この考え方を真剣に実践すると、一般的な意味での効率的な時間管理ではなく、1日の予定から実質的な価値を生まないタスク(通勤や掃除、あるいは別の人に任せられる雑用など)をお金を払って排除しようとする行動につながる。無報酬の骨折り仕事を、それに耐えることが人格を証明するかのように「勲章」として扱うのは、時間もお金と同様に再分配可能な有限の資源であるという事実に目を背けているにすぎない。時間を取り戻すためにお金を払うことは、道楽ではなく、極めて合理的な計算なのだ。
習慣3:無理に集中しようとせず、心をさまよわせる
難しい問題に行き詰まって一歩も進まないとき、私たちは身体的な感覚に近い焦りを感じ、さらに深く集中しようとしがちだ。しかし、学術誌『Psychological Science』に発表された2012年の研究は、その本能とは逆の現象を報告している。これは「インキュベーション(孵化)効果」と呼ばれることもある。負荷の低い、心をさまよわせるようなタスクをこなしながら休憩をとった参加者は、負荷の高い休憩をとった参加者や、まったく休憩をとらなかった参加者よりも、以前行き詰まっていた創造的な問題を解決することに成功した。
神経科学はこの理由について、納得のいくメカニズムを提示している。ぼんやりしているときや集中していないとき(白昼夢、シャワーを浴びているとき、目的もなく歩いているときなど)に活性化する脳の領域群は「デフォルト・モード・ネットワーク」と呼ばれ、未解決の課題に対してバックグラウンドで働き続けている。そして、集中して努力を傾けている状態では抑圧されてしまうような、緩やかな関連性を見つけ出しているようなのだ。
ノートパソコンを閉じ、特に目的もなく窓の外を眺めるという、本当に「怠惰な」選択肢をとる方が、目に見える努力をもう1時間続けるよりも、解決策への近道になることがある。
習慣4:ささいな決断を自動化する
自己コントロールを研究する学者たちは、1日の決断が増えるごとに、次の決断が少しずつ難しくなっていく感覚を「決断疲れ」と呼んでいる。この概念についてはまだ議論があり、意志力の枯渇に関する広範な研究の一部は、大規模な再現が難しいとされているが、それが示す日常的な経験は十分に納得できるものだ。


