ファッション企業のCFOたち、サステナビリティを「P&L(損益)」の課題へと転換

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グローバル・ファッション・アジェンダ(GFA)は、今年のグローバル・ファッション・サミットで最高財務責任者(CFO)を主役の座に据えた。CEOからCFOへのシフトは、サステナビリティに関わるコストがもはや任意の支出ではなくなりつつあるという新たな現実を示すものだ。加えて、収束の見えないサプライチェーンの変動、極端気象、貿易情勢の変化、原材料価格の高騰も重なり、CFOの関与は避けて通れないものとなっている。

こうした背景から、GFAがボストン コンサルティング グループ(BCG)と共同で執筆した最新レポート『The CFO Agenda』が発表された。この報告書は、アパレル・インパクト研究所(Aii)のレポート『Cost of Inaction』や、H&MとEYによるホワイトペーパー『Accelerating Fashion Decarbonization』などの先行研究を踏まえたものだ。これら従来の報告書は、気候変動が企業にもたらす重大なリスクを明確に数値化している。また、CFOの役割の進化として、データ管理、追跡、予測、および事業運営やサプライチェーンを強化するためのサステナビリティ施策を組み込む資金配分(キャピタルアロケーション)などが含まれることを示している。しかし、計画や戦略の策定は、実行と同義ではない。

財務機能に組み込まれるサステナビリティ

「サステナビリティは重要であり、ブランドはそれを不可欠だと考えている。しかし、その統合レベルはあるべき水準に達していない」と語るのは、GFAのチーフ・サステナビリティ・オフィサーであるジャスティン・パリアグ氏だ。CFOに焦点を当てた本レポートの問題意識をこう説明する。この統合の欠如を掘り下げるため、レポートでは30名以上のCFOと上級幹部の匿名化された要望を集約し、サステナビリティ統合の成熟度に応じた4段階のランキングで分類している。コペンハーゲンで開催された年次のグローバル・ファッション・サミットで発表された本レポートには、優先度の代理指標としてサステナビリティへの言及を測るため、150社のブランドの決算説明会の分析も含まれている。

大半のCFOは、サステナビリティを「極めて重要」または「不可欠」と評価した。ただし同レポートでは、この言葉を労働環境から水質汚染に至るまで、社会的および環境的取り組みを網羅する幅広い意味で用いている。その一方で、サステナビリティが組織全体に完全に統合されている、あるいは財務指標に反映されていると回答したCFOはわずかだった。

同報告書は、CFOがサステナビリティ連動型の財務指標を導入し、日次、年次、そして複数年の計画において、コスト、リスク、長期的な業績をより適切に管理するための戦略的ガイダンスを提示している。また、CFOの役割を「リスク緩和者(Risk Mitigator)」から「変革推進者(Transformation Enabler)」までの成熟度段階に位置づけている(ただし、GFAとBCGは、今回調査・インタビューを行った30人のCFOの個別分類は行わなかった)。また、決算説明会の分析からは、言及回数の減少に伴い、サステナビリティの優先順位が下がっている傾向が示された。

GFAのCEOであるフェデリカ・マルキオンニ氏は、今回の初の報告書には製造業のCFOは含まれていないが、今後の版には反映される予定であると説明した。彼女は、最初に取り組むべき対象はブランドでなければならなかったと考えている。「ファッション業界には根本的な資本の再配分が必要である」と彼女は宣言し、CFOはその「シフトの設計者」であると付け加えた。マルキオンニ氏は財務責任者に対し、「CEOのビジョンのパートナーとなること」を求め、製品やサプライチェーンにおける慢性的な投資不足に終止符を打つよう呼びかけた。

しかし、サプライチェーンの基盤(サプライヤー側)における資本配分はどうなっているのだろうか。サプライヤーもサステナビリティの優先順位を下げているのだろうか。リサイクル素材への投資、プロセスの革新、エネルギー効率の向上といったサステナビリティ指標は、どの程度統合されているのか。そして、工場の現場では、財務とサステナビリティはどこで衝突するのか。

サステナビリティの価値を再評価するサプライヤー

「継続的な市場の需要がなければ、サステナブルなプロジェクトへの投資には限界がある」と、中国とベトナムに繊維・衣料品工場を構える、香港に本社を置くニュー・フォーカス・テキスタイルズ(New Focus Textiles)のパートナー、ジェニー・ピーターソン氏は語る。「サプライヤーは現在、不確実な市場環境の中で、慎重にリスクを管理し、コストを最適化しようとしている」

ニュー・フォーカス・テキスタイルズは2022年から2025年にかけて、次世代繊維やリサイクル繊維の在庫、自社のリサイクル施設、および回収活動の啓発プログラムに多額の投資を行った。しかしピーターソン氏によると、現在の市場の要求は変化しているという。「業界が急速に知的産業革命へと移行する中で、技術のアップグレードやプロセスの革新に対する需要がより強まっている」。ピーターソン氏はさらに、「私たちは、新しいサステナビリティ関連のプロジェクトやパイロットプログラム、カンファレンスに予算を割く代わりに、技術やオペレーションのアップグレードにより多くの資源を配分している」と付け加えた。

ピーターソン氏は、ニュー・フォーカス・テキスタイルズの今後の戦略として、3つの重要分野に投資する予定だと語る。それは、トレーサブル(追跡可能)で高品質な素材、効率向上とベンチマークのための新技術、そして中国とベトナムにおける新工場の建設である。新工場には、最先端の機械、水処理システム、太陽光発電、コンピューター管理された織りと染色、そして完成した生地の欠陥や染色時の色合わせの誤りを検出するスマート検査システムが導入される。

「製品のアウトプットを改善し、長期的な運営コストを削減し、コンプライアンス要件を満たすためのこれらの投資判断は、廃棄物の削減、サンプルの最小化、排水の減少、そしてより優れた染料や繊維の使用につながり、結果としてサステナビリティやESG目標の達成にも貢献する」とピーターソン氏は言う。サステナビリティにおける成果の数値化について、彼女は次のように述べた。「これは、WorldlyのFEM(工場環境モジュール)レポートや、Material ExchangeのMIS(素材情報システム)といったプラットフォームを通じて測定可能であり、優れた設備や技術、繊維に投資することが環境負荷の低減とトレーサビリティにどのように寄与しているかを確認できる」

ピーターソン氏は「スマート検査」におけるAIの活用を示唆したが、バリューチェーンの反対側にいるマンゴ(Mango)のCFO、マルガリータ・サルバンス氏は、『CFO Agenda』の中でこう嘆いている。「かつてはサステナビリティについて語らずに終わる会議などなかった。今や最大の関心事はAIだが、だからといってこれまでの取り組みが減速したわけではない」。幸いなことに、サプライヤー側におけるAI活用は、欧米のトレンド的なAI論調よりもはるかに実用的である。大げさな約束は少なく、欠陥の検出、効率の向上、そして廃棄物の削減に重きが置かれている。GFAのレポートがCFOに対し、サステナビリティを財務システムに統合することを求めているとすれば、MAS(MASホールディングス)はその具体的な実践方法を示している。

サステナビリティがERPに入り込む場所

スラス・チャンドラセナ氏は、スリランカに本社を置き、世界最大級のスポーツブランドやアンダーウェアブランドに製品を供給する売上高10億ドル(約1640億円)規模の世界的衣料品メーカー、MASホールディングス(MAS Holdings)のCFOを務めている。この非公開の巨大企業は、サステナビリティへの投資を日次、年次、そして長期的な予算計画に組み込んでいる。また、サステナビリティに関するKPIを設定しており、その最も重要な指標が「サステナビリティ由来の売上比率」である。

「受注がシステムに入力された時点で、サステナビリティによって生み出された売上を特定できるよう、ERP(企業資源計画)システムを構築している」とチャンドラセナ氏は説明する。サステナビリティによって生み出された売上には、例えばリサイクル素材や次世代素材から得られるものが含まれる。「これによる収益を追跡することで、KPIの監視と報告を行うことができる」

このCFOはこう説明する。「取締役会には、取り組み、コスト、コンプライアンス改善やサステナビリティ指標を通じた期待成果を含む年次計画を提示している」。チャンドラセナ氏によると、取締役会は同社のサステナビリティ・ロードマップである「Plan for Change 2030」におけるサステナビリティの優先事項を財務指標と天秤にかけ、そのうえで資本配分を承認する。

MASもサステナビリティに関する資本投資(Capex)の承認システムを備えており、投資が財務およびサステナビリティ関連のKPIに対してどのようなパフォーマンスを示しているかを追跡している。「当社には、毎年改定される長期計画サイクルがある」とチャンドラセナ氏は言う。その枠組みの中で、サステナビリティ投資に向けたグリーンファイナンスやコーポレート・ベンチャーキャピタル(CVC)による資金調達の機会が検討され、同社の投資タスクフォースによって評価される。

「そのファンドを通じて行っているサステナビリティ関連の投資がある。そこでは新しい技術やスタートアップ企業を検討しており、時にはメーカーとして自社が提供できる貢献、例えば市場へのアクセスなどと合わせて投資価値を評価している」とCFOは説明する。その一例が、ルルレモン(Lululemon)とともに行ったシンセティカ(Syntetica)への最近の投資であり、MASは投資家であると同時に戦略的パートナーとしての役割も果たしている。

「当社の実績により、スタートアップ企業が資金以上のパートナーシップを求めて当社にアプローチしてくるようになっており、これがプラスの要因となっている」とMASのCFOは言う。しかし、その規模と力を持ってしても、サプライヤー間の競争は依然として激しい、とチャンドラセナ氏は話す。「サステナビリティだけでは、競合他社との差別化はできない。競争力を維持するためには、リードタイムや価格を提示できなければならない。私にとってサステナビリティは、いわば入場券なのだ」

サステナビリティに利益(マージン)が求められるとき

アンドレア・バルド氏は、現代においては比較的珍しい存在となった「自社製品を自ら製造するブランド」のCEOを務めている。上場企業である英国の伝統ブランド、マルベリー(Mulberry)は、英国サマセットに2つの工場を運営し、ブランドのレザー製品の約半分を自社で製造している。バルド氏は、ファッション業界を代表するサステナビリティ推進ブランドのひとつであるガニー(Ganni)での勤務を経て、マルベリーの非公式なサステナビリティのエバンジェリストであり触媒としての役割を果たしている。マルベリーにおいて、彼は利益と目的(パーパス)を結びつける取り組みを主導している。なぜなら、これらはごく自然な相棒同士だからだと彼は言う。ファッションとは数値に基づいた論理ではなく、感情をビジネスにする業界だからだ。

「(製品の)価値の50%は、人の認識に基づいている」とバルド氏は言う。そのため、わずか88個のハンドバッグしか作れない量の英国産リジェネラティブ・レザー(環境再生型農業で育てられた牛革)を提示された際、彼は規模の拡大や投資収益率(ROI)から考え始めることはしなかった。彼は、素材、製造、そしてラベルのすべてが「英国製」であるというストーリーを伝えることがもたらすブランド価値を考慮した。

結果として、この「ブリティッシュ・パスチャー・レザー(British Pasture Leather)」を使用した88個のバッグは、ファッション業界の得意とする「憧れと希少性」の方程式によって、プレミアムな価格で完売した。しかしバルド氏は、サステナビリティとは、ブランドの価値観に応じて、その提案に巧みに組み込むことのできる機会であると主張し続けている。CEOがサステナビリティのビジョンを掲げる一方で、それを実現する上でのCFOの役割は長らく軽視されてきた。「私はフェデリカ(マルキオンニ)にこう言った。本当の対話は財務にある。CEOはブランドや美学について語り、取締役会は『良いことをする』と語るかもしれないが、最終的にはすべてがP&L(損益)に影響を及ぼし、すべてが辻褄が合うものでなければならないのだから」と。そこでマルベリーのCFO、ビリー・オコナー氏が、サステナビリティの船の舵を握ることになる。

「アンドレアと私はとてもうまく協働できていると思う。彼は、私が事業全体を理解しようとしていることを好んでくれているからだ」とオコナー氏は言う。「当社の業務やサプライチェーンがどのように機能しているかを私が理解していれば、サステナビリティの歩みにおいて本当に改善につながるものに出会ったとき、それが少し高コストであっても、そのプレミアムを賄うために業務からもう少し効率を引き出す方法を一緒に考えられる」。このCFOが言及しているのは、例えばサステナビリティの証明書が充実しているものの、新しく認定されたサプライヤーとの取引が必要となり、結果として追加コストが発生するような素材のことだ。しかし、こうした選択はまず、素材とデザインの制約(ガードレール)を設定することから始まる。

重要でありながら見過ごされがちなテーマが、製品のサステナビリティにおけるデザイナーの役割である。バルド氏は、製品とブランドにサステナビリティKPIを設けるなら、「デザインチームに一定の境界を設ける必要がある」と言う。例えば、デザイナーが素材を完全に自由に選ぶのではなく、承認済みの素材だけが提示される。バルド氏が就任する以前なら、デザイナーは最も低負荷の選択肢を選んでいたかもしれない。いまでは、それしか提示されない。そして彼は、素材コストの上昇分は、ブリティッシュ・パスチャー・レザーが「英国内で、英国産素材を用いて作られた」という特別な魅力を通じて顧客に価値を提供しているように、製品が顧客に提供する価値の一部とならなければならないと明言している。

マルベリー製品における「グリーン・プレミアム(サステナビリティへの取り組みに伴う追加費用)」と顧客価値のバランスをとることについて、バルド氏は、価格設定における財務部門、および調達における製品とデザイン部門にまたがるチーム全体の取り組みであると説明する。彼らは協力して個々の製品のマージン(粗利益)を評価し、品質と競争力のある価格設定を確実に維持している。「個々の意思決定を切り離して考えるのではなく、ビジネス全体のオペレーションのバリューチェーン全体を、店舗での販売方法に至るまで一貫して理解している」とオコナー氏は説明する。

優先事項としてのサステナビリティについて、オコナー氏はこう語る。「過去、そしておそらく今でも、一部の組織においてサステナビリティは単なるチェックボックス(義務事項)にすぎず、やらなければならないことのように感じられていた。私のような役職で正しいマインドセットを持っていれば、それらすべてを織り交ぜて、健全なビジネスを行うための一部にすることができると思う」。ただし、それにはCFO側の意志が必要だ。「財務とサステナビリティを織り交ぜるには、意識的な選択をしなければならないと考えている。CFOが最も無駄のないマージン、最高の利益だけを求め、その過程で少しだけサステナビリティにも取り組めれば十分、と考えているケースはまだあると思う」

決算説明会においてサステナビリティの優先順位が下がっているという『CFO Agenda』の指摘を振り返り、オコナー氏はマルベリーがその例外であると述べる。「ESGに関するアップデートは取締役会の常設議題であり、当社のサーキュラリティ(循環性)プログラムの進捗、回収、あるいは『プリラブド(セカンドハンド)』シリーズの取り組み状況とその効果について、毎回必ず最新情報を報告している」

サプライチェーンのレジリエンス(強靭性)も、マルベリーのCFOの責務に明確に含まれている。「3〜5年の計画を立てる際には、その根底にあるオペレーティングモデルについて考えている。すべてを変革していかなければならないからだ。ESGや、サプライチェーンに関連するすべてのリスクは、そうした戦略的思考の一部となっている」

記録係から未来の予測者へ

結論として、CFOの役割が会計主導から戦略主導へとどのように進化したかを振り返り、オコナー氏はこう語る。「過去を報告するだけだったのが、以前の私たちの仕事だった。いまは、ある程度の確実性をもって未来を予測しなければならない。それが私たちに緊張感を与え、私を夜も少し眠れなくさせる原因にもなっている」。マルキオンニ氏もまた、眠れぬ夜を過ごしているかもしれない。「変動性が高まるなかで、サステナビリティはもはや周辺的な懸念ではなく、私たちの業界の経済性を形づくる決定的な力となっている」

Forbes.com 原文

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