スペースXの各事業の現状
スペースXの株価設定をめぐる動きは、まさにこの典型であったと言える。スターリンク部門は黒字であるものの、情報サイト「スターリンク・インサイダー」などによると、利用頻度の高い地域での混雑の激化、顧客サービスの質の低さ(米ビジネス誌『Fast Company』によると、米連邦通信委員会(FCC)には過去5年間で900件以上の苦情が寄せられている)、視界の確保や良好な天候条件の必要性、さらには衛星の相次ぐ打ち上げに対する反対の声の高まりなど、さまざまな理由で批判にさらされている。とはいえ、世界164カ国に1030万人の顧客を抱えているが、これは比較的規模の小さいニッチなプレーヤーにとどまる。比較対象を挙げると、ベライゾンは2025年に、携帯電話の個人向け契約1億1600万件、ブロードバンド1100万件、光回線テレビ(FiOS)200万件を誇り、計1億2900万件の接続を提供していた。2025年の売上高は113億9000万ドル(約1兆8600億円)だった。
スペースXのIPO目論見書(S-1)によると、宇宙打ち上げ事業ではこれまでに約650回の打ち上げを実施しており、その85%で再利用型ブースターが使用されている。また、2026年3月31日時点で、2025年の全世界の軌道投入総質量の推定80%を占めている。2025年における宇宙関連セグメントの売上高は40億9000万ドル(約6690億円)だった。
AI部門は、1日あたり3億5000万件の投稿と月間アクティブユーザー数5億5000万人を抱え、昨年の売上高は32億ドル(約5240億円)だった。
これらすべてを合わせた2025年の連結純損益は5280億ドル(約86兆4000億円)の赤字だったが、2026年第1四半期には42億7000万ドル(約6990億円)の黒字を記録した。
各部門の詳細
各部門の内訳を詳しく見てみよう。なお、部門別の支払利息、受取利息、その他の営業外費用に関する情報は開示されていないため、部門別の最終的な純損益の数値は算出されていない。
2026年第1四半期のコネクティビティ(スターリンク)部門の売上高は32億6000万ドル(約5330億円)、総コスト・費用は20億7000万ドル(約3390億円)で、四半期営業利益は11億9000万ドル(約1950億円)だった。宇宙部門の売上高は6億1900万ドル(約1010億円)、総コスト・費用は12億8000万ドル(約2090億円)で、四半期で6億6200万ドル(約1080億円)の営業赤字を計上した。AI部門は、売上高が8億1800万ドル(約1340億円)、総コスト・費用が32億9000万ドル(約5380億円)で、四半期で24億7000万ドル(約4040億円)の営業赤字となった。


