1915年10月、アーネスト・シャクルトンは自らの船がウェッデル海へ沈んでいくのを見つめていた。エンデュアランス号は10カ月にわたり南極の流氷に閉じ込められ、ついにその圧力で船体が押しつぶされた。
シャクルトンの使命は、控えめに言っても野心的なものだった。全長1800マイルに及ぶ、史上初となる南極大陸の完全陸上横断を目指していたのだ。シャクルトンはこれまでに同地域への遠征に2度参加し、うち1度は隊長を務めるなど、リーダーとして十分な備えがあった。楽観的で勇敢、そして断固たる人物として知られており、それらの資質は、最も近い人間の居住地から1500マイル離れた場所で船が海へ消えていくのを目の当たりにした彼と乗組員が直面する状況において、間違いなく役立つものだった。
船を失ったシャクルトンは、新たな目標へと舵を切らざるを得なかった。乗組員を生きて帰すことだ。彼は「船も物資も失った。だからこれから帰郷する」と簡潔に告げ、すぐに意思決定を始めた。それらは不完全で暫定的であり、手元にあるわずかな情報に基づくものだった。それでも彼は決断した。約2年後、27人の乗組員全員が帰還を果たした。
今日のリーダーたちは南極に取り残されているわけではない。しかし、いまが見通しの利かない時代であることは確かだ。地政学的ショック、経済の不安定さ、そしてAIの猛烈な進歩により、多くの人が方向感覚を失い、悲観的にさえなっている。エグゼクティブコーチング企業Vistageの新たなデータでは、今後1年間に経済状況が悪化すると予想するCEOの数が、改善すると予想するCEOの数を上回ったことが明らかになった。これは、昨年の同時期に見られた比較的楽観的な見方からの反転である。
不確実な海域では、リーダーは自分自身にも進むべき道がわからないときでさえ、自信を持ってチームを導かなければならない。シャクルトンは、自身のスキル、経験、直感を組み合わせて頼りにした。あなたにもそれらはすべてある。さらに、強力な助け手であるChatGPTもある。
安定をもたらすルーティンをつくる
シャクルトンの強みの1つは、状況がまったく安定していないときでさえ、安定感を生み出すことだった。ハーバード・ビジネス・スクール教授で歴史家のナンシー・ケーンが述べたように、「賭け金が突然高まり、不確実性が増し、人々が頭の中で新たな最悪のシナリオを映画のように繰り返し再生できるようになったとき、自分自身とチームのエネルギーをどのように管理するのか」という問題である。
その答えは何か。ルーティンである。シャクルトンは部下が絶望に沈み込むのを防ぐため、厳格なルールを設けた。そこには、義務的な運動から夕食後の強制的な交流まで、あらゆるものが含まれていた。彼はそれを「精神の薬」と呼んだ。
私たちのチームは毎週金曜日に「デモデー(Demo Days)」を開き、互いに取り組んできたことを披露している。私はこのルーティンが気に入っている。短期的で具体的な目標を与えてくれるだけでなく、仲間意識を育み、士気を高めるからだ。
士気を高める一貫した取り組みがまだないなら、次のプロンプトが役立つ。
「私のチームは[状況を説明]をめぐる不確実性に直面しています。現在の週次ルーティンは次の通りです。[ルーティンを挿入]。不安や疑念が入り込む可能性のあるギャップを特定し、不要なノイズを増やさずに安定性と結束力を高める具体的な儀式や習慣を3つ提案してください」
知るべきこととノイズを切り分ける
シャクルトンと乗組員が氷上に取り残されていた頃、欧州の多くはまったく別の闘い、すなわち第1次世界大戦に従事していた。シャクルトンは戦争のことをよく認識していたが、それについて思い悩む暇があったとは考えにくい。何しろ、彼にははるかに差し迫った問題があった。
20世紀初頭よりも現代の生活の方が厳しい点が1つあるとすれば、ノイズを遮断することが非常に難しくなっていることだ。ニュース速報をちらりと見るだけのつもりが、不安をあおる情報を延々と追い続ける行為へとあっという間に陥りかねない。新しい見出しの1つひとつが、あなたの戦略全体を見直すきっかけになる。そうさせてしまえば、の話だ。
リーダーにとって、注意力は最も限られた資源の1つである。自分が行動に移せない情報にそれを費やせば、事業にとって本当に重要なことがかき消されるリスクがある。両者を切り分けるのに役立つプロンプトは次の通りだ。
「リーダーとして、いま私が懸念していることは次の5つです。[列挙]。それぞれについて、[自社の事業を説明]にとって実際のオペレーション上のリスクなのか、まだ行動はせず監視すべきものなのか、あるいは当面は安全に無視できる気晴らしなのかを教えてください。それぞれについて理由を説明してください」
出力結果を、週次のリーダーシップ確認会議における定例議題の土台として使い、「行動リスト」と「監視リスト」に分ける。毎月見直し、変化を監視し、必要に応じて進路を調整する。
先延ばしにしてきた決断を下す
リーダーがその地位にあるのは、困難で重大な意思決定を行うことが仕事に含まれるからだ。しかし、どれほど経験豊富なリーダーでも、足元の地面が揺れ続けているときには身がすくんでしまうことがある。不確実性はあらゆる決断を大きく見せ、実際以上にリスクが高いもののように感じさせる。だが現実には、より大きなリスクはたいてい、あなたが避け続けている決断の方にある。
Jotformでの経験から言えば、私が最も長く避けてきた決断は、より多くの情報を必要としていたものではない場合がほとんどだ。それらは、自分が実際に何を決めようとしているのかについて、より明確にする必要があったものだった。そこで役立つのが、次のプロンプトである。
「私は[決断を説明]を、[要因を説明]をめぐる不確実性のために先延ばしにしてきました。いま決断する場合と、30日、60日、90日待つ場合の現実的なコストを整理してください。実際に私の決断を変え得る情報は何であり、その期間内にそれを現実的に得られますか」
不確実性の中でリーダーシップを発揮することは、1915年当時とは異なる姿をしている。そして、それは良いことだ。確かに、今日の方がノイズは多い。しかし同時に、シャクルトンと乗組員が夢見ることしかできなかったツールも私たちにはある。それを自らの強みにすべきだ。



