夏は本来、心身をリフレッシュする季節だ。日が長くなり、屋外イベントがあり、日差しを楽しむ理由もたくさんある。だが近年は記録的な高温が私たちの期待を打ち砕き、冬の間の屋内での習慣の多くが新たな夏の習慣となりつつある。異常気象や劇的に変化した気候の基準を考慮すると、休暇シーズンはサバイバルの季節へと急速に変わりつつある。
研究者たちは何十年も前から、暑さが生理的なストレス反応を引き起こし、気象に関連する脅威の中でも特に多くの死者を出すものの1つだと指摘してきた。ストレスホルモンと呼ばれるコルチゾールの上昇や睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌の乱れ、前頭前野の機能低下は単なる身体的な不快感にとどまらず、心理的なリスクでもある。言うまでもなく気温の上昇は医療制度に負担をかけ、コストを増大させる。
こうした要因が重なることで、これまでよりも気温が高い日々は私たちのメンタルヘルスに負荷をかけている。夏の習慣がそうした状況を改善しているとは限らない。精神的な安定を守り、秋まで生産性を維持するためには、生物学的な仕組みに逆らうのをやめ、猛暑時にありがちな以下の6つの間違いを犯さないようにする必要がある。
1. 熱疲労を普通の疲れとして扱う
夏のメンタルヘルスにとって最大の脅威は身体が自らを冷やそうとする働きだ。体温調節と呼ばれるこの働きは生理学的に莫大なエネルギーを消耗する。
この時期、暑さによる疲労を単なる怠けや自制心の欠如だと捉えたくなるかもしれない。実際には深部体温が上昇するとコルチゾールの分泌が急増する。具体的には、気温が上がると深部体温を調整するために視床下部・下垂体・副腎系が活性化して深部体温の調節を助け、副腎がコルチゾールを分泌して熱ストレスに対処するよう促す。
これを「ただ暑いだけ」と片づけると、熱ストレスの初期段階を無理に乗り越えようとしてしまい、午後遅くには感情の調整が難しくなり、いら立ちや判断力の低下につながる可能性がある。これを防ぐためには冬季に比べて認知能力が低下していることを自覚し、疲れを押し殺すのではなく1日のスケジュールに余裕を持たせる必要がある。
2. 「夏は楽しまなければ」という思い込み
夏の間は屋外で活発に過ごし、人と交流するよう、社会から多大なプレッシャーがかかる。夏の暑さの中で楽しみを求めたくなる衝動は生物学的な気分の高まりや社会的な刷り込み、そして冬の間屋内に引っ込んでいたことからの心理的な解放感などが組み合わさって生じている。
だが、できる限り楽しもうとしたり、無理にレジャー活動をしたりすることは別の形のバーンアウトを引き起こす可能性がある。夏らしいことをしていないと、休んでいる最中であっても生産性が低いと感じるかもしれない。「プールに行きたい」という衝動に駆られ、数カ月後にはもっとプールで過ごしておけばよかったと後悔するかもしれない。
だが、気温が32度を超える中で屋外イベントに無理に参加すると、認知的な余力は回復するどころか消耗する。この夏は罪悪感を抱くことなく体力をあまり使わない余暇を存分に楽しんでほしい。自宅や近場のホテルなどで休暇を過ごすステイケーションや冷房の効いた部屋での読書、友人と話しながらの夜の散歩などはどうだろうか。



