ヴィクトリアズ・シークレットは、契約モデルの中から選び抜いた約50人を、毎回ファッションショーに登場させる。さらに、エンジェル歴(同ブランドのモデルはエンジェルと呼ばれる)の長い7人には高額のギャラを払っている。
11月10日のヴィクトリアズ・シークレットのショーでランウェイを歩いたモデルのうち5人は、フォーブスの「世界で最も稼ぐモデルランキング」に入っている。2015年6月までの1年間に稼いだ総額は5人合わせて2850万ドル(約34億円)。ジジ・ハディッドやエルザ・ホスクのような、新進モデルも合わせると、ランウェイを歩いたモデルの年収総額は5000万ドル(約60億円)以上に達する。
その中には、2000年からエンジェルを務め、今年の年収900万ドル(約10億8000万円)で、世界で最も稼ぐモデル第2位のアドリアナ・リマや、新エンジェルながら年収200万ドル(約2億4000万円)を稼ぐマーサ・ハントのようなスターモデルもいる。
ヴィクトリアズ・シークレットの最高マーケティング責任者のエド・ラゼックは、ヴィクトリアズ・シークレットの顧客は99%が女性なので、女性受けするモデルを選んでいると言う。ビジュアルだけでなく、内面からも美しさを放ち、女性の憧れの対象となる自信あふれるモデルばかりだ。
新エンジェルの一人で、今年のショーで6500個以上の宝石で彩られた、2億円の“花火ファンタジーブラ”を身にまとう栄誉を受けたリリー・オルドリッジは、プライベートではテイラー・スウィフトと仲が良く、よく一緒にメディアに登場する。
ケンダル・ジェンナーとジジ・ハディッド、20歳の2人のエンジェルは、ヴィクトリアズ・シークレットのショーに参加したのは今年が初めてだが、すでに高額ギャラモデルの仲間入りを果たしており、共にインスタグラムでのフォロワーも多く人気がある。
モデルにとっては、インスタグラムで数百万人のフォロワーがいるのも強味になる。ファッション業界は宣伝がすべてだ。ヴィクトリアズ・シークレットのショーに出演したモデルは露出が増え、他のファッションショーにも呼ばれるようになる。「ヴィクトリアズ・シークレットの舞台は、モデルにとっては大きな飛躍のチャンスになる」とラゼックは言う。
IMG Modelsの社長イワン・バートは「写真やビジュアルというのは、お金を稼ぐことだけでなく、今後もっと大きな影響力を持つようになるだろう」と以前フォーブスに語っていた。
ヴィクトリアズ・シークレットの2014年の年商は72億ドル(約8800億円)。オハイオ州出身の控えめなビジネスマン、レス・ウエックスナーが同社を米国有数のブランドに育て上げた。今年の「世界で最も稼ぐモデルランキング」の21人中16人は、ヴィクトリアズ・シークレットの現役モデル、もしくは過去にエンジェルだったモデルたちだ。
キラキラ光る宝石をちりばめたブラや、ふわふわの大きな翼をまとった彼女たちが、この巨大ビジネスを支えている。