──中計では、ROIC5.0%、PBR1倍以上という目標も掲げている。
安田:これらの数字を社員がみんなで意識して、企業価値をいかに上げるかを一緒に考えて動いていく。投資家のみなさんに対してはその説明が足りず、期待につながっていない面がある。もっとしっかり説明していかなくてはいけない。
二頭体制で進める人の改革
──ツートップ体制になった。組織変革や成長戦略をどうやってリードするのか。
池見:目指すソリューションをやれば確実に企業価値は上がると確信している。それには企業文化そのものを変える変革が要る。
最後は人の心の問題だ。強権的なやり方で人は変わらない。私の会社員人生はほとんど海外。タイには9年いたが、日本のやり方でやってもらうよう現地の従業員に頼んだら、「社長が自分でやれば」とけんもほろろだった。しかし、そのやり方が必要だと腹落ちしてからはきちんとやってくれた。組織変革も従業員が納得するまで一生懸命説明することが大切だ。
安田:従業員には、自分で考え、自分で動いて成功する体験をしてもらいたい。部長として冷凍魚を担当していたときの課題は、原料と加工食品が7対3で、利益率が低いことだった。加工食品の強化を打ち出したが、誰も自ら動かなかった。当時は、サバ担当はサバ、シシャモ担当はシシャモで、お互いに口も利かないほどの関係で、これまでのやり方を踏襲するだけの組織だったからだ。
それを変えようと、毎週の課長会議の後、若手だけを集めた会議を開くようにしたら、若手が積極的に発言して新しい挑戦をするようになった。現在は原料と加工食品の割合が逆転。営業利益も5倍に増えた。部でできたことがそのまま企業全体に適用できるわけではないが、みんなの知恵を借りながら、自分で考えて動ける会社にしていきたい。
池見:表面上は取締役会の運営やガバナンス、企業改革が私、事業が安田という分担になっているが、経営陣全体で本気でやらないと改革はやりきれない。その覚悟で取り組んでいく。

Umios◎1880年創業のマルハ(旧大洋漁業)と1907年創業のニチロ(旧日魯漁業)が2007年に統合しマルハニチロに。26年3月「Umios(ウミオス)」へ社名変更し高輪に移転(第三創業)。26年3月期は売上高1.11兆円(前期比2.5%増)、営業利益312億円(同2.7%増)。為替差損や移転費用で経常・純利益は減益。中計目標の営業利益400億円は利益率約3.5%。利益率1ポイントの変動は約110億円の損益に相当。
いけみ・まさる◎1957年生まれ、兵庫県出身。京都大学農学部卒業後、1981年に大洋漁業入社。2014年マルハニチロ執行役員などを経て20年代表取締役社長。26年より現職。Umiosのガバナンス強化を担う。(写真左)
やすだ・だいすけ◎1961年生まれ、神奈川県出身。早稲田大学教育学部卒業後、1985年に大洋漁業入社。2022年マルハニチロ常務執行役員などを経て、26年4月より現職。全事業の執行を担い横断的にマーケティング部門を掌握。(同右)


