キャリア

2026.08.01 12:00

AI時代に揺らぐ「工学部=安全」神話、新卒採用25%減の現実と生き残りの条件

ジョージア工科大学(Chad Robertson - stock.adobe.com)

ただし、それも仕事が見つかればの話だ。実のところ、工学系卒業生の就職見通しは、他の専攻に比べて著しく悪化している。米国版Forbesに提供されたLinkedInのデータによると、2019年12月から2026年4月にかけて新卒者全体の採用数が20%減少した一方、工学系専攻者の採用数は25%減少した。これは、LinkedInのプラットフォーム上で最も一般的な20の専攻の中で最大の落ち込みである。これに対し、教育学や医療専門職の専攻者の採用数の減少幅は16%にとどまった。

advertisement

LinkedInの米国地域経済調査責任者であるコリー・カンテガは、「かつて我々は皆にコーディングを学ぶべきだと伝え、それが非常に安全な職種だと考えていた」と語る。「しかし現在、コンピュータサイエンスの学位を取得して卒業した人々の失業率は、高止まりしている」

もちろん、苦しんでいるのは新卒者だけではない。再就職支援コンサルタント会社Challenger, Gray & Christmasの報告によると、2026年上半期にIT企業が発表した人員削減数は13万9156人に上り、全産業で発表されたレイオフ全体の3分の1近くを占めた。同社によると、その主な理由は「AIを中心とした再編、業務の自動化、そして新たなAI機能への予算の再配分」だったという。

こうしたレイオフは新卒者にも打撃を与える。カンテガによると、雇用の安定を恐れるベテラン層の労働者が現在の職場にしがみつくことで新たな採用が生まれず、結果として新卒者向けの新規求人がさらに減少しているという。

advertisement

エンジニアの「汎用性」という課題

多くのエンジニアにとって不利に働いているもう一つの要因がある。近年、英文学やコミュニケーション学、舞台芸術などを専攻した学生は、最初の仕事を得るために、専攻の中核業界から大きく離れた分野まで職探しの範囲を広げてきた。LinkedInの分析によると、2022年から2024年の卒業生の3分の2以上が専攻分野以外の業界で働いている。LinkedInの分析ではこれを「汎用性(versatility)」と呼んでいる。

しかし、工学系の卒業生、特に特定の専門分野を専攻した人々は、より狭い範囲の業界やキャリアパスに固執する傾向がある。急速に変化する今日の採用市場において、この汎用性の欠如が足かせになりつつある。

航空宇宙工学や化学工学を専攻した人々は、現在の労働市場で最も厳しい課題に直面している。それぞれの分野の採用数は26%減少しており、いずれも汎用性が特に高いとは言えない。

一方で、土木エンジニアの状況は比較的良好だとカンテガは言う。建設業界が活況であること(背景にデータセンターの建設ラッシュがある)に加え、彼らには基礎的な汎用性があるためだ。彼らは、プロジェクトマネージャーやプロジェクトエンジニア、フィールドエンジニアなど、非常に多様な役割を担うことができる。LinkedInのデータによると、土木エンジニアの採用数は2019年12月以降、16%の減少にとどまっている。

次ページ > フィールドエンジニアの採用数はコロナ禍以前の水準を上回っている

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事