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2026.07.28 20:33

スタートアップの定石は誰もが知っている。それでも多くの創業者が失敗する理由

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起業家育成プログラムやイノベーションのワークショップに足を運べば、同じ助言を耳にするはずだ。

MVP(実用最小限の製品)を作れ。仮説を検証せよ。計測し、学び、方向転換せよ。

リーンスタートアップの手法は広く教えられ、「早く失敗せよ」は、もはやビジネスの決まり文句となっている。そこにAIが加わった。AIはコードを書き、プロトタイプをつくり、ロゴをデザインし、顧客フィードバックを分析するのに役立つ。新しいものを構築することは、かつてないほど容易になったといえるだろう。

ここで一つの疑問が浮かぶ。ほぼ全員が定石を知っているのなら、なぜ多くの賢く有能な人々が行き詰まり、早々に諦め、明らかに機能していないアイデアに固執し続けるのだろうか。

ボトルネックが心理面にあるからだ。

もちろん、プロセスを理解することは今も重要だ。しかし定石はやるべきことを教えてくれるにすぎない。各ステップには心理的な能力も要求され、多くの人はそのうち少なくとも一つを欠いている。彼らは次の一手がわかっているまさにその瞬間に立ちすくみ、実行に移せなくなるのだ。

最も重要な5つの能力を見ていこう。

1. 自分のアイデアから距離を置く力

定石は言う。ユーザーが実際に何をするかを観察せよ、と。実際にはそれは、何カ月もかけて作った機能を無視される様を目の当たりにすることを意味する場合が多い。

ケビン・シストロムとマイク・クリーガーは最終的に、自分たちのアプリ「Burbn」でユーザーが関心を寄せているのは、写真共有というたった一つの機能だけであることに気づいた。データが指し示す結論は明白だった。それに従うことは、何カ月分もの作業を捨てることを意味した。そしてそれを厭わなかった姿勢こそが、Instagramを可能にしたのである。

心理学者はこれを知的謙虚さと呼ぶ。証拠によって考えを変えられる程度に、自分のアイデアを緩やかに保持する力である。手放しがたい機能ほど、たいていは最も愛着を抱いているものだ。

2. 恥に耐える力

定石は言う。早く世に出せ、と。LinkedInの共同創業者であるリード・ホフマンの「製品の最初のバージョンを見て恥ずかしいと思わないなら、ローンチが遅すぎたのだ」という有名な言葉がある。この一文で最も重要な言葉は「恥ずかしい」という部分だ。

未完成の仕事を世に出すとは、自分がまだ準備できていない段階の姿を他人に見せることを意味する。多くのプロフェッショナルにとって、それはさらに1カ月、内々で作業を続けることよりもはるかに居心地が悪い。

Spanx創業者のサラ・ブレイクリーは、自身の粘り強さの多くを、幼少期の毎週の習慣に負っていると語る。夕食の席で父親が、その週に何に失敗したかを彼女に尋ね、答えがあると祝ってくれたのだ。父親は「恥への耐性」という言葉こそ使わなかったものの、まさにそれを教えていたのである。

公開せずに磨き続けているのだとしたら、その障害は完璧主義よりも根深いかもしれない。未完成の状態で人目にさらされることへの不快感なのだ。「恥ずかしさの予算」を設定しよう。毎月一つ、不完全な作品を世に出すと決めるのだ。判断基準はただ一つ、それを公開したかどうかである。

3. 「それが失敗した」と「自分が失敗した」を切り分ける力

定石は言う。失敗をフィードバックとして扱え、と。しかしその失敗が自分のものであるとき、言うは易く行うは難しだ。

セルフ・ディスタンシング(自己距離化)に関する研究によれば、人は目の前の感情から一歩引き、あたかも他人に助言するかのように状況を分析するとき、挫折についてより良い判断を下せるという。鍵となるのは、プロジェクトの失敗と自分自身の失敗を切り分けることだ。ローンチの失敗はローンチについて何かを教えてくれるが、必ずしも作り手としてのあなたの能力について何かを教えるものではない。

実践的な方法の一つは、挫折の後に二つのリストを作ることだ。一つ目は、その結果がプロジェクトについて何を告げているか。二つ目は、それが自分自身について何を告げていると心配しているか。分析に組み込むべきなのは、一つ目だけである。

4. 「わからない」ことに耐える力

あらゆるイノベーションのプロセスには、驚くほど注目されない段階がある。長い「中間期」だ。実験は実施したが、答えはまだ明確ではない。ローンチが期待外れだったのは、アイデアが弱いからか。ターゲット層が違うからか。それとも単にもっと時間が必要なだけなのか。

心理学者はこの段階の不快感を認知的閉合欲求と呼ぶ。不確実性を終わらせるためだけに、確定的な答えにたどり着きたいという欲求だ。曖昧さに耐えるのが苦しくなると、私たちは考えるのをやめるために、最も手近な説明に飛びつきがちになる。イノベーションにおいてそれは、早すぎる撤退や早すぎる勝利宣言を意味する。

より良いアプローチは、どんな証拠があればその問いに答えられるのか、そしていつそれを評価するのかを、あらかじめ決めておくことだ。それまでの誠実な答えは「まだ探っている最中だ」である。

5. 柔軟なコミットメント

スタートアップの定石の中でおそらく最も難しく、同時に最も曖昧な指示は、「いつ方向転換し、いつ耐え抜くかを見極めよ」というものだ。

ジェームズ・ダイソンは、紙パック不要の掃除機を完成させるまでに15年と5000を超えるプロトタイプを費やした。スチュワート・バターフィールドは苦戦していたオンラインゲーム「Glitch」を閉じ、社内メッセージングツールをSlackへと転換させた。正反対の2つの判断だが、どちらも正しかった。この判断を代わりに下してくれるフレームワークは存在しない。

ここで問われる能力が心理的柔軟性である。目標には深くコミットしつつ、その道筋については柔軟であり続ける力だ。自分がどちら側にいるのかを明らかにするのに役立つ問いが一つある。「自分が続けているのは、証拠がそれを支持しているからか、それとも中止すれば過去2年が無駄だったと認めなければならないからか」。もし後者であれば、粘り強さはサンクコスト(埋没費用)の誤謬に転落している。

真のボトルネック

新しいものを構築するための実務的な手段は、かつてないほど手に入りやすくなっている。フレームワークは広く教えられ、ツールはますます安価になり、AIは製品そのものをつくる手助けもしてくれる。成功する作り手を分けるのは、感情的な利害が現実味を帯びたときにも定石を実行できる能力である。

だから次にプロジェクトが行き詰まったときは、市場が何を告げているかだけを問うてはいけない。この5つの能力のうち、その瞬間が求めているのはどれか、そして自分の中にそれを育ててきたかを、問うてほしい。

forbes.com 原文

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