国防総省が2017年に始動した機械学習イニシアチブの「プロジェクト・メイブン」は現在、AIを用いてドローンや人工衛星などからの膨大な監視映像を分析し、軍事アナリストによる物体、車両、建造物、その他の潜在的標的の特定を支援している。米中央軍は情報収集・監視・偵察を目的にAIツールの導入を強化しており、各防衛関連企業も無人機や自律型ドローン、さらには戦場ロボットの実用化につながるAI搭載型自律システムを精力的に開発している。
AIソフトウェアの軍事利用拡大が進む一方で、国防総省はAIモデルの利用条件をめぐってアンソロピックと対立している。
アンソロピックは昨年7月に国防総省のAIパートナーとなり、自社の対話型AI「Claude」の軍事利用を認めたものの、米国民に対する大規模な国内監視や完全自律型兵器システムへの利用を禁止するなどの利用制限を設けていた。国防総省は、法的枠組みに沿った安全保障上のあらゆる目的でAIシステムにアクセスできるべきだと要求したものの、アンソロピックが独自の安全基準を譲らなかったため、ドナルド・トランプ大統領は連邦機関に対し同社技術の使用停止を命じた。
さらにピート・ヘグセス国防長官はアンソロピックを「サプライチェーン上のリスク」に指定し、防衛企業が国防総省に関連する業務でClaudeを使用することを制限した。アンソロピックはこの指定を報復行為だとして連邦地方裁判所に提訴し、裁判所は同社の主張を認め、指定を無効とする判決を下した(現在は政府側が上訴中)。国防総省は今年5月、OpenAI、アルファベット、イーロン・マスク率いるスペースXなど他のIT大手7社と、機密扱いの軍用ネットワークで各社のAIツールを使用する合意を締結したと発表した。


