資産運用

2026.07.29 07:26

株式市場の変動を生むのは「ローテーション」、市場全体の弱さではない

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メディアはボラティリティ(変動性)を好む。結局のところ、個別銘柄やセクター全体が日中に10%も乱高下すれば、話題には事欠かないからだ。誰かが勝ち、誰かが負け、あらゆる値動きが「市場は崩壊寸前なのか」と問いかける新たな口実となる。大規模なマージンコール(追証)のニュースが、さらに不安をあおる。

問題は、ニュースの見出しが往々にして市場全体ではなく、一握りの銘柄で起きていることを伝えている点にある。

実際のところ、大半の投資家が実際に投資している指数レベルで見ると、株式市場は驚くほど退屈だ。半導体株やAI(人工知能)関連株の極端な値動きに惑わされてはならない。この1カ月を決定づけたのは、市場全体の弱さではなく、ローテーションである。

ほとんどのセクターは極めて好調

この1カ月で、S&P500種株価指数はわずか+0.6%の上昇にとどまった。ほぼ横ばいだ。表面上は、特に面白みのない動きに思える。しかし、セクターレベルで見ると、状況はまったく異なる。

明らかに劣後しているのはテクノロジーセクターである。7月17日の時点で、半導体メーカーが牽引するステート・ストリートのテクノロジー・セレクト・セクターSPDRファンド(ETF)は、この1カ月で-5.4%下落した。しかし、それ以外のほぼすべての主要セクターは上昇している。同期間に、ヘルスケア株は+7.4%上昇、エネルギー企業は+6.4%上昇、金融株は+4.5%上昇した。

指数が足踏みしている理由は、すべての銘柄が下落しているからではない。S&P500で20%近くのウェイトを占める半導体株が、上半期の極めて力強い強気相場(bull market)を経て、20%のドローダウンに見舞われているからだ。これは広範な売り圧力ではない。ローテーションだ。資金は株式市場から流出しているのではなく、市場の内部で移動しているのである。

ローテーションを捉えるもう一つの方法は、投資ファクターのパフォーマンスを見ることだ。投資ファクターとは、市場におけるリスクとリターンを説明するために用いられる、バリュー(割安性)、サイズ(規模)、モメンタム(勢い)などの定量化可能な特性のことである。

最近の調整の大部分は、モメンタム取引の反転が原因だ。iシェアーズ MSCI USA モメンタム・ファクター ETF(MTUM)は、この1カ月でS&P500を約8.5%下回るアンダーパフォームとなった。同ETFの組入比率上位3銘柄は、いずれも半導体株(マイクロン・テクノロジー、インテル、アドバンスト・マイクロ・デバイセズ)である。

投資家は、今年の大半を通じて出遅れていた市場の他の領域へとローテーションしている。ここ数週間で、バリュー株はS&P500を約2.6%上回るアウトパフォームを示し、小型株は同指数を3%以上上回った。これがローテーションの実態だ。

それでも、大半の投資家にとって現在の環境は居心地の悪いものだ。モメンタム株のドローダウンは大きいが、珍しいことではない。この動きを非常に極端に見せているのは、ボラティリティである。

株式市場のボラティリティは局所的

S&P500と比較したモメンタム株の過去1カ月のヒストリカルボラティリティ(実現ボラティリティ)は、10年ぶりの高水準に達している。最も注目を集めているニュースの主役銘柄は、市場全体よりもはるかに激しく揺れ動いている。投資家は自然とそうした動きが市場全体を代表していると考えがちだが、実際には比較的少数の銘柄群に集中している。

注目すべきは、AI関連株の弱さとボラティリティにもかかわらず、強気相場は維持されている点だ。iシェアーズ半導体ETFは、直近の高値から-20%下落したかもしれないが、依然として200日移動平均線を38%上回る水準にある。

高いディスパーションと低い相関

市場のローテーションを浮き彫りにするもう一つのデータは、実現インプライド相関が20年ぶりの低水準付近にとどまっていることだ。相関とは単純に、複数の銘柄がどれだけ連動して動くかを測定するものだ。

市場が本当に弱い局面では、投資家が一斉にすべてを売り払うため、相関性は急上昇する傾向がある。金融危機やパンデミック、その他の大規模な調整局面に起きたのがまさにこれだ。

現在起きていることは、それとは異なる。一部の銘柄は下落しているが、別の銘柄は新高値を更新している。低い相関性は、まさにローテーション中に予想される通りの現象だ。個別銘柄は劇的に動いているが、市場全体は比較的安定している。

もちろん、これらのことが、ここから市場が調整に入らないことを意味するわけではない。主導セクターのローテーションは、特に企業決算が予想に届かなかったり、経済状況が悪化したりした場合、市場全体の下降と重なることがある。

しかし、現在のデータが示しているのはそのようなことではない。

AIブームの次のフェーズにおいて、最終的に誰が勝ち、誰が負けるかを議論することは理にかなっている。今年最大の勝者となった銘柄の一部は、実態以上に買われすぎていた可能性があり、今後も調整が続くかもしれない。

データ(証拠)によって裏付けられていないのは、一握りの注目銘柄のボラティリティが、市場そのものが苦境に立たされていることを意味するという考え方だ。

金融メディアが最大の勝者と敗者に焦点を当てるのは当然だ。そこにドラマがあるからだ。しかし、投資家は資金が実際にどこへ向かっているかに注目すべきである。

現在、資金は市場から逃げ出しているのではない。ローテーションしているのだ。

forbes.com 原文

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