プレーヤーの価値最大化力が向上
──現状の首都圏の不動産価格高騰が騒がれている。「バブルか?」とも言われるが、このあたりの動向をどう捉えているか。
田中:コロナ以降の値上がり、高騰ぶりは想像を超えるものだとみています。正直、時には「これは行き過ぎではないか」と思うこともありましたが、これが「昭和のバブルと同じなのか、バブルと断言できるのか」と問われれば、私は「バブルではない」と思っています。これだけ価格が上がっていても必ず買主がいますし、その買値は決して我々の想定を下回るものではなく、良い値段で決まっています。もうひとつは、今の価格高騰には理屈がある、ということです。その理由を3点挙げます。
ひとつ目は、不動産のプレーヤーが良い商品を開発できるようになっていることです。付加価値をつけ、不動産の価値を最大化することが上手くなりました。今のマンションはセキュリティが優れており、指紋認証のような生体認証技術でしっかり守られています。入居者用のレストラン、スポーツジム、カフェ、プールまで付いている物件も珍しくない状況です。昭和の古いビルをリノベーションし、新築を上回る魅力のある建物に刷新することで、賃料も価値も上がるといった事例も少なくないです。
ふたつ目は、不動産の金融商品化が完全に定着してきたことです。90年代後半から2000年前後にかけて、不動産の商品化・流動化・金融商品化という流れが出てきましたが、四半世紀を経て、これが完全に定着しました。これによって不動産の透明性が増し、分かりやすくなったことで、投資したいという人の裾野が大きく広がっています。
3つ目は、グローバルな視点で見れば、これだけ上がっても、世界的に見て日本の不動産はまだ相対的に安いという評価があることです。外資系投資家から「先進国の中で比較すると日本はインフレ圧力が高くない」と聞きます。さらに「不動産利回りより金利が低い、つまりイールドギャップが確保され、ローンでレバレッジが利く国は先進国で日本だけだ」とも言われます。加えて超円安がこれに拍車をかけており、外国人プレーヤーからすれば、日本の不動産にはまだ上がる余地がある、という見立てがあります。


