米国時間7月29日、連邦準備制度理事会(FRB)は金利の据え置きを決定した。根強いインフレ懸念が続く中、今後の金融政策のアプローチをめぐり理事らの見解の対立が表面化している。
連邦公開市場委員会(FOMC)は9対3の賛成多数で、政策金利の誘導目標を3.5%〜3.75%の範囲に維持することを採択した。ダラス連銀のローリー・ローガン総裁、ミネアポリス連銀のニール・カシュカリ総裁、クリーブランド連銀のベス・ハマック総裁の3人が反対票を投じた。
全会一致で現在の金利水準の維持が決定された6月の会合から一転し、理事らの意見が割れる展開となった。
声明は6月とほぼ同じ文言で、金利の先行きには触れず
今回FOMCが発表した声明文は、6月の文面とほぼ同じだった。前議長ジェローム・パウエルの時代に出されていた声明と比べれば、分量は3分の1程度にとどまる。中東での紛争にもかかわらず経済活動は「堅調なペースで拡大している」とし、「雇用の伸びは労働力人口の増加に追いついている」と指摘するなど、景気に対して強気な姿勢を示した。
短期的な金利の先行きについて明言を避けてきたケビン・ウォーシュFRB議長は、「高止まりするインフレを容認するつもりはまったくない」と述べた。「(FRBは)物価安定の回復に断固としてコミットしている」と強調し、インフレ抑制こそが最優先課題であると語った。
利上げ寄りの姿勢を取りつつあるFRB理事も
他のFRB理事らは利上げ寄りの姿勢を強めている。ローガンは7月、金利は「緩やかに」引き上げられるべきだとの考えを示していたほか、ハマック、カシュカリ、そしてクリストファー・ウォラー理事も、29日の採決に先立ち金融引き締めへの支持を示唆していた。年内の政策金利の推移をめぐっても意見が分かれている。6月のFOMC会合では「多くの」参加者が年内には金利が現在の水準「以内かそれをやや下回る」だろうと予測した一方で、「他の多くの」参加者は金利が現在の水準よりも高くなると試算していた。
2026年中の利下げは見込まれず、利上げ観測が強まる
年内の利下げの可能性は低いとみられる。6月会合で報告されたニューヨーク連銀の市場参加者調査では、政策金利は2027年初めまで変わらず、同年第2四半期に1回利下げするとの予想が中央値だった。
バンク・オブ・アメリカのアナリストは今週のレポートで、年内に3回・各0.25%の追加利上げが行われ、最終的に政策金利が4.25%〜4.5%まで引き上げられる可能性があるとの見解を示した。原油価格の上昇がインフレ率を数年ぶりの高水準に押し上げていることを理由に挙げている。
イラン戦争と原油価格の上昇で強まる、米国のインフレ警戒
FRB理事らはここ数カ月、イラン紛争に伴うインフレ上昇を政策金利を据え置く理由として挙げてきた。FRBがインフレ指標として重視するコア個人消費支出(PCE)物価指数は5月に過去約3年間で最も速いペースで上昇した。同様に高水準となった消費者物価指数(CPI)の動向と一致した。イランと米国との間で一時的な停戦合意が成立した6月には、原油価格の下落に伴ってインフレが一服し、CPIは2020年4月以来で最大の前月比下落幅を記録した。
ウォーシュは今年初頭に行われた議会証言の原稿の中で、中央銀行として「金融政策を正しく遂行する」と誓い、「過去5年間のインフレ急騰は過去のものとなる」と述べていた。



