ヘルスケア

2026.07.29 10:30

Apple Watchと医療をつなぐ──高血圧や心臓疾患、脳卒中予防に挑む日本の医師たち

7月23日から25日まで、京都で開催された第72回日本不整脈心電学会学術大会のセミナーに登壇した木村雄弘氏(左側)、矢野裕一朗氏(中央)、妹尾恵太郎氏(右側)

高血圧パターン通知は早期発見の「入口」

順天堂大学医学部総合診療科学講座の矢野裕一朗氏は、2025年12月に日本でも利用可能になったApple Watchの「高血圧パターン通知」を取り上げた。

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これはApple Watchを常時装着できる血圧計にする機能ではない。光学式心拍センサーで取得した過去30日間の脈波を解析し、高血圧との関連性が高いパターンが継続して検出された場合に通知する。

日本でも2025年12月からApple Watchによる高血圧パターンの通知機能が利用できる
日本でも2025年12月からApple Watchによる高血圧パターンの通知機能が利用できる

矢野氏が壇上で示した、アップルが米国食品医薬品局(FDA)に提出した高血圧パターン通知機能の検証試験データによると、未診断の高血圧患者を対象とした検証試験において、Apple Watchによる高血圧パターン通知の感度は約41%、特異度は約92%であった。この結果は、対象となる高血圧患者の約59%で通知が発生せず、見落とされる可能性を示している。

矢野氏は通知が届かないことで得られる「問題がないという思い込み」が、医療機関への受診を遅らせるリスクに留意すべきだと指摘する。通知の有無にかかわらず、定期的に家庭用カフ式血圧計で測定を行うことや、必要な際に医療機関を受診することが重要となる。

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診察室では正常でも家庭では血圧が高くなる「仮面高血圧」も見逃せない。医療機関のデータと日常生活で記録されたデータを照合すれば、将来の脳卒中につながるリスクの高い人を早期に見つけられる可能性がある。矢野氏はApple Watchをその「入口」と位置付ける。

一方、検出感度や誤分類など技術的な限界もある。血圧測定に求められる臨床的な厳格性と、毎日無理なく身に着けられるウェアラブルによる簡便なモニタリングとのバランスが重要だ。医療側にも、Apple Watchを詳しい検査が必要な患者を見分けるトリアージ経路として位置付け、従来の血圧測定と組み合わせることが求められる。

順天堂大学は、Apple Watchと家庭用血圧計を東京都文京区の住民に1か月以上提供し、病院内外をつなぐ地域医療の動線を検証する取り組みを進めている。この実証の拠点となるのが、同大学と文京区が連携して開設した複合施設「元町ウェルネスパーク」だ。医療を「病気になってから訪れる場所」から「日常生活に溶け込むサービス」へとシフトさせる「Hospital as a Service(HaaS)」構想において、Apple Watchをはじめとするウェアラブルデバイスが重要な役割を担っている。

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編集=安井克至

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