リーダーシップ

2026.07.29 14:23

AI時代のコンサルティングを支える「クライアントの立場に立つ」力

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人工知能(AI)をめぐる混沌とした状況は、さまざまな業界に前例のない不確実性をもたらし、働く人々は不安を感じている。エントリーレベルの社員から経営幹部まで、誰もが心の中であの居心地の悪い問いを抱えている。「自分は大丈夫だろうか」と。

かつて盤石と思われていた業界が、いまや異例の脆弱性をのぞかせている。米国で最も高報酬な分野の1つである経営コンサルティングを例に取ろう。ここ数カ月、マッキンゼーやBCGといった大手企業は場当たり的にAIを導入してきたが、メディアの見出しはコンサルタントの将来や、人間中心色が薄れる世界におけるクライアントサービスの持続可能性に疑問を投げかけている。法律金融のプロフェッショナルたちも、同じ問いを投げかけている。

それでもなお、各業界はこの嵐を乗り切っている。世界のコンサルティング市場は2025年に5.5%成長し、前年の2倍の伸び率を記録した。コンサルティング会社は現在、ビジネス界全体にAI導入を広げるため、むしろより多くの報酬を得ている。

米国経済は驚くほど強靭であり、経営コンサルティングはそのことをクライアントサービスに携わる他のリーダーたちに示している。ただし、万能薬は存在しない。適応と進化には、さまざまな形がある。

最も重要なのは、クライアントの立場に立つことだ。優秀なプロフェッショナルは、クライアントのニーズを自らのものとして受け止め、その要求を優れたサービスへと昇華させる方法を熟知している。それは、地政学的ショックの可能性をクライアントに警告することかもしれないし、ターゲット層の核心的な好みを調査することかもしれない。あるいは、その好みに対応した製品のマーケティングキャンペーンを提案することかもしれない。

こうした例は、一流のコンサルティング業界を含め、現実の世界で実際に起きている。マッキンゼー・アンド・カンパニーは「エクスペリエンスド・プロフェッショナル(経験者採用)」枠を通じてクライアント業界から幅広く人材を募り、「特定の業界や職能における深い専門知識」を持つ人々を採用している。ベイン・アンド・カンパニーのプライベート・エクイティ部門は、クライアント企業でサプライチェーンや小売業務を管理してきた人材に大きく依存している。同様に、ボストン コンサルティング グループ(BCG)の「BCGヴァンテージ」部門も、顧客満足度を高めるために業界経験を重視している。

AIがより定型的で初歩的な作業を担うようになるにつれ、文脈的知識の価値ははるかに高まる。経営コンサルティングから市場調査に至るまで、クライアントを支援する役割を担う人々は、顧客の視点からビジネスを理解することで、より大きな影響力を発揮できるようになる。危機的な状況においてはとくに、AIが容易に模倣できない深い知識と判断力をもたらすことができる。これはAI分野の企業にとってもとくに当てはまる。テクノロジーが、文脈的思考や直接的な経験をゼロから作り出すことはできないからだ。

質の低いAI生成コンテンツ(AI slop)が溢れる時代において、人間の専門知識は、感情的知性(EQ)に裏打ちされた個別化され、高度にカスタマイズされたサービスを通じて際立つ。私たちは社会的動物であり、自分を理解してくれる、あるいは少なくとも理解しようと努めてくれる人間の存在を常に求めている。クライアントに関するノウハウが高いEQと結びついたとき、それは強力な方程式となる。

クライアントは、スプレッドシート上の単なる数字としてではなく、友人や家族のように扱われるべきだ。表面的で取引重視の関係は、AIによって容易に代替されてしまう。私たちは市場調査の現場で、日々その様子を目の当たりにしている。

私たちの業界に身を置く者にとって、「クライアントの立場に立つ」ことには多くの意味がある。調査を実施して回答を収集する前に、まずクライアントと二人三脚で調査のパラメーターを設定することを意味する。また、採用方法を工夫し、クライアントが解決を迫られている課題の専門家でチームを構成することも意味する。私たちがどのように調査を設計し、重要なインサイトを分析し、実行可能な提言を示すかというプロセスにおいて、クライアント側の視点をもたらすために、元クライアント企業のリーダーほど適した人材はいない。

採用から業務そのものに至るまで、熟知しているということは大きな強みになる。雇用主の94%がかつての従業員を再雇用したいと考えているのには理由がある。そのビジネスを理解している元同業者を起用してクライアントにサービスを提供する際にも、同じ論理が当てはまる。元クライアント側のリーダーが、コンサルティング会社やPR代理店、市場調査会社に転職するとき、彼らは内部の深い理解と、外部からのより包括的なビジネス視点を融合させることができる。

視野が広がり、内向的な姿勢から生じる偏見は薄れていく。

いまこそ、クライアントサービスビジネスに携わる人々は、自らの価値を再考し、再定義する必要がある。また、クライアントに対して「現状維持」という自己満足では不十分であることを示し、新たな価値を付加しなければならない。これは、強引な引き抜きを推奨しているわけではない。しかし、クライアント側からのスムーズな採用は、双方にとってメリットがある(ウィン・ウィンである)。それはクライアントとのサービス関係を強化し、AIに対する不安やその他のディスラプションに対抗する1つの手段となる。

日々の業務、年間計画、そして共に行うすべてのことにおいて、自分自身をクライアントの立場に置いてみよう。それこそが、建設的な助言をもたらす鍵なのだ。

forbes.com 原文

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