NEWS Forbes JAPAN MEMBERSHIP 新機能|
記事ページ内の広告表示を最小限にしました

食&酒

2026.08.11 16:00

1本19万8000円の日本酒がグッチとコラボした理由と密花の魅力:美酒のある風景

SAKE HUNDRED MIKKA

SAKE HUNDRED MIKKA

Forbes JAPAN本誌で連載中の『美酒のある風景』。今回は8月号(6月25日発売)より、「密花」。口に含んだ瞬間に感じるのは蜂蜜や熟した果実を思わせる甘やかさ。その後、米由来のうまみ、発酵による複雑な香り、繊細な酸、ほのかなビターさ……幾重にも押し寄せるセンセーションに、気づけばシャンパンとの比較を忘れる1本だ。


人は未知なるものに出会った際、過去の記憶や知識をもって理解しようとする。スパークリング日本酒もまた、長らくスパークリングワインの代表格であるシャンパンとの比較によって語られてきた。泡立ちは、酸は、香りの複雑性や余韻の長さはどうか。ブドウとコメという違いはあれど、同じ発酵酒で発泡しているがゆえに、「シャンパンと比べてどうか?」という問いを避けて通ることができなかった。

だが、本当に新しいものに出会った瞬間、人は比較することを忘れる。目の前にある体験が、既存の領域を超えてしまうからだ。

この日、グラスに注がれた「密花」は、きめ細かな泡を静かに立ち上らせていた。その佇まいはシャンパンのシャープな緊張とは異なり、柔らかく、艶めいている。そして口に含んだ瞬間に感じるのは蜂蜜や熟した果実を思わせる甘やかさ。その後、米由来のうまみ、発酵による複雑な香り、繊細な酸、ほのかなビターさ......幾重にも押し寄せるセンセーションに、気づけばシャンパンとの比較を忘れていた。

「私が今まで抱いていた日本酒とはまったく違うお酒という印象。オリーブオイルや発酵、熟成のニュアンスをもつ食材とも響き合いながら、その個性をより発揮させてくれるのが魅力です」

そう語るのは「グッチ オステリア ダ マッシモ ボットゥーラ トウキョウ」(東京・銀座)でヘッドシェフを務めるラファエラ・デ・ヴィータ。イタリア料理の伝統を踏まえながら、現代的な感性で新しいひと皿を組み立てることで注目を浴びている料理人である。

グッチとは、そもそも伝統あるクラフトマンシップと革新的なクリエイションの融合で知られる世界的なブランドだが、今回、ラグジュアリーな日本酒のパイオニアともいえる「SAKE HUNDRED」と、グッチが手がけるバー・ラウンジ「グッチ ジャル ディーノ」がコラボレーションを果たしたという出来事もまた、象徴的だった。これは単に“日本酒とラグジュアリーブランドの協業”ではなく、日本酒というローカルな伝統文化が、世界が共有できる言語へと翻訳されていく過程でもあるからだ。

「密花」の価格は19万8000円。数字だけ見れば驚くが、この酒が目指しているのは日常酒の延長ではない。アートやハイジュエリーのように、背景にある思想や美意識ごと味わう“体験”としての酒だ。世界にはまだ名前のついていない美味があり、「密花」がその一端をのぞかせてくれた。

密花

容量|720ml
原料米|山田錦、雪ほたか、国産米
価格|198000円(希望小売価格)
問い合わせ|https://jp.sake100.com/

次ページ > 今宵の一杯はここで

写真=菅野祐二 文・構成=秋山 都

タグ:

連載

美酒のある風景

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事