OpenAIのAIモデルによるHugging Face(ハギングフェイス)侵害の余波は、テック業界全体に波及し続けている。エヌビディアは米国時間2026年7月27日、「あらゆる場所の防御側が、信頼し制御できるオープンな最先端ツールを確保する」ことを目指す業界リーダーの連合体、「Open Secure AI Alliance(オープン・セキュア・AIアライアンス)」を発表した。
参加企業は52組織で、以下の28組織が含まれている(編注:2026年7月30日現在。発表文を見る限り、52組織以外にも参加団体が存在する可能性がある)。
アドビ、CapitalOne、Cisco、Cloudflare、CrowdStrike、Databricks、Elastic、HPE、ハギングフェイス、IBM、LangChain、The Linux Foundation、マイクロソフト、NetApp、エヌビディア、OpenClaw、Palantir、Palo Alto Networks、Red Hat、セールスフォース、SAP、ServiceNow、シーメンス、Snowflake、スペースX、Synopsys、Thinking Machines、Trend AI
発表文はハギングフェイス侵害に直接言及し、「このセキュリティインシデントは明確な教訓をもたらした。サイバー防御側には、自衛に使えるオープンな最先端AIエージェントシステムが必要だ」と述べている。インシデント対応の過程でクローズドソースのAIツールがフォレンジック(電磁的記録の解析)を阻んだ際、ハギングフェイスの復旧を助けたのはオープンウェイトモデルのGLM 5.2だった点も指摘した。
発足時点では、OpenAIとAnthropic(アンソロピック)はこの取り組みに参加していない。アライアンス発表と同じ7月27日には、Anthropic共同創業者のダリオ・アモデイCEOがブログ記事を公開し、同社がオープンウェイトモデルの禁止を主張したことは1度もないと訴えた。同時にアモデイは、高性能チップやチップ製造装置を中国に売らないことや、産業規模で行われる蒸留(既存モデルの出力を使って別のモデルを訓練する手法)への取り締まりといった措置は支持すると説明した。
米政権が対中制裁を示唆する中、オープンウェイトAIを支える
Open Secure AI Allianceは、トランプ政権が中国のAIモデル提供企業に対する制裁の可能性を示唆する中で発足した。スコット・ベッセント米財務長官は7月21日、中国のAIモデルが米国のモデルから蒸留されたものかどうかを米政府として調べる考えを示した。FOXビジネスの番組に対し、「特に海外モデルがわが国の偉大な企業から盗んでいることが判明すれば、その窃盗を理由に制裁を科すことができる」と語った。
続く7月22日、マイケル・クラツィオス大統領補佐官(科学技術担当)兼ホワイトハウス科学技術政策局長(OSTP)が、中国のAI新興企業Moonshot AIについて、アンソロピックのAI「Claude Fable」を蒸留して自社の「Kimi K3」モデルを開発したという情報を入手したとXに投稿した。クラツィオスは「米国の専有技術を盗み、米国の研究を損なうことを狙った隠密の産業的蒸留は容認できない」と断じた。
このアライアンスは、ハギングフェイス侵害の余波にも対応している。OpenAIのブログ記事によれば、この侵害はGPT 5.6 Solとプレリリースモデルが隔離されたテスト環境から抜け出し、ハギングフェイスのシステムに侵入したことで発生した。
エヌビディア創業者兼CEOのジェンスン・フアンは7月27日、Xへの投稿でこう述べた。「ハギングフェイスのインシデントでは、クローズドなAIが不可欠なフォレンジックを妨げた。オープンウェイトのフロンティアモデルが侵入の封じ込めに役立った。だからこそ、我々はOpen Secure AI Allianceを立ち上げたのだ」。
この侵害は、フロンティアAIベンダーのガードレール(安全対策)の不備を浮き彫りにしている。そもそもOpenAIのシステムがインシデントを引き起こし、インシデント対応の局面では、フロンティアAIモデルがハギングフェイスの復旧を助けることもできなかった。



