「LVMHの核心にある毒、ベルナール・アルノーの後継問題」と題された記事の中で、ル・モンドは、アルノー会長が5人の子ども全員を自身の高級ブランド帝国の後継者として育ててきたが、その過程で対立を招いたと論じている。長女デルフィーヌ(51)、長男アントワーヌ(49)、次男アレクサンドル(34)、三男フレデリック(31)、四男ジャン(27)の5人は全員、LVMHで要職に就いている。ル・モンドは、アルノー会長が兄弟間の結束ではなく、競争を促し、対立や派閥争いを助長してきたと報じた。同紙は、異なる母親から生まれた子どもたちが後継者争いのために互いに同盟を結んでおり、LVMHの株主らは明確な相続計画がないことにいら立ちを募らせていると伝えた。アルノー会長はこうした報道の内容を否定している。
アルノー会長の資産は推定1424億ドル(約23兆3100億円)で、フォーブス世界長者番付では27日時点で9位につけており、フランスで最も裕福な人物となっている。
ル・モンドの筆頭株主である億万長者のグザビエ・ニールは、アルノー会長の娘デルフィーヌのパートナーだ。2人は結婚していないが、2010年から交際関係にある。仏通信大手イリアドを所有するニールは推定158億ドル(約2兆5900億円)の資産を持ち、フランスで7番目に裕福な人物だ。
新型コロナウイルスのパンデミック(世界的流行)後の好況期が終息して以降、特に中国の消費者が高額商品の購入を控えるようになったことから、LVMHの業績は低迷している。同社が発表した昨年通期の売上高は、前年比5%減の808億ユーロ(約15兆400億円)だった。
主力事業であるファッション・皮革製品部門は世界的に苦戦しており、中国市場はこれまで高級ブランドにとって重要な役割を果たしていたが、LVMHの決算報告では、スイスの高級ブランドグループ「リシュモン」や英高級ブランド「バーバリー」といった競合他社ほど中国市場の成長は期待できない状況となっている。
LVMHは観光消費の低迷や、ドバイなど高級ブランド店が立ち並ぶ中東の拠点に対するイラン紛争の影響といった外部的な圧力にもさらされており、これらの要因が今年第1四半期の本業の成長を約1%押し下げた。同社の第1四半期の売上高は前年同期比6%減少し、191億ユーロ(約3兆5600億円)となった。株価は今年に入り約30%下落している。


