あらゆる職業を更新せよ!──既成の概念をぶち破り、従来の職業意識を変えることが、未来の社会を創造する。「道を究めるプロフェッショナル」たちは自らの仕事観を、いつ、なぜ、どのように変えようとするのか。『転職の思考法』などのベストセラーで「働く人への応援ソング」を執筆し続けている作家、北野唯我がナビゲートする(隔月掲載予定)。
北野唯我(以下、北野):普段、どのように仕事をしていますか。
はたつん:今は10時に出社、退社の時間はフレキシブルというスタイルです。週に1回ぐらい固定の現場にも行っていて、そこで夜勤もやっている感じですね。それ以外の時間で動画撮影や編集をして、朝方まで集中することもあります。
単発でまだ自分が経験したことのない現場に行くこともあります。SNSでユニット型特養(10人前後の少人数ユニットごとに専任の介護スタッフを配置する特別養護老人ホーム)について相談を受けたとき、現状を知らないまま話すのは失礼だと思うので、実際に働いて相談者の気持ちになってみる。自分のなかで答え合わせをする感覚があります。
北野:介護インフルエンサー、あるいは「介護職の表現者」というキャリアはどう生まれたのでしょう。
はたつん:SNSを通じて「自分に見えていた介護の世界」と「多くの介護職の方が感じている現実」とのギャップに気づいたことです。
仕事を始めた当初、私は「介護に向いていないな」と思いながら働いていました。無資格・未経験で入ったので、「こういう介護がしたい」という理想もありません。でも、孫のように可愛がってくれる利用者さんやその家族と出会いや別れを繰り返すうち「人とのかかわり」が楽しいと思うようになったんです。その延長でSNSに「介護士あるある」の投稿を始めました。
最初は「面白いよね、わかるよね」という反応でした。でもそのうちに「現場で苦しんでいる」「利用者さんとのかかわりでつらい思いをしている」「一生懸命働いても理解されない、気持ちを誰にも受け止めてもらえない」という声がコメント欄にたくさん届きました。だから、介護は楽しいと伝えるだけではなく、現場の声を、皆さんの尊厳を守りながら発信していきたいと思うようになりました。
北野:はたから見て、介護は「大変そう」という印象が強い仕事でもあります。
はたつん:世間では、排泄のお世話や身体介助などが大変だと思われがちです。でも、実際には「人と人とのかかわり」なので、利用者さんが今どんな気持ちで行動しようとしているのか、何が起きているのかを考える必要がある。頭を使うのがすごく大変です。
北野:はたつんさんの動画で、自分が介護される側を体験してみるシリーズがありますよね。大人用のオムツを試す回などを見ると、「人がいるところで排泄するのは、こんなに難しいのか」と気づかされます。
はたつん:そうですね。介護する側が、相手の立場になって想像することは大切ですから。




