──営業利益400億円の先に向けて、成長戦略をどう描いているか。
池見:Umiosの強みは、圧倒的な資源調達力と、それらを加工する技術、そしてさまざまなチャネルを通して原料や加工した食材を流通する力だ。これまではそれらの強みがバラバラだった。それらの強みを、これからは消費者起点のバリューサイクルで一体化していく。その仕組みを海外事業でも展開する。グローバルを日本人の目線でやってはいけない。グローバルで連携しつつも現地のニーズでやっていくグローカルの視点が必要だ。
さらにバリューチェーンでも消費者に近いところが重要になる。わが社はこれまで川上の仕事が多く、利益率の高いtoCの領域は全体の2割程度しかなかった。成長投資のうち56%は川下エリアに投資していく。
安田:私は社長のほかにマーケティング部門長を兼任している。かつてはマーケティング、開発、研究、ロジ、販売支社がつながっておらず、マーケティング部門はデータ分析などをしていたものの、消費者に最も近い支社から声を聞くことがなかった。ここに横ぐしを刺すためにマーケティング部門を2年前につくって、国内ではバリューサイクルを回し始めている。これを海外にも横展開することが、COO兼マーケティング部門長の務めだ。
──ほかの水産大手と比べて営業利益率は2.8%と低めだが、売り上げが大きいだけに改善時のインパクトは大きい。中計での目標は3.5%。どのような施策で高めるか?
安田:我が社は北米のスケソウダラ市場で26%のシェアを持ち、約31万トンを扱っている。これまではすり身やフィレのなど原料に近いかたちで販売することが多かったが、川上は相場の影響を受けやすい。安定して収益を得るには、加工して付加価値をつける川下戦略が重要になる。例えば北米のグループ会社、トランスオーシャンプロダクツのカニカマは、市販用のチルドで北米シェアナンバーワンの商品になった。調達した原料を最終商品に近いところまで加工して外に出す一気通貫の流れを、もっとほかの場面でもつくっていく。
さらにそれを世界で連携してやっていくことが大切だ。世界の地域本社同士で横の連携を強め、例えばタイの工場は「世界のキッチンになろう」と加工に力を入れ、それを日本やほかのアジアで売るようなった。
──すでに営業利益率5.4%と高い加工食品セグメントはどうか。
安田:もっと高められる。加工食品はグループ会社も含めて自社工場が多く、それらがつながっていないところがある。例えば食品流通セグメントの介護食では、出荷もばらばらで、結局行くところは同じだったりすることがあった。このように、無駄を省くため、ロジも含めて生産体制を見直す作業を今進めている。
一方、加工食品は競合が多く、競合と同じ土俵で戦うと価格勝負になりがちだ。今までの戦い方を続けるだけで本当にいいのか。健康軸に沿った商品づくりをして、価値を認めてもらう戦略が必要だ。
例えばファインケミカル事業でつくっているDHAは、食品に添加すればさまざまな効用が得られる。また、心の健康につながるペット市場も面白い。昔は魚の血合いをペットフードにしていたが、今は人間が食べていた高級な部分を使ったほうが売れる。ペットフード事業は成長投資の中の重要なセグメントで、さっそく6月にマレーシアのペットフード会社のM&Aを公表した。中計最終年度にはペットフード事業単体でROIC約18%を目指す。これまでOEMが中心だったが、自社ブランドでやれる世界をつくっていきたい。


