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資産運用

2026.08.10 14:15

不動産投資、「何を買っても儲かる時代」の終わり 三菱UFJ信託銀行専務が語る次の視点

不動産価格の潮目が変わりつつある

初心者はREITか実需物件を

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──魅力的な物件が次々に生まれている以上、この価格上昇はまだしばらく続くと見ていいのか。

田中:これまでのようにほぼ全ての物件が容易に上昇し続けるとは思いません。まず前提として、売買価格にしても賃料にしても、ここまで上がった以上、未来永劫この右肩上がりが続くことはないでしょう。どこかで限界が来るはずで、すでにその限界に近づいている可能性がある、というのがひとつ。

もうひとつは金利の問題があります。理屈で言えば、金利が上がれば不動産価格は下がる。ではなぜ今、不動産価格が下落していないのかと言えば、グローバルに見ればまだ日本は低金利であり、日銀も毎回0.25%ずつの利上げでペースも緩やかであるため、「大幅な利上げはしてこないだろう」という見方が国内外にあるからです。ただ、この見立てが覆されるケースになれば話は異なります。たとえば日銀が想定外のペースで利上げに動いたり、0.25%刻みでも短期間に連続して引き上げていったりして、結果的に諸外国と同水準の金利になった場合、今の不動産の利回り(キャップレート)では採算が合わなくなります。

実際、今の都心3区の好立地・新築の賃貸マンションの多くは、実質的な利回りが3%以下で取引が成立しています。もし日本の金利が3%、5%といった水準になれば、これは完全な逆ざやになります。そうなると、自己資金に余裕のある人しか物件を買えなくなります。自己資金があったとしても、不動産よりリターンの高い投資商品が他にあれば、わざわざ不動産に投資する意味がなくなってしまいます。

その意味で、これからの不動産投資はこれまでのように簡単ではないと思います。ただし、これは悲観しているわけではないです。しっかりと目利きをし、きちんと付加価値を付けられるノウハウを持っている人であれば、これまで以上のリターンを稼ぐことは十分可能だと考えます。

──不動産投資の入門として、どのような一歩を踏み出せばよいか。

田中:金融商品になってしまうが、現物でなくてもいいのであれば、REITや、今まだ黎明期だが出始めている不動産セキュリティ・トークンなどは手軽だと思います。少額からでもでき、大崩れすることもあまりない、ローリスク・ローリターン、あるいはミドルリスク・ミドルリターンではないでしょうか。

現物であれば、不動産投資に求めるものは人それぞれなので何とも言えませんが、初心者が堅実にやるのであれば、「自分も住みたいな、ここなら家賃をこれくらい、今でも多く取れるのではないか」と思えるようなマンションの一室なども良いかもしれません。たとえば、不動産のことはあまり分からなくてもインテリアが趣味という方であれば、物件の一室を買って、退去のタイミングで自分の理想のインテリアに変える。家具も変え、間取りも変える。それで新しいテナントが入り、以前より賃料が取れれば価値が上がります。

これは、個人投資家のそれほど大きくない投資も、外資系の不動産ファンドが行う何千億円という投資も同じです。いかにして付加価値を付けるか、価値を最大化するかに尽きます。


田中正吾(たなか・しょうご)◎1991年、三菱信託銀行(現・三菱UFJ信託銀行)入行。不動産アセットマネジメント部・不動産部で調査役等を歴任し、大阪不動産部長、不動産営業部長を経て2023年に常務執行役員。法人マーケット副部門長・不動産事業長として35年、不動産市場の第一線に携わる。26年4月、専務執行役員に就任。

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