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2026.07.29 07:51

ウォーレン・バフェットの「株式ギャンブル」への警告は、バイオテクノロジー業界にとって逆風か?

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ウォーレン・バフェットは60年以上にわたり、富は忍耐、規律、そして本質的価値への容赦ない集中によって築かれることを投資家に説いてきた。だが、その原則がこれほど試されるセクターは、バイオテクノロジーをおいてほかにない。この分野では、1つの臨床試験、米食品医薬品局(FDA)の決定、あるいは科学的なブレイクスルーが、一夜にして数十億ドルの市場価値を生み出すこともあれば、消し去ることもある。バークシャー・ハサウェイの2026年年次株主総会に際して、バフェットは「人々が今ほどギャンブル的な気分になっているのを見たことがない」と警告し、今日の市場は長期投資よりも投機を優遇する傾向が強まっていると主張した。彼は、株式市場は「カジノが併設された教会」に似ているという持論を改めて繰り返したが、今日ではカジノのほうがメインのアトラクションになってしまっているという。バフェットは市場全般について述べていたが、この警告は、革新的な科学と投機的な取引が投資家の関心を惹きつけようと競い合うバイオテクノロジーセクターに強く当てはまる。

バイオテクノロジーは、ウォール街において常に独自の立ち位置を占めてきた。その固有の不確実性は、長らく科学を重視する長期投資家の得意分野であったが、同時に一獲千金を狙う短期トレーダーをも頻繁に惹きつけてきた。オプション取引、SNSを通じた投資、個人投資家による投機が拡大し続けるなか、バイオテクノロジーセクターはこれら両方の世界を色濃く反映するようになっている。

バフェットが避けてきた領域

バークシャー・ハサウェイを歴史上最も偉大な資本配分マシンの1つへと育て上げた投資家にとって、バイオテクノロジーは、おそらく彼が意識的に避けてきた最大の産業だろう。

その決断は、バイオテクノロジー自体を非難するものでは決してない。そうではなく、バフェットは、合理的な確実性を持って理解できるビジネスを好むと繰り返し説明してきた。彼の投資哲学は、数十年先の将来のキャッシュフローを予測することに基づいている。消費者ブランド、保険会社、鉄道、銀行、公益事業、産業企業などは、概してその枠組みに適合する。しかし、創薬はそうではない。

バイオテクノロジー企業は、1つの治療薬の開発に15年を費やした挙句、臨床第3相試験(フェーズ3)で失敗に終わることもある。逆に、無名のプラットフォーム技術が突然医療に革命を起こすこともある。臨床における成功は、確かな科学だけでなく、規制当局の決定、製造の実行力、保険償還方針、医師の採用状況、競合製品、知的財産、そしてタイミングに依存する。これらの変数は、経験豊富なバイオテクノロジーの専門家であっても予測が極めて困難である。バフェットは、この限界は業界への批判ではなく、彼自身の「能力の輪(サークル・オブ・コンピテンス)」の限界によるものだと頻繁に認めている。流石というべきか、彼がその輪の外へ迷い出ることはめったにない。

唯一の大きな例外

バークシャー・ハサウェイは、新型コロナウイルスのパンデミックのさなかに、大手製薬会社数社の株式を一時的に保有した。これにはアッヴィ(AbbVie)、メルク(Merck)、ブリストル・マイヤーズ スクイブ(Bristol Myers Squibb)、ファイザー(Pfizer)などが含まれる。これらのポジションは、投機的なバイオテクノロジー企業というよりも、バフェットが従来好んできた、成熟し、キャッシュを生み出すビジネスに合致しているように見え、その多くは後に縮小または売却された。バークシャーがバイオテクノロジー分野の熱心な投資家であるという評価を得たことは一度もない。

この区別は重要だ。大手製薬会社は多くの点で生活必需品企業に似ている。彼らは数十億ドルの経常収益を上げ、多様な製品ポートフォリオを持ち、配当を支払う。

開発段階にあるバイオテクノロジー企業は、それとはまったく異なる投資対象である。その多くは売上高が皆無だ。彼らの価値は、1つの分子、1つのプラットフォーム、あるいは間近に控えた1つのFDAの決定に左右されることが多い。

バイオテクノロジー:投資か、それともギャンブルか?

バフェットの「カジノ」発言は、不都合な真実を浮き彫りにする。バイオテクノロジーは投資なのか、それともギャンブルカジノに近いのか? 率直な答えを言えば、そのどちらにもなり得るということだ。

長期的なバイオテクノロジー投資には、科学的プラットフォームの評価、疾患のバイオロジーの理解、臨床試験デザインの評価、競合環境の調査、商業的機会の予測、そして経営陣の実行力の分析が必要となる。投機には、これらのいずれも必要ない。

今日の市場は、ファンダメンタルズよりもモメンタムを優遇する傾向が強まっている。臨床試験の材料はSNSのイベントと化す。個人トレーダーは、FDA諮問委員会の会合を控えてウィークリー・オプション(期間が1週間のオプション取引)に殺到する。人工知能(AI)は、実質的な臨床エビデンスが存在する前から、新技術をめぐる興奮を急速に増幅させる。多くの場合、株価は科学よりもセンチメント(市場心理)によって大きく動く。これこそまさに、バフェットが何十年も警告し続けてきた行動パターンである。

なぜバイオテクノロジーは特に脆弱なのか?

いくつかの構造的な特徴が、バイオテクノロジーを特に投機的行動に対して脆弱にしている。第一に、情報が「ゼロか百か(バイナリー)」の形で届くことだ。収益の緩やかな改善を報告する産業企業とは異なり、バイオテクノロジー企業は、1つのプレスリリースだけで企業価値が劇的に変化することが珍しくない。

第二に、評価(バリュエーション)自体が本質的に不確実であることだ。多くのバイオテクノロジー企業は商業化までに何年も要するため、収益やキャッシュフロー、純資産といった従来の指標は、投資尺度としてほとんど役に立たないことが多い。

第三に、科学的な複雑さが情報の非対称性を生み出している。大半の投資家は、免疫学、ゲノム編集、RNA治療薬、補体バイオロジー、腫瘍バイオマーカー、あるいは臨床試験における統計学的検出力の仮定などを独自に評価することはできない。その結果、投資家はエビデンスよりもヘッドライン(見出し)に頼りがちになる。

最後に、オプション市場がボラティリティを増幅させていることだ。バフェットは、1日限りのオプション取引を投資ではなくギャンブルであると明確に批判した。バイオテクノロジーは、FDAの決定や臨床データの発表をめぐる短期オプション取引において、最も活発なセクターの1つとなっている。

今なお適用可能なバフェットの哲学

バフェットはバイオテクノロジー投資に手を出したことはないが、彼の投資原則の多くは、この分野においても他のいかなる分野と同様に価値がある。彼が強調する「忍耐」は、一時的なボラティリティと永続的な価値の毀損とを区別することを投資家に促す。また、経営陣の「質」を重視する彼の姿勢は、数年におよぶ臨床開発を導くバイオテクノロジー企業の経営幹部にこそ、より強く当てはまる。彼の「資本配分」へのこだわりは、度重なる資金調達ラウンドに依存する企業にとって引き続き重要であり、持続的な「競争優位性(モート)」を好む姿勢は、知的財産、プラットフォーム技術、製造能力、規制に関する専門知識へと自然に置き換えることができる。そして最も重要なのは、「わからない」と言うことが、しばしば最も賢明な投資判断であるとバフェットが思い出させてくれることだ。バイオテクノロジーの専門家は、すべての科学的な疑問に予測可能な答えがあるわけではないことを理解している。

バフェットが逃したかもしれない機会

バフェットがバイオテクノロジーを避けたことで、バークシャーは無数の創薬失敗企業から身を守ることができた。しかしそれは同時に、医学における最大の富の創出ストーリーの1つを逃したことも意味する。アムジェン(Amgen)、ギリアド・サイエンシズ(Gilead Sciences)、リジェネロン(Regeneron)、バーテックス・ファーマシューティカルズ(Vertex Pharmaceuticals)といった企業は、科学的イノベーションを商業的な成功へと変えることで、長期にわたり莫大な株主価値を生み出してきた。

モノクローナル抗体、CAR-T療法、RNA医薬、遺伝子治療、GLP-1受容体作動薬、補体阻害剤など、治療分野そのものが現代医療を根本から変え、数千億ドルもの時価総額を生み出してきた。これらは投機的なバブルから生まれたものではない。本物の科学的革命を体現したものである。

課題は常に、これらを他者より先に特定することにあり、その作業には従来のバリュー投資をはるかに超える専門知識が必要となる。

導き出される答えとは

今日のバイオテクノロジーをめぐる環境は、歴史上のどの時点よりも有望であり、同時に不確実でもあることは間違いがない。創薬を加速するAI、ゲノム編集、個別化がん医療などの話題が急速に進展している一方で、商業的な成熟にはまだ程遠い。また、再生医療、細胞療法、タンパク質工学、合成バイオロジーは、まったく新しい治療のフロンティアを切り開く一方で、「誰がその費用を支払うのか」という難題を突きつけている。

オプション取引やミーム投資、予測市場が主流を占めるこの時代において、バフェットのメッセージは色あせることがない。短期的に市場はギャンブルをますます優遇するかもしれないが、バイオテクノロジーであれ他のどのセクターであれ、永続的な富は、やはり厳格な分析、忍耐、そして賭けではなく「投資」を行うという揺るぎないコミットメントからしか生まれないのだ。

forbes.com 原文

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