米国人(人口の75%)に質問を入れた。架空の新しいポッドキャストを試すかどうかを尋ねるのではなく、自分のお気に入りのポッドキャストのコンテンツまたは広告にAI生成音声が使われていると知った場合、人々はどう反応するかを尋ねた。そのポッドキャストを聴き続ける、または見続ける可能性は高まるのか、それとも低くなるのか」

調査の詳細データを解釈して、トム・ウェブスターはこう述べている。「大学教育を受けた層の間で、AI音声のポッドキャストを受け入れることへの抵抗感が強まっているのは、無知によるものというより、この技術が労働者の一群全体にもたらしてきた、そして今後ももたらし続ける実存的脅威に対する、情報に基づく警戒感によるものかもしれない。この種のコンテンツで成功するには、優れた実行だけでなく、この警戒感に対処する手段も必要になる。AIはポッドキャストにやって来るかもしれないが、誰かにそれを好きになれと強制することはできない」

Podcast Exchangeによれば、「ポッドキャストの司会者とオーディエンスの関係は、番組の成功にとって最も重要な資産であり、深いリスナーのロイヤルティ維持率収益化の可能性を生み出す。ポッドキャストは主に1対1の体験として消費されるため(通常はヘッドホンを通じて)、この親密なメディアは、司会者が単なる放送者ではなく、信頼できる友人や伴走者のように感じられる独自の環境をつくり出す」

AIは悪魔か、天使か

High Notesは、声優でBRAVAのCEOであるメリッサ・トムが司会を務める、声の芸術とビジネスを語るポッドキャストである。モンゴルの喉歌から声の健康、アクセント、ゲームなどまで、High Notesはそのビジネスの背後にある技を掘り下げる。

High Notesのシーズン4は現在制作中で、メリッサはこう語る。「私たちは、AIが私たちの業界にどのような影響を与えているかに、多くの注意を向けている」

Great Podsのイムラン・アーメド(別名キャプテン・ロン)はAIについてこう述べる。「盲目的な信頼はポッドキャストにおける本当の危険の一つであり、AIが担うあらゆる席、つまりリサーチャー、編集者、分析担当、配信者のいずれにも現れる。私はエンジニアではないが、それらの席の一つひとつをプロダクト管理できるだけのことは知っている。ツールの専門家である必要はない。何かがおかしいときに見抜けるだけの監督が必要なのだ。確認をやめた瞬間、それはAIではなくあなたの責任になる。そして私たち人間にはそれがわかる」

ポッドキャストにおいて、リスナーが透明性を非常に重視していることは明らかである。司会者が一貫して本物で共感できるコンテンツを届けると、リスナーは強いつながりを築き、それが直接的に信頼性へと転化する。複数の調査は、司会者が読み上げる広告推薦が非常に高い効果を発揮することを示している。従来のコマーシャルではなく、友人からの個人的な推薦のように聞こえるからだ。

ポッドキャストでも、オーディオブックやラジオと同様に、AIという魔人は瓶から出てしまった。再び瓶に押し戻す方法はない。しかし、『アラジン』の魔人が警告するように、「願いごとには気をつけろ」である。


FORBES | シェップ・ハイケン
AIに関する12の名言——AIはいかに私たちをより良くするか

比較対象として、スマートフォンを見てみよう。この技術はさまざまな面で、私たちの生活を明らかにより良く、より楽にし、ときにはより報われるものにしてきた。しかし同時に、社会的孤立、「スマホ首」、最も親しい関係の混乱、過激思想の横行する拡散も生み出してきた。

「現代の自動運転車の父」として知られるセバスチャン・スランは、AIについて次のように予測した。「AIの真の力は、人間を置き換えることではなく、人間とともに働き、どちらか一方だけでは達成できないことを成し遂げることにある」

forbes.com 原文

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