ビジネス向けSNS「LinkedIn」のデータによると、AIの影響を受けて冷え込んでいる採用市場において、工学系の専攻者が大打撃を受けている。どの専門分野が苦境に立たされているのか。そして、一流大学はどのような対策を講じているのだろうか。
デトロイト育ちのリオン・ボールドウィン=ウィリアムズは、趣味のウェブ制作が高じてミシガン州立大学(MSU)工学部でコンピュータサイエンスを専攻。誰もが羨む大手企業でのインターンシップも経験した。その中には、コンサルティング会社Accenture(アクセンチュア)でのソフトウェアアナリストや、米億万長者ダン・ギルバートが創業したフィンテック大手Rocket Companiesでのソフトウェアエンジニアリングのインターンが含まれる。さらに、大学2年から4年時にかけてはMSUの就職支援センターでも働き、人脈を築き、卒業後の就職に必要な履歴書の書き方のコツやスキルを学ぼうとした。
2025年にMSUを卒業するまでに、複数のインターンシップを経験したボールドウィン=ウィリアムズ。現在もIT分野でのフルタイムの仕事は得られていないが、ファッションブランド向けのウェブサイトやアプリのデザインをフリーランスで請け負い、収入を得ている。
しかし、卒業から1年以上が経過した現在も、23歳になったボールドウィン=ウィリアムズはソフトウェアエンジニアの正社員の仕事を求め続けている。「最初は応募したすべての求人とその状況をスプレッドシートにまとめていた」と彼は言う。「けれども、応募が100件に達したとき、嫌気がさしてすべて削除してしまった」
多くの新卒者が冷え込んだ採用市場に翻弄されているが、長年にわたり最も手堅く、安定しており、高収入が得られるとされてきた工学系の専攻者ほど自らの現状にショックを受けている人たちはいないかもしれない。もちろん、工学系の卒業生は、教育学や英文学の専攻者よりも依然として高い収入を得ている。全米大学就職協議会(NACE)が2026年2月に発表した予測によると、同年の工学・コンピュータサイエンス専攻の卒業生の平均初任給は年収8万1000ドル(約1330万円)を超える見通しで、ビジネス・社会科学・コミュニケーション学専攻の6万9000ドル(約1130万円)未満を上回っている。



