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経済・社会

2026.08.09 13:30

国内外のフィランソロピー新潮流「インパクトフィランソロピー」とは何か

イラストレーション=ヴィクター・ミラー・ガウサ

新たな概念と呼応する「起業家フィランソロピー」の動き

米国フィランソロピーの潮流をはじめとした、インパクト創出を志向するフィランソロピーを「インパクトフィランソロピー」という新たな概念的枠組みで呼ぶ動きも出てきている。Japan Impact Institute(JII)/日本ファンドレイジング協会の定義によると、インパクトフィランソロピーとは「社会変化に対する明確な意図のもと、資源と関係性を戦略的に設計し、学習を重ねながら、その実現可能性を高めようとするフィランソロピーのアプローチ」である。

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現時点での整理のため、変更可能性があるとしつつも、インパクトフィランソロピーには4つの中核的特徴があるという。

ひとつ目は「社会変化への明確な意図をもつ(Intentionality)」だ。社会課題やその背景にある構造への理解に基づき、どのような変化を実現したいのかについて明確な意図を持つことだという。

ふたつ目が「インパクト実現に向けて資源と関係性を設計する(Design)」だ。目指す変化の実現に向けて、資金だけでなく知識・人材・ネットワークなどの資源をどのように活用するか、また誰がどのような役割を担い、どのような関係を築きながら進めるかを設計することだ。

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3つ目が「不確実性を前提に学習する(Learning)」。社会変化には不確実性が伴うことを前提とし、実践と振り返りを通じて学習を重ねながら、インパクトの向

上のために取り組みを改善し続けることを意味する。

最後は「多様な主体や資源を巻き込み変化を広げる(Leverage)」。自らの資源や取り組みを起点として、当事者、市民、企業、行政、他の資金提供者などの関与を引き出しながら、変化の広がりと持続性を高めることだ。

「インパクトフィランソロピー」は、日本の起業家たちによるフィランソロピーの動きともリンクする。例えば、メルカリ代表執行役CEO・山田進太郎による、STEM分野におけるジェンダーギャップという社会課題にフォーカスした「山田進太郎D&I財団」。Sansan代表取締役社長・寺田 親弘が創設した、起業家精神を育てる全寮制高専「神山まるごと高専」。MIXI取締役ファウンダー・笠原健治による、子どもや家族を取り巻く様々な社会課題の解決に取り組むNPOを支援する「みてね基金」。Speee 取締役ファウンダーの久田哲史による、非営利スタートアップ・アクセラレータープログラムを運営する「Soil」などだ。資本主義の枠組みの外側にある社会課題に対して、起業家的なアプローチでその解決に挑むという流れは、インパクトフィランソロピーの流れとも呼応する。富裕層の義務としての社会貢献ではなく、課題解決に向けたインパクトの実現を高めるための創造的な社会貢献と言い換えられるかもしれない。

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文=山本智之

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