北米

2026.07.29 08:00

米陸軍の155mm砲弾補充が頓挫 新設工場が主要パーツの製造に失敗、供給網問題も露呈

米東部ペンシルベニア州スクラントンにあるスクラントン陸軍弾薬工場で、155mm砲弾の検査が行われる様子。2023年4月12日撮影(Hannah Beier/Getty Images)

米東部ペンシルベニア州スクラントンにあるスクラントン陸軍弾薬工場で、155mm砲弾の検査が行われる様子。2023年4月12日撮影(Hannah Beier/Getty Images)

米軍は弾薬の備蓄を大量に消費している。とりわけトマホーク巡航ミサイルやパトリオット地対空ミサイル、THAAD(終末高高度防衛)ミサイルといった精密誘導弾や迎撃ミサイルで顕著だ。イランと継続中の紛争でトマホークは1000発以上発射され、米軍の年間調達数のおよそ10倍が費やされた。

パトリオット、THAAD両迎撃ミサイルの在庫も50%近く減った。米紙ニューヨーク・タイムズは、長射程のステルスミサイル(編集注:JASSM空対地ミサイルを指す)も最大1100発使用され、太平洋地域での有事に備えた備蓄は完全な枯渇に近づいていると警鐘を鳴らしている。これらの備蓄の回復には何年もかかる可能性がある。

しかし米軍が不足に直面しているのは、こうした高度な弾薬だけではない。製造がもっと容易な155mm砲弾もまた足りていない。このタイプの砲弾は北大西洋条約機構(NATO)加盟諸国のほか、世界数十カ国の軍隊で採用されている。

ロシアが2022年2月にウクライナに対して正当な理由のない全面侵攻を始めて以降、米国はほかの国々とともにウクライナに155mm砲弾を供与してきた。その結果、米軍の155mm砲弾の備蓄は著しく減少した。米国からウクライナへ送られた累計数は300万発以上にのぼる。

「月産10万発」の目標を大幅に下回る

砲弾不足は3年前の時点ですでに深刻であり、当時のジョー・バイデン米政権が生産施設の新設を発表した。計画では、需要に対応するため、155mm砲弾の月間生産能力を従来の1万4000発から2025年10月までに10万発に引き上げることになっていた。

だが、残念ながら生産増強は目標を下回る状態が続いている。今年3月時点で、155mm砲弾の月間生産量は3万6000発にとどまっていた。

米国防総省の監察総監室がこのほど公表した報告書によると、新たに建設された施設のひとつである南部テキサス州メスキートの工場は、155mm砲弾の製造に必要な部品を出荷できていない。米ジェネラル・ダイナミクスの子会社ジェネラル・ダイナミクス・オードナンス・アンド・タクティカル・システムズ(GDOTS)が運営するこの工場は、約4億6900万ドル(約770億円)の公費を投じて建設され、2024年5月に華々しく開所した。しかしこれまで、155mm砲弾の主要パーツである金属製の外殻(弾殻)を1個も生産できていない。

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翻訳・編集=江戸伸禎

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