外資系ブランドの撤退で閑散とするロシアの商業施設
小売業者にとって、攻撃の影響はワイルドベリーズの枠をはるかに超えている。ロシアの小売業界は今年に入り、厳しい圧力にさらされており、同国では20年以上ぶりに店舗総数が減少に転じ、モスクワやサンクトペテルブルクといった大都市からも数千店舗が姿を消した。
第1四半期には、主要な国際小売ブランドの新規参入はなかった。これはウクライナ侵攻開始直後の状況と同じだ。侵攻開始以降、国際的な投資家はロシアの小売市場からほぼ撤退し、事業拡大の資金は国内資本に頼る形となった。当初はトルコや中国のブランドがロシアに殺到し、またとない好機と見て、一等地の不動産を次々と買い占めた。
だが、米不動産仲介大手ジョーンズラングラサール(JLL)のロシア法人だったIBCリアルエステートの報告によると、ロシア経済の減速が続く中、昨年にはそうした国際的な小売業者でさえ、撤退した面積は新規に出店した面積をはるかに超え、同国に進出した新規の外資系ブランドはわずか12社で、過去2年間の半分程度にとどまった。その結果、モスクワの商業施設の空室率は昨年を通して前年比1ポイント上昇し5.7%となった。米マクドナルドは「フクスナイトチカ」、米スターバックスは「スターズコーヒー」、米サブウェイは「サブジョイ」など、かつての欧米系店舗の多くはロシア人経営者の下で名称を変えて営業を続けているものの、多くの消費者はこれらの国内版を元のブランドより劣るものと見なしている。
西側の小売業者は集客力を高め、商業施設への来店数を増やした。これを受け、ロシアの商業施設協会は、多くの国内代替企業が苦戦していることを認め、スウェーデンの衣料品大手ヘネス・アンド・マウリッツ(H&M)や日本の衣料品大手ユニクロ、スペインの衣料品大手ザラなどの小売業者に対し、再進出を公に要請するに至った。
ロシアが自ら招いた小売業界の苦境に同情する声はほとんどないだろうが、ワイルドベリーズへの攻撃により、多くの一般市民が商品を入手できなくなり、数十万社もの中小企業が損失を被ることになるだろう。
ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、「われわれは極めて正当に、戦争をロシア国内に押し返しているのだ」と表明した。


