ロシア・ウクライナ戦争は先進的な技術によって特徴づけられる戦争という様相を強めているが、それでもなお河川は戦場の形成に決定的な役割を果たし続けている。過去4年以上にわたり、ロシアとウクライナの両軍は互いに相手の攻勢作戦を妨げるべく、前線にある橋を数多く破壊してきた。ここ数カ月で双方はこうした作戦を拡大し、敵陣の後方深くにある橋も攻撃するようになっている。その狙いは、敵の兵站を妨害し、戦闘部隊が行動を続けることを難しくしていくことにある。
同時に、この戦略は長期的な意味合いも持つ。将来、自軍が攻勢に出た場合にも必要になるはずの橋をあえて破壊していることは、双方とも、短期的に大規模な突破を達成できるとはもはや見込んでいない可能性を示唆しているのかもしれない。
ロシア軍とウクライナ軍が橋を攻撃している理由
橋は代替が難しく、軍事輸送網の重要な結節点にもなるため、古来、戦場において最優先の攻撃目標とされてきた。補給所などと異なり、橋は分散させることも移設することもできず、隠蔽することもできない。また、その位置は広く知られているので、比較的容易に特定して攻撃できる。さらに重要なのは、橋を1本破壊するだけで、燃料や弾薬、増援部隊を運ぶ多数の車両の移動を止められることである。車両を一台ずつ破壊せずとも、橋に対する一度の攻撃で、ひとつの兵站経路全体を機能不全に陥らせることができる可能性がある。
こうした橋梁攻撃は、ロシア、ウクライナ両軍の架橋能力が限られていることから、ますます重要性を増している。双方ともこの戦争を通じて、とくにシベルシキー・ドネツ川やオスキル川のような主要河川の渡河を試みる過程で、工兵・架橋装備のかなりの部分を失ってきた。その結果、破壊された橋の修理・復旧は多くの場合、困難で時間もかかるようになっている。前線では、現地で入手できる資材を使って仮設の渡河設備を即席でつくっている部隊もあり、これは専用の架橋装備が不足している現状を浮き彫りにしている。
橋梁攻撃による実際の影響は、たんに橋が破壊されて通行不能になることだけにとどまらない。兵站網は、限られた数の主要な道路橋や鉄道橋を中心に構築される。そのひとつが失われれば、輸送は代替の渡河地点を通る経路へと迂回せざるを得なくなり、あらゆる補給任務で移動距離と所要時間が大幅に伸びる。その結果、前線部隊に1日に届けられる補給物資の量は減り、車両の燃料消費や摩耗は増えることになる。



