人工知能(AI)がエントリーレベルの仕事を脅かしているという見出しや、それが新卒者に与える影響についてのニュースは、誰もが目にしていることだろう。そこで今週、筆者はテック企業の元幹部であるクララ・シー(Clara Shih)氏に話を聞いた。彼女はAI分野のリーダーとしての経験を活かし、若者がAIに代替されるリスクを負うのではなく、この技術を活用してキャリアを築けるよう支援している。
以下は、かつてフォーブスの「30 UNDER 30(世界を変える30歳未満の30人)」に選ばれたシー氏のプロフィールの抜粋である。彼女は、雇用の変化のなかでZ世代が取り残されないようにすることを使命としている。
2025年8月、クララ・シー氏がMetaのビジネスAI部門責任者を務めていた当時、彼女のチームは企業向けのAIエージェントを構築した。これは顧客の質問に答え、好みを記憶し、さらには販売を成立させるための製品割引まで提示するものだった。シー氏によると、このツールは顧客の関心を引きつけ、販売プロセスを効率化するのに役立つとして、事業者たちに急速に普及していったという。
「テクノロジーの作り手としては、これ以上ないほど素晴らしい経験だった」と、現在44歳のシー氏は振り返る。彼女は2012年、顧客エンゲージメント・プラットフォーム「Hearsay Systems(ハイヤーセー・システムズ)」の共同創業者兼CEOとしてフォーブスの「30 Under 30」に選出された。その後、2023年にSalesforce AIのCEOに就任し、翌年にMetaへ移籍した(Hearsayは2024年にデジタルプラットフォームのYextに買収されている)。
しかし、Metaの新ツールを利用する起業家たちからのフィードバックは、シー氏にAIがもたらし得る現実の、そして潜在的にマイナスの影響にも気づかせるものだった。「私たちのソフトウェアを導入した企業からのフィードバックは、もうスタッフが必要なくなった、というものだった」と彼女は言う。「泣くべきなのか、祝うべきなのか分かりませんでした。私たちは長年それを望んできたのに、目標を達成したとき、それが何を意味するのかを実感し始めたのです」
当時、シー氏は若い親族や新卒者からも、仕事探しに苦労している話や、なかには内定を取り消されたという話を聞いていた。「この問題について詳しく調べ始め、わかった事実に愕然とした」と彼女は語る。「私たちは、若者の失業危機に直面している」
ニューヨーク連邦準備銀行によると、22歳から27歳の新卒者のうち5.6%が失業しており、41.5%が不完全雇用(アンダーエンプロイメント)の状態にある。「彼らは聡明で才能があり、野心的な若者たちであり、有意義な雇用に就いているべきだ。しかし、AIによるエントリーレベルの業務の自動化が進んだことで、彼らの能力が十分に活かされていない。これは彼ら自身を傷つけるだけでなく、私たちの社会にとっても痛手となる。なぜなら彼らは、将来の税基盤であり、未来の有権者基盤だからだ」とシー氏は断言する。
若者の雇用のギャップを解消したいという思いから、彼女はMetaを退社し、4月に「New Work Foundation」を立ち上げた。自己資金による設立から始まったこの団体は、現在では非営利組織(NPO)として活動しており、AIによって再形成されつつある経済に対応するために必要なツール、情報、スキルを若い労働者に提供するという使命に賛同する個人からの寄付を募っている。
AIに関する情報格差の解消から、新卒者向けの無料AI就職コーチの開発にいたるまで、テクノロジーを使ってZ世代の失業危機を解決するシー氏の計画の詳細は、こちらから。
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深掘り:中小企業がAIを活用して成長し、さらに雇用を創出するための10の方法
先日、米下院の中小企業委員会に複数の証人が出席し、AIが人間の労働者に取って代わるという一般的な見解に異を唱えた。証人たちはむしろ、AIを導入している中小企業は、事業成長に伴ってより多くの従業員を雇用する可能性が高いと主張したと、フォーブスのスタッフライターであるジョン・シュロイヤー氏は報じている。
全米商工会議所のテクノロジー・エンゲージメント・センターのシニアバイスプレジデントであるジョーダン・クレンショー氏が議員らに語ったところによると、昨年、全米の中小企業の58%が生成AIを導入していると回答した。これは2024年の40%、2023年の23%から上昇している。さらに、AIを導入していると回答した中小企業の82%が、過去1年間で従業員数を増やしたと付け加えた。
「これらの中小企業は、人の代わりにAIを使っているわけではない」とクレンショー氏は述べた。「従業員が、判断力、創造性、そして信頼関係を必要とする、より価値の高い業務に集中できるようにするためにAIを活用しているのだ」
AIの幅広い活用について述べる一方で、クレンショー氏は議会に対し、規制の策定を州ごとの判断に委ねるのではなく、連邦レベルで法整備を主導するよう促した。州ごとの規制は、ビジネスルールが国全体で「パッチワーク」のように細分化される結果となり、中小企業にとって対応コストの負担が大きすぎると指摘した。彼は、非営利のシンクタンク「情報技術・イノベーション財団(ITIF)」の研究を引用し、全米共通のAIデータプライバシー規則が導入されなければ、今後10年間で国全体に約1兆ドル(約164兆円)のコストがかかると結論づけた。そのうち約2000億ドル(約32兆8000億円)は、中小企業コミュニティが負担することになるという。
クレンショー氏や他の専門家が議員たちに語った結論は、AIは本質的に人間の能力を代替することはできず、むしろ労働者がより効率的、生産的、そして熟練した存在になるための新しいツールとして、その能力を強化するものであるべきだ、という点だ。
クレンショー氏をはじめとする指導者たちが提唱する、中小企業がAIを最も効果的に配備するための10の方法と、企業や労働者のAIトレーニングに対する予算を増やすよう議会に促している理由についての詳細は、こちらから。
ビジネス動向のチェックポイント
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6カ月以上にわたって失業状態にある米国の求職者の割合は、6月に27.3%に達したと、ウォール・ストリート・ジャーナルが報じている。この数字は過去5年間で最高水準に近く、政府のデータは、ホワイトカラーや働き盛りの世代が長期失業による最も大きな打撃を受けていることを示している。
Quartzによると、かつてエントリーレベルの職を削減した多くの企業が、現在その人材の一部を再雇用しており、ジュニアスタッフが行う業務を完全に自動化することの難しさを証明している。さらに、同メディアは、もし企業がAIによってエントリーレベルの労働者を排除してしまえば、将来の優秀なマネージャー候補の育成ルートを阻害することになると説明している。



