販売以降の顧客ジャーニーの進み方については、多くの情報を見つけることができる。それでも、創業者や経験豊富なリーダーたちも、販売が成立した後に焦点を失いがちだと私は感じている。
顧客のリテンションとロイヤルティには、非常に大きな価値がある。それなのに、ようやく誰かを「店内に迎え入れた」ときに、なぜまた外へと出ていかせてしまうのか。顧客を惹きつけ、認知を高めることに多大な努力を注ぐ一方で、購入後に起きることが見過ごされているのはなぜだろうか。
もしあなたの顧客ジャーニーが常に残念な形で終わっているのなら、変化を起こす時だ。ブランドとの最後のやり取りを、買い物客が再訪する扉に変える3つの方法を紹介しよう。
顧客データを統合する
企業が抱える大きな問題のひとつが、サイロ化されたデータだ。組織は大規模なテックスタックに多額の資金を投じるが、各ツールが示すのは全体像の一部にすぎない。データが別々のシステムに閉じ込められていると、購入後に顧客と再接続しようとする際、情報に基づく意思決定が難しくなる。状況の全貌を把握する代わりに、断片的な絵しか得られないのだ。
顧客情報をすべて一箇所に集約することは、顧客ジャーニーを近代化するうえで欠かせないステップだ。顧客エンゲージメントデータを一元化することで、購入者のプロフィール全体と購入履歴を一度に確認できる。これによってチームは、購入後の顧客に対して状況を悪化させることなく、タイムリーな支援を提供できるようになる。
まずは、ECプラットフォーム、CRM、ヘルプデスク、配送ソフトウェアなど、顧客情報を保存しているすべてのシステムをマッピングすることから始めよう。次に、同じデータが複数箇所に存在する場所や、重要な情報がソフトウェア間で共有されていない場所を特定する。
注文詳細や配送変更から返品、返金に至るまで、あらゆる情報を含む中央集約型の情報源を構築することが、顧客にリピートしてもらうための鍵だ。顧客レコードについて「信頼できる単一の情報源」を確立しよう。どのプラットフォームに最も完全な顧客プロフィールを持たせるかを決め、それが自動的に更新されるように統合を構成する。
データを一元化するために新しいソフトウェアは必要ない。多くのプラットフォームには、異なるシステム間でデータフローを移動させやすくするAPIが用意されている。既存のツールを見直し、可能であれば組み込みの統合機能をオンにし、データを直接共有させよう。
返品ポリシーを簡素化する
企業が競争力を高める方法を模索するなかで、返品ポリシーは時間とともに緩やかになってきた。一方で、ECブランドのグローバルな展開は、国際取引や返品を高額かつ複雑なものにし得る。
このため、特に海外の販売者に対して返品する必要がある場合、顧客は途方に暮れることがよくある。私自身、海外からの荷物を受け取ったものの、商品が気に入らず、損失を甘んじて受け入れてそのまま手元に置いておくことに決めた経験が何度あったかわからない。
より優れたワークフロー、コミュニケーション、そしてセルフサービスの選択肢に投資することで、ネガティブになりかねない体験を、顧客ロイヤルティを築くものへと変えられる。ブランドが返品を迅速に処理するネットワークを構築するのを支援し、国際的な障壁を取り除いていることで、Redoのようなプラットフォームが注目を集めている。
リーダーにとってここでの戦略的価値は、自動化を活用して単純な返金よりも商品の交換を促すことにある。返品を業務上の必要悪と見るのではなく、もうひとつの顧客接点として扱おう。
国内販売でも国際販売でも、返品を簡単にすることは顧客との信頼を築く優れた方法だ。そのためには、顧客が何を期待できるかを明確に理解できるよう、明快な返品ポリシーを整備する必要がある。これにより、顧客は製品への投資を決める際に、追加の安心感を得られる。スムーズな購入後プロセスはリピート購入を促し、顧客を呼び戻し続ける。
先回りして、個別にコミュニケーションを取る
販売者が利用できるコミュニケーションチャネルの数は、実に目を見張るものがある。これほど多くの選択肢があることで、企業は販売後も顧客と積極的にコミュニケーションを取りやすくなっている。しかも、単なる注文確認や配送状況の通知にとどまる必要はない。コミュニケーションはパーソナルなものにできるのだ。
硬直的なソフトウェアに頼って汎用的なメッセージを送信するのではなく、リーダーは実際の顧客行動を活用してこれらの会話を進めるべきだ。予測可能なフォローアップテンプレートをメールやテキストメッセージで送るのはもう終わりにしよう。KlaviyoのようなAI搭載ツールは、顧客データを活用してこの転換を助け、取引に関する更新情報をパーソナライズされたマーケティング接点へと変えていく。たとえば、基本的なレシートを送る代わりに、購入された特定の商品に基づいた手入れ方法を強調した、顧客に合わせたメッセージを送るのだ。
これを問題解決以上のものへと発展させよう。特定の製品について、よくあるトラブルシューティングの話題に先回りして対処するのだ。顧客が複雑な機器を購入した場合、1週間後にセットアップを助けるビデオチュートリアルを添えてフォローアップする。各インタラクションを、個々の顧客に合わせたデータ駆動型の購入後フローに変えるツールが利用可能になっている。購入履歴のようなデータを活用し、信頼とリピート購入を築こう。
顧客体験における継続的改善
テクノロジーは、成功のあり方を急速に変えている。改善やアップグレードは今や非常に速いペースでもたらされ、昨日通用したことが明日、あるいは今日でさえ通用しなくなる可能性がある。これはあなたの顧客体験についても同じくらい当てはまる。
だからこそ、ブランドの顧客体験に関しては、継続的改善のマインドセットを持つ必要がある。ジャーニーを向上させる、より優れたツールを常に探し続けることだ。それは販売時点に至るまでのファネルの中だけにとどまらない。その先へと踏み出し、顧客が何度もブランドに戻ってくるようにすべきである。



