マーケティング

2026.07.29 08:51

なぜイベントアクティベーションは記憶に残らないのか。ブランドが犯す3つの誤り

Adobe Stock

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毎年、多くのブランドがライブイベントに投資し、注目を集め、話題を呼び、消費者との永続的なつながりを築こうとしている。

しかし、それだけの投資を行っているにもかかわらず、多くのイベントアクティベーションは、ブランドが期待するような効果を生み出せていない。その原因は、予算の制約やクリエイティブの限界ではなく、ブランドがオーディエンスに体験させたいことと、オーディエンスが実際に価値を見出すこととの間の「ズレ」にある。

体験型マーケティング(エクスペリエンシャルマーケティング)が進化を続けるなか、消費者はこうした体験が参加型であり、時間を費やす価値のあるものであることを求めている。今日成功しているアクティベーションは、注目とは「獲得するもの」であり、「保証されているもの」ではないことを理解しているものだと、私は実感している。

以下では、ブランドがイベントでアクティベーションを行う際に陥りがちな3つの過ちと、その代わりに取るべき対応を紹介する。

1. 価値よりも「目立つこと」を優先する

体験型マーケティングにおける最大の誤解の1つは、「規模が大きいほど良い」というものだが、規模の大きさがエンゲージメントを保証するわけではない。消費者は、その体験に参加する価値があるかどうかを常に品定めしている。もしアクティベーションが、ブランドロゴ入りの背景やプロモーション用の景品以上のものを提供していなければ、オーディエンスがそこで有意義な時間を過ごす可能性は低く、後々まで記憶に残ることもないだろう。

成功するアクティベーションは、シンプルな問いから始まる。参加者にとっての価値交換は何か、という問いだ。それがプレミアムな体験へのアクセスであれ、エンターテインメントであれ、学びであれ、あるいはコミュニティであれ、オーディエンスにはロゴを見る以上の参加する理由が必要だ。ブランドがまず価値を提供することに集中すれば、認知度や注目度は自然とついてくるものだ。

音楽ストリーミング大手のSpotifyがカントリーミュージック協会(CMA)フェスティバルに合わせて毎年開催しているアクティベーション「Spotify House」は、このアプローチを体現している。Spotifyは、アーティストによる限定体験、サプライズパフォーマンス、ファン主体のプログラムを通じて参加者に価値を提供している。ユニークな瞬間に参加できる機会があるからこそ、人々は引き込まれるのだ。この場合、露出の高さは体験の副産物であり、それ自体が目的ではないと私は考えている。

2. 「人間の体験」ではなく「SNS用のコンテンツ」を設計する

長年にわたり、体験型マーケティングは「完璧なSNS映えの瞬間」の追求に強く影響されてきた。その結果、多くの体験創出が、有意義な体験ではなく、写真撮影の機会(フォトスポット)を中心に据えるようになってしまった。

拡散されやすさ(シェアアビリティ)は依然として重要だが、消費者は、単にコンテンツ作成のためだけに用意されたものを敏感に見抜くようになっている。皮肉なことに、人々が最もシェアしたくなる体験とは、往々にしてシェアされることをまったく意図していないように感じられるものである。

私の経験上、優れた体験型施策は、心からの感情的な反応(驚き、ノスタルジー、興奮、好奇心)を生み出す。人は何かを感じたとき、自然とそれについて語りたくなるものだ。ブランドは「人々はこれを投稿したくなるか?」と問いかけるのではなく、「人々はこれを記憶に残したいと思うか?」と問いかけるべきなのだ。

人気ドラマをテーマにした「ストレンジャー・シングス:ザ・エクスペリエンス(Stranger Things: The Experience)」は、SNS上で多くのコンテンツを生み出したが、その成功の要因は写真撮影の機会だけではない。ゲストは作中の街「ホーキンス」の世界に入り込み、ストーリー展開に関わり、体験の能動的な参加者になるよう促された。人々がその体験によって得た感動を共有したいと思ったからこそ、自然とSNSでのシェアが広がったのだ。

3. すべてのイベントを同じように扱う

多くのブランドは、あるアクティベーションのコンセプトで成功を収めると、それを他の複数のイベントでも複製しようとする。一貫性は重要だが、オーディエンスが常に同じようにイベントを体験するとは限らない。

音楽フェスティバルで響くものが、スポーツイベントでは不発に終わることもあれば、ある都市で機能したものが、別の都市では通用しないこともある。優れた体験プログラムは、一貫したブランドの土台を維持しつつ、周囲のユニークな環境に適応させるものだ。消費者は、ブランドが「画一的なアプローチ」で臨んでいるかどうかに気づく。同様に、ブランドが目の前にいるオーディエンスを理解するために時間を割いているかどうかにも気づく。

私は、カントリーミュージックフェスティバル「ステージコーチ(Stagecoach)」におけるパラマウントプラス(Paramount+)の「ジ・アウトポスト(The Outpost)」の立ち上げを支援した際、このことを身をもって体験した。既存のアクティベーションをフェスティバルにそのまま持ち込むのではなく、そのイベントのユニークな文化やオーディエンスに合わせて体験を構築した。テレビ番組の人気キャラクターの世界観を、ウェスタン調の集いのスペースやテーマバー、インタラクティブな演出と融合させることで、この体験は単独のアクティベーションというよりも、フェスティバルの一部として自然に溶け込んでいるように感じられた。

代わりにすべきこと:記憶に残る体験を創り出す

現在、体験型マーケティングで勝ち組となっているブランドは、必ずしも最も多くの予算を費やしているブランドではない。参加する人々にとって意図が明確で、関連性があり、本当に価値があると感じられる体験を創出しているブランドだ。

消費者が自分の時間や関心をどこに向けるかについてますます慎重になるなか、ブランドは単に「出展する」というマインドセットから脱却しなければならない。成功は、人々がなぜそこにいるのか、何に関心があるのか、そして自社のアクティベーションが彼らの体験にいかに有意義に貢献できるかを理解することから生まれる。

イベントが乱立する現代において、目指すべきゴールは「記憶に残ること」であり、それはインプレッション(表示回数)のためではなく、人のために体験を設計することから始まる。

(forbes.com 原文)

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