2030年に向けたシナリオ
多くのテック企業は、電力会社やサプライヤーと長期の電力購入契約(PPA)を締結している。これらの契約は、風力や太陽光といった再生可能エネルギー源に支えられている。
しかし、S&P Global Commodity Insightsが指摘するように、データセンター向け電力需要は現在から2030年まで年10〜15%、あるいはそれ以上のペースで伸びると見込まれており、米国内外で天然ガス火力発電所からの追加電力がますます視野に入ってきている。
メタの苦境と対応は、その典型例である。同社は2025年のサステナビリティ報告書で、年間電力使用量の100%をクリーンで再生可能なエネルギーで引き続き賄うと述べていた。
これまでに、メタが支援する風力・太陽光プロジェクトは、米国および同社が事業を展開する世界市場で合計約30GWに上っている。だが、AI分野がある種のスーパーサイクルにあるなか、通常のグーグル検索が0.3Whであるのに対し、ChatGPTへの1回のクエリには2.9Whの電力が必要とされる世界に私たちは暮らしている。約10倍である。メタと競合各社は、エネルギーを大量に消費する企業として、必要な対応を後追いで進めている。
国際エネルギー機関(IEA)によれば、恩恵を受けるのは天然ガスだけではなく、石炭もその対象になり得る。フランス・パリに本部を置く同政府間組織は最近、データセンターからの需要が、既存設備の稼働率上昇と新設発電所の双方を通じて、天然ガス火力および石炭火力発電の短期的な成長を支える重要な要因であり続けるとの見通しを示した。
同機関はさらに、2030年までにデータセンターによる追加電力需要の40%超を、天然ガスと石炭が合わせて満たすと予想している。こうしたシナリオが極めて現実味を帯びるなか、大手テックブランドの多くは、必要に迫られてクリーンエネルギー協定や誓約を破ることになるかもしれない。


