北野:介護機器やAIの進化についてはどうですか。
はたつん:機械の導入はどんどん進めていいと思います。例えば入浴機器も、職員と利用者さんの双方にとって助けになります。でも、ご本人が自分の足でまたいでお風呂に入りたいという気持ちもある。AIの開発が進んでも、変化や気づき、心に寄り添うことは介護職にしかできない部分だと思います。
北野:2040年問題(団塊ジュニア世代が65歳以上の前期高齢者となり、高齢者数がピークを迎えて生じる社会課題)などはどう考えていますか。
はたつん:もはや高齢者を専門職だけで支えるという考えはやめたほうがいいです。元気な高齢者、地域住民、住まい、テクノロジー、保険外サービスを組み合わせて、みんなで支えていく視点が大事でしょうね。
北野:親の介護問題に直面する読者も多いと思います。施設を選ぶ際のポイントは。
はたつん:その人にとって居場所になれるか、という視点が大切です。家族側が、設備が整っていて静かな場所がいいと考えても、ご本人は家のようなところで過ごしたいかもしれない。みんなでワイワイするより、ひとりの時間を大事にしたい人もいます。家族側の「良さそう」だけで決めず、本人がどうしたいのかを聞いていただきたいです。
北野:介護のプロの目で見たとき「こういう施設は気をつけたほうがいい」というサインはあるものですか。
はたつん:挨拶がない、廊下が汚い、臭いがある、停めてある車いすのブレーキがかかっていない、というところは見ます。掃除ができていないという単純な話ではなく、そこまで気づく余裕がない状態かもしれない。現場に余裕があるかどうかは大事です。
あとは、管理者や施設長と職員さんがちゃんとコミュニケーションを取れているか。職員さんがビクビクしていないか、堂々と話せているかも見ます。トップが変わっただけで、離職率が大きく変わる現場もあります。感謝を伝え、現場に理解を示してくれる人の下では、やはり働き続けたいと思う人が多いですね。
北野:はたつんさんにとって、介護の仕事とは?
はたつん:介護は、その人がどう生きるかを学ぶ場所だと思っています。人の最期と向き合うからこそ、自分は何を大切にしてきたのか、どんな最期を迎えたいのか、自分はどう生きたいのかを考えられる。毎日が教科書のような仕事です。介護は、誰かを助けるだけの仕事ではなく、人としてどう生きるかに向き合う仕事だと思うんです。

はたつん◎1990年、富山県生まれ。音楽とSNSを通じて介護の魅力とリアルを発信するインフルエンサー。動画投稿、ライブ配信、講演会、福祉イベント、オンラインレクリエーション、学生向け授業など幅広く活動。バンド「チキンスープ」ボーカルの活動を生かし「音楽体操」コンテンツを展開する。映画『お終活3 幸春!人生メモリーズ』では介護現場でレクリエーションを行う役で出演し、楽曲「虹の向こうに」を歌唱・公開。音楽健康福祉士1級、音楽健康指導士2級、レクリエーション介護士2級認定講師。


