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キャリア

2026.08.10 15:30

現場目線の声を共有する「介護職の表現者」──介護インフルエンサー

はたつん|介護インフルエンサー

業界を透明化すると、仕事の魅力が伝わる

北野:介護業界では、採用や離職問題が必ず出てきます。いちばん大事なのは待遇面ですか。

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はたつん:もちろん給与は大事ですが、それだけではありません。介護職は、心も使う仕事です。だから、もう少し働く人に理解を示してほしい。経営には経営の目線があり、現場には現場の目線がある。利用者さんのことを支えている私たちのことも、もう少し支えてほしいという声が多いと思うのです。

北野:介護現場をSNSで伝えることには、経営面でも意味があるのでしょうか。

はたつん:実際に若い経営者の方は、SNSを求人につなげています。今は自分で検索するよりもオススメに載った動画を見て「楽しそうだな」と思い、見学や応募につながる時代。発信することで業界の透明化も進みます。自分たちの仕事を撮影すると「こう見られたら良くないな。少し正そう」と考えるきっかけにもなる。ただ、年齢が上になるほどSNSが怖いという感覚もまだあります。利用者さんのプライバシーを守る意識は当然必要ですが、「どうすればできるか」と前向きに考えてほしいです。

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「はたつん介護士」の名前で活動するSNSは、総フォロワー15万人以上、総再生回数1億回超。現役介護福祉士として、介護職の楽しさと課題の両方を発信。ユーモラスなショート動画「介護士あるある」から、働く人の孤独や葛藤に寄り添うメッセージまで、現場目線の表現で多くの支持を集める。「旅する介護士」プロジェクトは、単発バイトなどを活用して全国47都道府県の介護現場で実際に働きながら、その魅力やリアルな現状を伝えていく企画。
「はたつん介護士」の名前で活動するSNSは、総フォロワー15万人以上、総再生回数1億回超。現役介護福祉士として、介護職の楽しさと課題の両方を発信。ユーモラスなショート動画「介護士あるある」から、働く人の孤独や葛藤に寄り添うメッセージまで、現場目線の表現で多くの支持を集める。「旅する介護士」プロジェクトは、単発バイトなどを活用して全国47都道府県の介護現場で実際に働きながら、その魅力やリアルな現状を伝えていく企画。

北野:発信でいちばん難しいのはどこですか?

はたつん:人間関係、職場環境、待遇、業務負担など、現場の苦しさや不満をどう伝えるかですね。SNSではネガティブな発信のほうが共感されやすいし、再生も回りやすい。でもそこで止まるのは違うと思うのです。どうしたら少しでも良くなるのか、前に進めるのかを一緒に考える姿勢を大事にしています。

北野:はたつんさんの歌や「あるある」動画には、現場の不満を少し明るく変換する力がありますね。

はたつん:介護職って、自分の気持ちを言葉にする場所が少ないと思うんですよ。それを代弁することで「こう考える人もいるんだ」「こういう悩みもあるんだ」と思うきっかけになれたらいい。対立するだけだと角が立つので、少しポジティブさを注入しています。

SNSで発信する動画もバンドの楽曲と同じで、自分の子どものような感覚です。起承転結をつくって届いてほしい人に届くかたちにします。昔、バンドでお客さんがひとりもいないライブも経験したので、見てくれている人に少しでも恩返しをしたいです。

介護現場から見える「危ない施設」のポイント

北野:これからの介護職に必要な力を挙げるなら?

はたつん:これまで介護職は、利用者さんの感情に寄り添うことを大事にしてきました。でもこれからは受け止めるだけではなく、何を感じたのか、利用者さんがどういう状態なのか、現場にどんな課題があるかを言葉にして、チームに共有する「言語化能力」が求められます。それから資格に挑戦したり、レクリエーションについて学んだりする「向上心」も大切です。

北野:自己研鑽できる力ですね。

はたつん:そうですね。看護師さんには学会や発表の文化がありますが、介護職は人手不足で研修ができない現場もあります。個人だけでなく、組織や業界として学べる体制を整えてほしいです。

利用者さんの生き方や家族背景、望む支援のかたちはますます多様化しています。介護はこうあるべき、昔からこうしてきたからこう、という唯一の考えに固執すると、時代や利用者さんのニーズに合わなくなる。自分と違う考えを一度受け止め、理解しようとする姿勢が必要です。

次ページ > 介護機器やAIの進化

文=神吉弘邦、北野唯我(4P) 写真=桑嶋 維

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