ロシアは隣国のジョージアからウクライナ南部のクリミア半島や東部ドンバス地方に至るまで、正式な領土拡大を主張している。一方、中国ははるかに巧妙なやり方で、南シナ海に施設を建設し、沿岸警備隊や海上民兵を用いて領有権を主張しているが、一般的には人口密集地の露骨な併合は避けている。
言い換えれば、ロシアは必要に応じて武力行使も辞さない直接的な対立と併合を好むのに対し、中国は直接的な対立を避け、公然とした軍事衝突の瀬戸際を超えない範囲で自国の利益を追求する「グレーゾーン」戦略を間接的に展開しようとしているのだ。ロシアにとって、領土拡大の象徴性は政治的価値を持つ。一方、中国にとっては形式的な併合より、実質的な支配と影響力の方が重要なのだ。
こうした地政学的な違いに加え、両指導者が西側諸国をどう捉えているかという点にも大きな違いがある。習は西側諸国との関係に価値を見いだしており、米国をはじめとする他国とのつながりを意図的に軽視したり、悪化させたりはしない。中国は自国に有利な場合には体制の外で行動するが、可能な限り体制内で行動しようとする。一方、プーチンは貿易関係、ひいては国際投資やその他のつながりを断ち切ることに何のためらいもない。
中国には大規模で豊かな中産階級が存在し、比較的順調に経済成長を遂げている。ロシアにはそのいずれも存在しない。2025年の中国の国内総生産(GDP)は19兆ドル(約3105兆円)を超え、ロシアの2兆2000億ドル(約359兆円)の約9倍に達した。確かに、この差の大部分は人口規模の違いによるものかもしれないが、それでも中国はわずか一世代の間に低所得国から中所得国へと登り詰めた。習が穏やかで柔軟な手法を取ることは、驚くべきことではない。
工学系出身の習と官僚出身のプーチン
歴史家は、プーチンが習のような戦略、すなわち破滅的な軍事衝突を回避し、国際体制を活用して国力を結集するという戦略を追求しなかった理由を解明しようと努めるだろう。
この相違は、両指導者の経歴が著しく異なることに起因すると考えられる。習は工学系の出身であり、政策の結果や体系的な得失評価、そして長期的な国家目標に対する鋭い感覚を持っている。一方、プーチンはソビエト国家保安委員会(KGB)の官僚出身で、最終的な損失を顧みず、目先の支配を最優先するよう教え込まれてきた。その結果、習は短期的な政治的駆け引きより長期的な戦略的利益を優先する姿勢を見せているのに対し、プーチンは目先の、極めて象徴的な地政学的目標を達成するために、長期的には壊滅的な結果をもたらす経済的・外交的代償を払うことをいとわないのだ。


