さらに、チームが訓練したランダムフォレスト(機械学習のアルゴリズムの1種)を用いて、惑星候補の絞り込みをさらに進めた。
英国のケンブリッジ大学や西欧の研究者チームなど、世界中の天文学者がさまざまなアルゴリズムを組み合わせて銀河系の惑星探索の高速化に取り組むなか、新たな太陽系外惑星の発見において、ジョシュア・ロスのチームは世界をリードする立場に立っている。
現在、同チームはTESSの「サイクル2」の画像データの解析を急いでおり、さらに驚くべき新たな惑星候補の宝庫を発見できるとロスは予想している。
新たな探索において、検索条件(パラメータ)や対象領域(フォーカス)を変更することで、生命が誕生し繁殖する可能性のある「ハビタブルゾーン(生命居住可能領域)」を周回するものを含め、より多くの地球型惑星が見つかる可能性があるという。
系外惑星検出における驚異的な進歩をもたらしたこの最初の探索は現在、米航空宇宙局(NASA)やESAをはじめとする世界中の宇宙物理学者によって研究されているとみられるが、その中でロスのチームの機械学習システムは、惑星探索のスピードを劇的に向上させた。
「機械学習のプロセスがなければ、この探索は不可能だったと言っても過言ではない」とロスは言う。
「機械学習なしで5万個の候補を探索する場合、約6週間を要していた」
「機械学習のプロセスにより、光度曲線の数は8000万個から約250万個へと削減された」とロスは付け加える。
「そのため、最悪のシナリオでは32倍以上の光度曲線を審査しなければならず、それには約192週間、つまり3年半以上かかっていたはずだ」
プリンストン大学物理学科・宇宙物理学科は、出身またはゆかりのあるノーベル物理学賞受賞者が20人以上にのぼり、同分野の世界的な権威である。そこに在籍するロスは現在、TESS望遠鏡が生成するフルフレーム画像の切り出し(カットアウト)を分類するために畳み込みニューラルネットワーク(CNN)を組み込み、惑星探索をさらにスピードアップさせることを目指していると語る。
「私たちは現在、これに精力的に取り組んでいる」
「年内にはCNNを導入したいと考えており、これによって手動での審査を排除するか、あるいは少なくとも最小限に抑えられると期待している」
「現在のところ、訓練データとして使用できるTESS望遠鏡のサイクル1の膨大なサンプルがあるため、CNNの訓練が多少容易になり、これは十分に実現可能だと」とロスは予想する。
また、新しい宇宙超望遠鏡が稼働し、天文学者による系外惑星探索における高度な機械学習やニューラルネットワークの利用が拡大することにより、宇宙探査の新たな黄金時代が到来しつつある、と同氏は指摘する。
米国の天文学者エドウィン・ハッブル(Edwin Hubble)が、当時世界最先端の望遠鏡を用いて、天の川銀河が宇宙の広大な広がりにおける無数の島宇宙(銀河)の一つにすぎないことを証明し始めてからわずか100年余り。発見の新しい時代が幕を開けた。


